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XLOOKUP/LET関数が無償オフィスアプリ「LibreOffice」に ~メジャー更新v24.8が公開
ドキュメントの保存時に個人情報を削除するオプションでプライバシーもバッチリ
2024年8月23日 16:08
The Document Foundation(TDF)は8月22日(中央ヨーロッパ時間)、オープンソースのオフィス統合環境「LibreOffice 24.8 Community」を公開した。「LibreOffice 24.2」に続く半年に1回のメジャーバージョンアップとなる。
「LibreOffice」は、オープンなドキュメント仕様「Open Document Format」(ODT、ODS、ODP)に対応するオフィススイート。「Microsoft Office」独自のOOXML(Office Open XML)フォーマット(DOCX、XLSX、PPTX)とも高い互換性を持つ。また、Windows/Macだけでなく、Linuxをカバーするのも魅力。Webブラウザーで利用できるようにした「LibreOffice Online」や、その技術を応用したモバイルアプリ「Collabora Office」も存在する。
ちなみに、「LibreOffice」は前バージョン(24.2)よりカレンダーベースのナンバリング方式(YY.M)を採用している。本バージョン「24.8」は、要するに「2024年8月アップデート」という意味だ。
「LibreOffice 24.8」ではプライバシーポリシー保護に力が注がれており、たとえば設定を有効化していれば保存時にドキュメントから個人情報(作成者名、タイムスタンプ、編集時刻など)が削除される。パスワードベースのODF暗号化のモードにより、セキュリティも強化された。
オフィススイートに含まれる各アプリでも、以下の改善が行われている。
ワープロソフト「Writer」
- ユーザーインターフェイスの改善:書式文字のハンドリング、コメントパネルの幅、ビュレットの選択、ハイパーリンクの新しいダイアログ、サイドバーに新しい検索デッキ
- ナビゲーターの強化:アイテムのドラッグ&ドロップによる相互参照の追加、脚注および文末注の削除、リンク切れの画像の表示
- ハイフネーション処理の改良
表計算ソフト「Calc」
- 新関数の追加:LET、RANDARRAY、FILTER、SORT、SORTBY、UNIQUE、SEQUENCE、XLOOKUP、XMATCH。「Microsoft Office」でもお馴染みの関数だ
- スレッド化による計算処理のパフォーマンス向上
- セル変更後の再描画を最適化。更新しなければならない箇所をできるだけ限定
- セルのフォーカスを表す四角形をセルの内容から離れた位置に移動させて使いやすく
- ナビゲーターの右クリックメニューからコメントの編集と削除が可能に
プレゼンテーションソフト「Impress」とドローソフト「Draw」
- 通常表示でスライド間のスクロールが可能に
- ノートがスライドの下に折りたたみ可能なウィンドウとして表示されるように
- 異なる画面であっても既定で「EditView」「PresenterConsole」の変更が実行中のスライドショーへ即座に反映されるように
そのほかにも、チャート機能やアクセシビリティが強化されている。カスタムシェイプを多用した「Microsoft PowerPoint」ファイル(PPTX)をより高速に開けるようになるなど、他社製品との相互運用性も強化された。
なお、今回リリースされた「LibreOffice 24.8」シリーズは新機能をいち早く体験したいパワーユーザー向けだ(Fresh版)。新しい機能よりも安定性と互換性を優先したいユーザーは「LibreOffice 24.2」シリーズの利用が推奨されている(Still版)。執筆時現在の最新版は、7月にリリースされた「LibreOffice 24.2.5 Community」。
また、Windows 7、Windows 8/8.1での利用は非推奨。2025年2月にリリースされる「LibreOffice 25.2」以降、動作保証外となる点には注意したい。
ソフトウェア情報
- 「LibreOffice」v24.8系統
- 【著作権者】
- LibreOffice contributors
- 【対応OS】
- Windows 7/8/10およびWindows Server 2012
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(寄付歓迎)
- 【バージョン】
- 24.8(24/08/22)