やじうまの杜

「Windows 10 November 2019 Update」って旧版となにが違うの?

実は「May 2019 Update」とほぼ一緒、毎月降ってくるパッチも同じ!

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正式にリリースされた「Windows 10 バージョン 1909」

 「Windows 10 バージョン 1909」(November 2019 Update)が先日、正式にリリースされました。筆者も早速アップグレードしてみたのですが――旧版との違いがほとんどわかりませんね! いったいどこがどう変わったというのでしょうか。

そもそも「バージョン 1909」って?

 Windows 10の更新プログラムには大きく分けて、

  • 毎月数回配信される“品質更新(Quality Updates)”
  • 年2回実施される“機能更新(Feature Updates)”

の2つが存在します(ほかにもウイルス定義の更新やドライバーのアップデートなどもありますが、今回は割愛)。

 “品質更新”は、細かい不具合やセキュリティ問題を修正するためのパッチです。月に数回配信されますが、なかでも第2火曜日(米国時間)の“パッチチューズデー”に配信される更新プログラムはセキュリティパッチになっており、適用が必須です。これらのパッチはインストールしても“バージョン”は上がらず、“ビルド”が上がるだけです。

 “機能更新”はアップグレードの際にOSの再起動を数回伴う大掛かりなもので、年に2回配信されます。今回リリースされた「バージョン 1909」(November 2019 Update)も、この“機能更新”に当たります。

「バージョン 1903」と「バージョン 1909」のパッチはまったく同じ?

 実は今回リリースされた「バージョン 1909」は“機能更新”と銘打たれていますが、実質は“品質更新”とあまり変わりません。機能の追加も一応ありますが、それほど多くはなく、「バージョン 1903」と「バージョン 1909」のOSコアは共通のものとなります。

 つまり、「バージョン 1903」は「バージョン 1909」のごく一部を“休止状態”または“無効状態”した状態のもの。「バージョン 1903」に“イネーブルメント パッケージ”と呼ばれるパッチを当てて、この休止・無効機能を活性化させれば、そのまま「バージョン 1909」になります。その関係で「バージョン 1903」では25MB程度のディスク領域が無駄(休止・無効)になってしまっていますが、よっぽどストレージに余裕のない環境でもなければ問題にはならないでしょう。

 このような事情もあり、これから毎月配信される“品質更新”パッチの内容も「バージョン 1903」と「バージョン 1909」でまったく同じものになるとのこと。適用後のビルド番号も、小数点以下(“リビジョン”とも呼ばれます)は共通となります。たとえば、執筆時現在の「バージョン 1903」と「バージョン 1909」のビルド番号は以下の通りです。

  • バージョン 1903(OS ビルド 18362.478)
  • バージョン 1909(OS ビルド 18363.478)

 “リビジョン”番号が統一されているのがわかりますね。

「バージョン 1903」のバージョン情報

で、「バージョン 1909」ではどこがかわったの?

 では、「バージョン 1903」から「バージョン 1909」へのアップグレードで“有効化”された機能にはどんなものがあるのでしょうか。それは以下のドキュメントにまとめられていますが、一般ユーザーに関係のあるものだけピックアップしてみましょう。

ロック画面でサードパーティ製デジタルアシスタントを声で呼び出す

 これまでのWindows 10はロック画面で「Cortana」しか呼び出せませんでしたが、「バージョン 1909」ではサードパーティ製デジタルアシスタントも呼び出せるようになります。

 “サードパーティ製デジタルアシスタント”というのは、要するに「Alexa」のことで、“Microsoft Store”から「Amazon Alexa」アプリをインストールしてセットアップすれば、ロック画面で“アレクサ”と呼びかけることで「Alexa」が使えるようになります。

ロック画面でのボイス呼び出しに対応した「Amazon Alexa」アプリ
ロック画面で“アレクサ”と呼びかけると「Alexa」が答える

タスクバーの予定表のポップアップから簡単にイベントを作成できるように

 Windows 10のタスクバーにある日時領域をクリックすると、カレンダーがポップアップしますが、ここにスケジュールを登録する機能が追加されました。わざわざ「カレンダー」アプリを起動しなくても、簡単にスケジュールを登録できます。

タスクバーの予定表のポップアップから簡単にイベントを作成

[スタート]メニューのナビゲーションを改善

 [スタート]メニューの左端には設定や電源などにアクセスするためのアイコンが用意されています。「バージョン 1909」では、ここにマウスカーソルを移動させるとナビゲーションペインが展開されるようになりました。アイコンの説明がちゃんとテキストで表示されるのがわかりやすいですね。

[スタート]メニューのナビゲーション

通知の改善

 “アクション センター”の上部には[通知の管理]ボタンが追加されました。これをクリックすると、「設定」アプリの[システム]-[通知とアクション]セクションへ一発でアクセスできます。

“アクション センター”の上部には[通知の管理]ボタンが追加

 この[通知とアクション]セクションのデザインもアップデートされました。たとえば、通知の受信設定リストでは、既定でアプリが“名前”順ではなく“最新”順で並び替えられるようになりました。つまり、通知機能を最近利用したアプリが上の方にリストアップされるので、“さっき通知を送ってきたアプリが鬱陶しいので、通知を切りたい”といった場合にすばやくそのアプリにアクセスできます。

[通知とアクション]セクションのデザインもアップデート

 さらに、アプリを選択したときの通知設定画面にも改善されました。“通知バナー”とか“アクション センター”とか言われてもわからないユーザーのために、わかりやすいグラフィックスが追加されました。

通知設定画面にわかりやすいグラフィックスが追加

 また、“通知バナー(トースト)”にもちょっとした改良が加えられています。右上にあるギアアイコンをクリックすると、その場で当該アプリからの通知を無効化したり、詳細設定画面を開いて設定をカスタマイズすることができます。

トーストのギアアイコンをクリックしてメニューにアクセス

「エクスプローラー」の検索ボックス

 “Windows Search”の強化により、ローカルのインデックスされたファイルだけでなく、“OneDrive”のクラウドコンテンツも検索できるようになりました。“OneDrive”フォルダーで「エクスプローラー」の検索ボックスを利用すると、ローカルと同期されていないコンテンツもヒットするのがわかります。

クラウドコンテンツも探せるようになった「エクスプローラー」の検索ボックス

 ただし、「エクスプローラー」の検索ボックスで右クリックしてもメニューが出なくなる問題が発生しているようです。コピー&ペーストなどを利用する場合は、キーボードショートカットを利用した方がよいでしょう。

そのほか

 「バージョン 1909」では、OEMデバイスでペン(インク)のパフォーマンスを改善できるようにする修正や、CPUコアのポテンシャルを引き出すための仕組みが実装されました。一部CPUを搭載したデバイスでは、さらなるバッテリー寿命と電源効率の向上が期待できます。

 一方で、“My People”などの一部機能は「バージョン 1909」を最後にサポートされなくなります。開発が終了する機能や今後削除される機能に関しては、以下の記事を参照してください。