いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】税込金額から税抜金額を計算したい!エクセルで結果から元の値を逆算するテク

逆算したい時にも数式を作るのは面倒!

 Excelを繰り返し使っていると数式の作成にも慣れて、簡単な数式ならパッと作れるくらいのレベルに達している人もいるのではないでしょうか。それでもやはり、数式を作るのは頭を使いますし、単にデータを入力するよりも時間がかかります。「数式はなるべく少なく済ませたい……」というのが正直なところなのではないでしょうか。

 例えば、次の「社員旅行積立金額」の表(①)では、セルB2には「積立合計金額」として、毎月の積立額と積立期間を掛ける「=B3*B4」という数式を入力しています。積立額(セルB3)や積立期間(セルB4)の数値を修正すると、合計金額が自動で計算されます。

 ところが、この表では、積立合計金額の目標値を設定して、積立額や積立金額を逆算するということはできません。逆算したい場合は、別の数式を作成する必要があります。この例はシンプルな数式なので逆算の数式も比較的簡単に作れますが、もっと複雑な数式で計算する必要があるデータの場合は、数式の作成だけでもひと苦労です。

 このような場合に便利なのがExcelの「ゴールシーク」機能です。今回は、この「ゴールシーク」機能の使い方や、役立つシーンを解説します。

❶積立金額の目標額と積立期間から毎月の積立額を計算する

 先ほどの「社員旅行積立金額」の表で、ゴールシーク機能を活用して目標額と積立期間から毎月の積立額を計算してみましょう。ここでは、100,000円を12カ月の積立期間で貯めるには毎月いくら積み立てればよいかを計算してみます。表が入力されたシートを開き、[データ]タブ(①)→[What-If分析](②)→[ゴールシーク](③)をクリックします。

 [ゴールシーク]ダイアログボックスが表示されます。[数式入力セル]欄には、逆算のもとにする数式が入力されているセル番号を入力します。ここでは、セルB2に積立合計金額を求めるための数式が入力されていて、その数式を使ってこれから逆算を行うため、「$B$2」と入力します。[目標値]欄には、上記の数式で求める数値の目標を入力します。ここで入力するのは、目標金額の「100000」です。[変化させるセル]欄には、逆算して求めたい値が入力されるセル番号を入力します。ここでは、目標額を12カ月で貯めるために毎月いくら積み立てるかを逆算したいので、「毎月積立額」が入力されるセルB3を指定するため「$B$3」と入力します。以上の3つの欄に正しく入力したら(④)、[OK](⑤)をクリックします。

 計算が開始され、ダイアログボックス内の表示が変わります。計算が終わると、ダイアログボックス内に「解答が見つかりました。」と表示され、求められた積立額が表内の「毎月積立額」欄に表示されます(⑥)。計算の結果、8,333円よりも多く積み立てれば12カ月で100,000円貯めることができることがわかりました。[OK](⑦)をクリックするとダイアログボックスが閉じます。

 ここでは積立期間を変えずに目標額を達成するための毎月の積立額を求めましたが、毎月の積立額を変えずに目標額を達成するために必要な積立期間を求めることもできます。その場合は、ダイアログボックス内の[変化させるセル]でセルB4を指定すればOKです。

 このように、ゴールシーク機能を使うといろいろな条件で試算することができます。

❷税込金額から税抜金額を計算する

 2019年10月から消費税率が10%に引き上げられましたが、今でも軽減税率対象の商品は税率が8%です。税率8%で金額を計算する場合、端数が出やすく大変ですよね。特に、税込金額から税抜金額を求めたい場合は計算が複雑です。このような場合にも、ゴールシークが有効です。

 「税抜金額計算表」(①)で、税率8%の商品の税込金額を9,800円にするための税抜金額を計算してみましょう。ここではセルB2に、税抜金額と税率から税込金額を求めるための数式が入力されています。この数式とゴールシーク機能を使って、税抜金額を逆算します。[データ]タブ(②)→[What-If分析](③)→[ゴールシーク](④)をクリックします。

 [ゴールシーク]ダイアログボックスが表示されます。[数式入力セル]欄には、税込金額を求める数式が入力されているセルB2を指定するため「$B$2」と入力します。[目標値]欄には、税込金額を9,800円にするため「9800」と入力します。[変化させるセル]欄には、逆算して求めたい税抜金額が入力されるセルB4を指定するため「$B$4」と入力します。3つの欄に正しく入力したら(⑤)、[OK](⑥)をクリックします。

 計算が行われ、税抜金額が求められます。税率8%で税込金額を9,800円にするためには、税抜金額が9,074円であればよいことがわかりました(⑦)。[OK](⑧)をクリックすると、ダイアログボックスが閉じます。

 この表とゴールシーク機能を使えば、いろいろな金額の税抜金額を求めることができます。セルB3に入力されている税率を10%に変えれば、税率10%の計算にも対応できます。

逆算や試算に便利なゴールシークを活用しよう

 今回は、すでに作成した数式からパラメーターを逆算したい時に便利なExcelの「ゴールシーク」機能の使い方を解説しました。今回のようにシンプルな例だけでなく、売上入金の仕訳や利益の計算など、いろいろな場面で活用できます。覚えておけば実務で必ず役立ちますので、ぜひ覚えておいてくださいね。

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