使ってわかるCopilot+ PC
第37回
自然な言語で検索できるAI機能「セマンティックインデックス」はどこが便利なの?
ファイル名だけでなく画像の中身なども検索対象
2025年4月4日 06:55
「Copilot+ PC」の新機能がプレビューパッチで提供
先日公開されたWindows 11向けのプレビューパッチ「KB5053656」で、AMD/Intel製CPUを搭載した「Copilot+ PC」に「ライブ キャプション」機能が搭載された。まだプレビューパッチでの提供であり、AI機能も一部に過ぎないが、AMD/Intel製CPUを搭載した製品が正しく「Copilot+ PC」を名乗れる日が近くなってきたようだ。
このプレビューパッチでは、Snapdragon X搭載「Copilot+ PC」向けに、「セマンティックインデックス」という新たなAI機能が搭載された。あまり聞きなれない言葉だと思うので、どんな機能なのか説明していこう。
自然な言語でファイルを検索できる
「セマンティックインデックス」とは何かというのは、従来の検索機能と比較するとわかる。
従来の検索機能は、ファイル名やファイルに含まれるテキストがキーワードと一致するものをピックアップする。ファイル名やテキストの一部を入れたり、拡張子でファイルタイプを指定したりして目的のものを探すという形だ。
これに対して「セマンティックインデックス」は、より自然な言語の指示を理解し、それに沿った検索結果を提示する。画像ファイルを探すのに『.jpg』などと検索するのではなく、『画像ファイル』などと書けば、あらゆる画像データをピックアップしてくれる。
使い方は、エクスプローラーを開いて、検索ボックスに文字を入力するだけ。「セマンティックインデックス」が使われる検索ボックスには、左側に虫眼鏡が輝くようなアイコンが表示される。
実際に試してみよう。筆者の環境で『ゲームの画像』と検索してみると、2つの画像ファイルが提示された。開いてみると、確かに「Diablo IV」というゲームのスクリーンショットであった。このように、テキストや画像の内容にまで踏み込んで検索可能になっている。
筆者はPCのレビューのためにベンチマークプログラムを頻繁に使用するのだが、『ベンチマークの結果』と検索すると、3つのファイルが示された。実際には3つではなくもっと大量にあるのだが、この辺りは識別するのも難しいので仕方ない。むしろ3つでも正しく拾ってきただけでえらい。
もちろん従来型の部分一致による検索も動いている。検索機能がAIによってパワーアップした、と素直に考えていい。
ファイル検索以外にも活用
「セマンティックインデックス」が機能するのは他にもある。「設定」アプリを開くと、検索ボックスに虫眼鏡アイコンが付いている。従来の検索機能よりも抽象的な指示で、関連しそうな情報を提示してくれる。
例えば『子供が使用するための設定』と書いてみたところ、[ファミリー グループを管理する]や、各種[プライバシー設定]、[パスキーの設定]などが提示された。確かに子供が使う時に必要になりそうな設定項目がピックアップされている。
気になるNPU使用率を見てみると、「セマンティックインデックス」の設定後、最初のうちはNPUをフルパワーで使っている。検索するとNPUをほぼ100%近くまで、長時間にわたって使用する。
その後しばらく時間を置いてから試すと、NPUの使用量はごく僅かになった。おそらく検索するファイルの中身をインデックス化するのにNPUを使っているのだろう。
「セマンティックインデックス」は、「Copilot+ PC」の目玉機能とされているリコールでも使われる。過去のスナップショットをAIが解析し、自然な言語で検索できるという仕組みだ。今回はその検索機能だけを引き出した形だが、単体でも十分に活用できる。いよいよ「Copilot+ PC」のAI機能が実用的になってきたと感じさせてくれる。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/