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「Copilot Pro」、早速購入してみました ~月額3,200円のAIはなにを助けてくれるのか

まだまだ足りない要素もあるものの可能性は感じる

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「Copilot Pro」を購入してみました

 「Microsoft 365 Personal」「Microsoft 365 Family」でもAIアシスタント「Copilot」を使える新しいサブスクリプション「Copilot Pro」が発表されましたので、さっそく購入してみました。現在、「Microsoft Store」nから1ユーザー当たり月額3,200円(税込み)で購入可能です。

1ユーザー当たり月額3,200円(税込み)。「Microsoft 365 Family」へ加入済みアカウントの1つにトッピングしてみました。家族全員で「Copilot Pro」を利用したい場合は、人数分購入しなければならず、割高感は否めません……

「Copilot Pro」とは

 「Copilot」はMicrosoftが開発した生成AIで、「Windows 11」や「Microsoft Edge」などの同社製品に組み込まれており、チャット形式でさまざまな質問をしたり、詩を書いてもらったり、絵を描いてもらうことができます(「Windows 10」にも搭載予定)。

「Windows 11」のデスクトップにいるこいつも「Copilot」。「Microsoft Edge」にもいる

 現在のところ3つのプランが用意されており、無印の「Copilot」はタダ。今回発表された「Copilot Pro」はその上のプランで、「Word」や「Excel」などの「Microsoft 365」アプリでも「Copilot」が利用できるほか、モデルへのプライオリティアクセス(後述)があるのが特徴です。

現在のところ3つのプランが用意されている。無印の「Copilot」はタダ

モデルへのプライオリティアクセス

 「Copilot」はOpenAIの大規模言語モデル「GPT-4」がベースになっていますが、アクセスが集中している場合、無料版は古い「GPT 3.5」へ制限されることがあるそうです。しかし、「Copilot Pro」には優先枠(プライオリティアクセス)があり、混雑時にも「GPT-4」や「GPT-4 Turbo」を使い続けられます。

 ちなみに、「Copilot Pro」のプライオリティアクセスは「Windows 11」や「Microsoft Edge」の「Copilot」にも適用される模様。「Copilot Pro」サブスクリプションを購入すると、「Copilot」ロゴの横に「Pro」という表示が現れます。これはモバイルデバイスなどにも反映されるでしょう。

「Windows 11」の「Copilot」も「Pro」に。心なしか応答が早くなった気がしないでもない

「Designer」での特典

 加えて、「Copilot Pro」に加入すると「Designer」(旧称:Bing Image Creator)の「ブースト」が増えます。

 「Designer」は、テキストによる命令をもとにAIが画像を生成するサービスですが、画像の生成には「ブースト」と呼ばれるポイントを消費します(「Designer」が魔法だとすれば、マジックポイントにあたるものです)。

 無印「Copilot」の場合、1日に15ブーストしか回復しませんが、「Copilot Pro」ならば1日当たり100ブーストもらえます。

「Copilot GPT Builder」へのアクセス

 「Copilot」では特定の目的に特化したモデル「Copilot GPT」が提供される予定ですが、「Copilot Pro」ならばそれをカスタマイズする機能「Copilot GPT Builder」にもアクセスできるようになります。詳細はまだ不明ですが、期待の持てる機能ですね。

「Microsoft 365」アプリへの統合

 しかし「Copilot Pro」最大の目玉は、なんといっても「Microsoft 365」アプリで使えるようになることでしょう。

「Microsoft 365」アプリへの統合こそが「Copilot Pro」最大の目玉
Web版「Microsoft 365」にはもう搭載されており、リボンなどからアクセスできる

 たとえばWeb版「Word」の場合、「町内会のボランティア清掃の案内を書いて」などと頼むと、それっぽい文書を下書きしてくれます。気に入らなければ、「時候の挨拶を書き足して」「集合場所は町内の公園にして」などと命令すると書き直してくれます。書きなれないドキュメントを書くときは、最初の一文がなかなか思い浮かばなかったりしますが、この機能があればスラスラと書き始められます。

「Copilot Pro」で町内会のボランティア清掃の案内を生成 - 窓の杜

 ただし、難点もあります。

  • 「Excel」はプレビュー版扱い。英語のみ
  • デスクトップ版「Microsoft 365」アプリはまだ未対応。Windowsでは「もうすぐ」、macOSとiPadOS では「まもなく」対応との由
  • モバイルアプリ(iOS/Android)への対応もまだ
  • ちょっと癖があることも

 癖というのは、たとえばWeb版「PowerPoint」でプレゼンテーションを作ってもらうとき、「窓の杜」についてのスライドを作ってもらっても、ちんぷんかんぷんな内容が出力されてしまいます。どうやら内容まではちゃんと考えてくれず、箇条書きするなどして自分で指定する必要があるようですね。そして、ときどき日本語で依頼しても英語のスライドが出力されます。何も言わなくてもいい感じのデザインにしてくれるのはありがたいのですが、手直しする手間の方が大きいようにも感じられます。このあたりはまぁ、おいおい改善されていくのでしょう。筆者がまだAIの使役に慣れていないことも大きいと感じます。

「Excel」はプレビュー版扱い。英語のみ
エラーが多発することも
ウソだらけのスライドを出力。内容はこっちで考えないとダメか……
スライドがなぜか英語になることも

 どんなプロンプト(AIへの命令文)を書いていいのかわからない……というユーザーのためには「Copilot Lab」というサンプルプロンプトのサイトも公式に用意されているので、こちらも活用していきたいですね。

サンプルプロンプトを集めた「Copilot Lab」

まとめにならないまとめ

 筆者が自腹で購入した雑感を申し上げると、「Copilot Pro」にはまだまだ足りない要素が多く、月額3,200円はちょっと割高。Microsoftも「パワーユーザー向け」というように、今すぐ試してみたい、不具合のフィードバックもガンガンやる!……というユーザーにしかお勧めできません。フツーのユーザーが急いで購入する必要はないでしょう。

 とはいえ、可能性を感じるのも事実。お仕事の記事執筆に使うことはありませんが、それ以外のことには積極的に活用してみたいなという気にさせられました。