やじうまの杜
古い地名を地図にまとめた「日本歴史地名大系」がお披露目 ~自由に使えるオープンデータ
平凡社の協力で79,502件ものデータを提供中。地名分布で当時の状況がうかがえる
2023年10月20日 08:11
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歴史や地理、文字、文化などに関するさまざまなデータを収集・整理し、広く公開している「人文学オープンデータ共同利用センター」で、「日本歴史地名大系」が一部公開されたとのこと。平凡社の協力を得て、『日本歴史地名大系』(全50巻)に掲載されている古い地名とその関連情報が地図にプロットされています。
歴史的地名の大規模オープンデータを公開しました。https://t.co/Im0dFliHqJ
— Center for Open Data in the Humanities (CODH) (@rois_codh)October 18, 2023
江戸時代の村までさかのぼる、79,502件の行政地名のデータです。平凡社地図出版と協働し、『日本歴史地名大系』の一部をオープン化しました。自分の先祖がどこに住んでいたかなど、地名から探っていくのも面白いですね。pic.twitter.com/uikx9bNlLs
2023年10月現在、地名の項目は79,502件にまで達するとのこと。位置情報は推定で、まだ改善の余地があるとのことですが、今後予算を確保できればより高精度な位置情報に更新されていくとのこと。現時点ではあくまでも初期バージョンといったところですが、それでもなかなか面白いことがわかるようです。
たとえば、この地名データを都道府県別に集計すると、もっとも多いのは新潟県(4,335件)になるとのこと。これは江戸から明治にかけて、新潟県の人口が多かったことを反映していると考えられます。
現在の都道府県別に地名数を集計すると、最も多いのは新潟県(4335件)となりました。https://t.co/n3IPjh2fRI
— Center for Open Data in the Humanities (CODH) (@rois_codh)October 18, 2023
これは江戸から明治にかけて、新潟県の人口が多かったことを反映しているのでしょう。1889年の都道府県別人口ランキングを調べると、全国トップはなんと新潟県なのです。pic.twitter.com/q13xIRspZn
また、東京の地名分布をみると、かつての江戸がどのあたりまで広がっていたかが見えてくるのも面白いですね。当時は江戸城の東側に地名が密集しており、西側はあまり人が住んでいなかったことがうかがえます。今とはずいぶん違いますね!
東京付近の地名の分布をみると、かつての江戸が、どのあたりまで広がっていたかが見えてきます。https://t.co/7wZka4pvuJ
— Center for Open Data in the Humanities (CODH) (@rois_codh)October 18, 2023
江戸城の東側に地名が密集するのに比べ、西側はやや密度が低くなり、現在の山手線の外側は村の間隔が広がり、農村の雰囲気を感じます。pic.twitter.com/sn5IPqmXLd
そのほかにも、自分の住んでいるところがかつてどのように呼ばれたのかを調べたり、自分の先祖がどこに住んでいたかなどを地名から探るのも面白そうです。災害の記憶は地名に刻まれるといいますが、引っ越す予定の地域の地名が水害や土砂災害に由来していないか……ということも調べてみるとよいのかもしれません。
「人文学オープンデータ共同利用センター」のWebサイトでは、今回紹介した「日本歴史地名大系」のほかにも、くずし字のデータや古典の書誌データなどが提供されています。江戸時代のレシピなんかもあって楽しそうですよ。