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「Copilot+ PC」に大量の新しいAI機能、OSパッチ「KB5062660」やアプリの更新で一般提供

設定エージェント、「Click to Do」アクション、フォト、ペイントなど盛りだくさん

公式ブログ「Windows Experience Blog」におけるアナウンス

 米Microsoftは7月22日(現地時間)、「Copilot+ PC」で一般提供される新しいAI機能を発表した。先日リリースされた「Windows 11 バージョン 24H2」の2025年7月プレビューパッチ「KB5062660」などに含まれている。

「設定」アプリのAIエージェント

 「設定」アプリの検索機能にAIエージェントが追加され、検索ボックスでやりたいことを説明するだけで、何百ものオプションから最適なものをAIがリストアップしたり、ときにはその設定をワンクリックで適用するためのアクションボタンをその場で提案してくれるようになる。

ユーザーの望むカスタマイズオプションを探し出し、ワンクリックで適用できるアクションを提案

 内部では同社が開発した新しい小規模言語モデル(SLM)「Mu」が利用されており、「Copilot+ PC」に搭載されているNPUをローカルでフル活用することで、通常のキーワード検索と大差ないパフォーマンスを実現している。

 ただし、現時点ではSnapdragon搭載かつ表示言語を英語にした「Copilot+ PC」デバイスでしか利用できない点には注意したい。Intel/AMDデバイスでの提供は後日となる。対応言語の拡充にも期待したい。

「Click to Do」(プレビュー)のアクションが拡充

 「Click to Do」はデスクトップ内のテキストや画像を認識し、それを元にさまざまな追加アクションを実行できる機能。たとえばクリップボードへコピーできないエラーメッセージを選択して「Google」で検索したり、ユーザーインターフェイス上のアニメーションのフレームを切り取って加工するといったことが可能。[Windows]+[Q]キーや[Windows]キーを押しながらのマウスクリックで利用できるほか、「Snipping Tool」アプリ、デジタルペンなどから簡単にアクセスできる。

[Reading Coach での練習]をはじめとする新しい「Click to Do」アクション

 「Click to Do」にはさまざまなアクションが用意されているが、「KB5062660」からは以下の追加アクションが順次展開される。

  • Reading Coach での練習「Reading Coach」アプリと連携し、選択テキストを流暢に読み上げたり、正しい発音で表現する練習を行える
  • Immersive Reader で読む:選択テキストを「イマーシブ リーダー」で開く。「イマーシブ リーダー」は各種Microsoftアプリで採用されている読字支援アプリで、テキストのサイズや間隔、フォント、背景テーマを調整してテキストを読みやすくしたり、音声で読み上げたり、単語を音節に分割したり、品詞をハイライト表示したりできる。画像辞書では、知らない単語を画像で表現することも可能(ただし、一部機能は日本語未対応)
  • Copilot in Word で下書き作成:認識されたテキストを元に、素早く下書きへ変換。「Microsoft 365 Copilot」サブスクリプションが必要
  • Teams アクション:認識されたメールアドレスを選んだ際、「Teams」メッセージを送信するか「Teams」会議をスケジュールするかを選択できる

「フォト」アプリの「リライト」ツール

 「フォト」アプリには、写真で光の当たる向きや色、位置、明るさを自在に調整して被写体の雰囲気やスタイルを変えてしまう加工ツール「リライト」が導入される。従来は写真全体の明るさを調整できるだけだったが、この機能があれば最大3つの仮想光源を写真内に配置して、よりプロフェッショナルなレタッチが可能だ。

 使いこなすのが少し難しい機能だが、プリセットされた照明位置も豊富に用意されているので、それを試すところから始めてみよう。

「フォト」アプリの「リライト」ツール

 なお、本機能はSnapdragon搭載の「Copilot+ PC」でのみ利用可能。近日中にIntel/AMD搭載の「Copilot+ PC」にも展開される。

「ペイント」アプリのステッカージェネレーターとオブジェクト選択

  ステッカージェネレーター(Sticker generator)は、プロンプトをもとにカスタムステッカーを生成できる機能。たとえば『サングラスをかけた猫』などと説明を入力して生成ボタンを押すと、いくつかのスタンプが生成され、好みのものを選んでキャンバスへペタペタと貼り付けられる。他のアプリで利用するためにクリップボードへコピーすることも可能だ。

「ペイント」アプリのステッカージェネレーター

 オブジェクト選択はキャンバス内の各要素を認識して、AIがスマートに選択してくれるツール。ポイントしたところにある被写体をAIが認識し、それを選択状態にしてくれるので、コピーしたり削除したりといった操作が簡単になる。

「ペイント」アプリのオブジェクト選択

 これらの機能は、初回起動時に表示されるウェルカムエクスペリエンスで学ぶことができる。

「Snipping Tool」のパーフェクト スクリーンショットとカラーピッカー

 パーフェクトスクリーンショット(Perfect screenshot)は、キャプチャーの際に被写体をAIが認識し、その領域を正確に選択できるようにする機能。雑にドラッグで囲っても、ユーザーが意図するエリアをAIが汲み取って、その部分だけをキャプチャーできる。キャプチャーしたあとにトリミングやリサイズをする必要がなくなる。

「Snipping Tool」のパーフェクト スクリーンショット

 なお、この機能は「Copilot+ PC」専用のAI機能だ。

 カラーピッカーはデスクトップで選択したポイントの色を採取する機能で、キャプチャーの際にツールバーから利用可能。HEX、RGB、またはHSLからカラー形式を選択し、ポイントした場所のカラーコードを調べたり、選択できる。マウスをスクロールしたり、[Ctrl]+[+][-]キーでズームすることができるので、ピクセル単位で細かい選択をしたい場合に役立てたい。

「Snipping Tool」のカラーピッカー

Copilot Vision

 「Microsoft Copilot」アプリはチャットを介してAIがユーザーのさまざまな相談にのってくれるが、すべてテキストで説明しなければならないのが欠点でもある。たとえばアプリの操作方法を知りたい場合、デスクトップを「Copilot」に見てもらいたいと思うことがある。

 「Copilot Vision」はそれをかなえる機能で、デスクトップを視覚的に共有し、それをもとに会話できる。リアルタイムで音声のやり取りをしたり、操作すべきところをハイライトで示すこともできるので、優秀な指導員に手取り足取り教えてもらう感覚を味わえる。

 ただし、今のところ利用できるのは米国のみとなっている。対応言語の拡充に期待したい。

 そのほかにも、ゲームのプレイ中にチラ見できるミニブラウザー「Microsoft Edge Game Assist」Windowsが起動しなくなったときに助けてくれる「クイック マシン リカバリー」「黒く」シンプルになったブルースクリーンエラー画面などが提供される。これらの最新機能を享受するには、OSやアプリを常に最新の状態にするよう心掛けたい。