Blender ウォッチング

無料の3DCG統合環境「Blender 4.2」の新しい拡張機能は導入・管理が簡単!

「エクステンションプラットフォーム」の使い方を解説&便利なアドオンを紹介

 本連載では、無料の高機能3Dモデリングツール「Blender」の使い方や関連情報を幅広くお伝えします。

 7月16日(中央ヨーロッパ夏時間)、「Blender 4.2」が公式リリースされました。本リリースでは、「EEVEE-NEXT」や「エクステンションプラットフォーム」といった大型の新機能があります。

 今回は正式版となった「エクステンションプラットフォーム」の利用方法と、アドオンをご紹介していきたいと思います。

「Noise Nodes」アドオンと「ND」アドオンによる謎の機械の遺物。「ND」はスペースの都合で紹介できなかったが、これもいいアドオンなので機会があればぜひ

エクステンション・プラットフォームとは

 エクステンション・プラットフォームは、「Blender」を拡張する新しい環境を指します(単に公式エクステンションサイトを指すこともあります)。

 従来は、「Blender」の「アドオン」や「テーマ」などの拡張機能はインストールとアンインストールしかできず、ダウンロードや更新の確認は他のWebブラウザーを使用しないといけませんでした。

 そこで、「Blender」本体のみで閲覧からダウンロード・インストール・更新までが可能な機能の実装と、フリーでオープンソースの拡張機能を配布する公式Webサイトの構築の両方が行われました。

エクステンションの使用方法

 前置きはさておき、とりあえず使用してみましょう。

 エクステンションは、[プリファレンス]から閲覧・インストールできます(ローカルのディスクからも可能)。

 まずは、一番上の[編集]メニューから[プリファレンス...]でプリファレンスウィンドウを開きます。

 プリファレンスの[エクステンションを入手]タブをクリックすると、公式Webサイトで入手可能なエクステンション(と、あればインストール済みのエクステンション)のリストが表示されます。なお、インターネット接続環境が必要です。

プリファレンスの[エクステンションを入手]タブで表示された、執筆時点で利用可能なエクステンションのリスト。インストール済みのエクステンションも表示される

「オンラインエクステンションのインストールや更新はインターネットアクセスが必要です」という警告が出た場合は、[オンラインアクセスを許可]をクリックし、「Blender」がインターネットにアクセスできるようにしてください。

リストから配布サイトへのアクセス

 [≻]をクリックするとパネルが開き、そのエクステンションの情報が表示されます。簡単な説明が英語で書かれていますが、これではよくわかりませんね。

 「Webサイト」の隣のボタン([extensions.blender.org]など)をクリックすと、OS既定のブラウザーに配布元のWebサイトが表示されます。

「Webサイト」の隣のボタンをクリックすると、ブラウザーに該当ページが表示される

 どんな物かはわかったので、インストールしてみましょう。

 「Blender」に戻って[インストール]ボタンをクリックすればいいのですが、せっかくブラウザーで見ているので、ここからインストールしてみましょう。

 え? 「Blender」だけで完結しないのかって? 少なくとも現時点ではリスト内の情報が少なすぎるため、ブラウザーとの併用が現実的だと思われます。

Webブラウザーからのインストール

 公式エクステンションプラットフォームサイト内の配布ページの場合、右下に[Get Add-on]ボタンが表示されています。このボタンを クリックすると 、点線で囲まれた[Drag and Drop into Blender]と書かれた領域が表示され、マウスアイコンが変化します。

 この文字を「Blender」にドラッグ&ドロップすると、少し更新チェックをした後に[エクステンションをインストール]ダイアログが表示され、[OK]をクリックすればインストールされます。

 もちろん、公式Webサイトから検索して同様にインストールすることもできます。

ブラウザー内の[Get Add-on]ボタンをクリック(①)し、[Drag and Drop into Blender]と書かれた領域を「Blender」へドラッグ&ドロップ(②)、最後に確認ダイアログで[OK]をクリック(③)すればインストール可能

現在インストール中のアドオンの確認

 現在インストールされているアドオンは、[アドオン]タブから確認できます。

 ここで有効・無効を切り替えたり、アドオン固有の設定を変更できます。上記の[インストール]ボタンからインストールした時は、ここで有効化する必要があります(ブラウザーからドラッグ&ドロップした場合は自動的に有効化)。

[アドオン]タブのアドオンリスト。右端のアイコンはどこからインストールされた物かを示す(「「Blender」同梱(コアアドオン)」(Blenderロゴ)、「エクステンションサイト」(コミュニティアイコン)、「ディスク」(ファイルアイコン)

従来のアドオンは?

 上記のように従来のインストール済みのアドオンも表示され、右上の[∨]をクリックし、[ファイルからインストール]で従来通りインストールできます。エクステンションも同様にローカルにダウンロードしたファイルからインストール可能です。

従来のアドオンも右上の[∨]-[ファイルからインストール]でインストール可能
バンドルアドオンは?

 従来の「Blender」リリースにバンドルされていたアドオンは、一部(「Rigify」や「Node Wrangler」など)が「コアアドオン」として「Blender」とともに配布され、アドオンリストから直接有効化できます。

 他の旧バンドルアドオンは公式エクステンションプラットフォームサイトからダウンロードする必要があります。

エクステンションプラットフォームサイトについて

 公式エクステンションプラットフォームでは、前述のように完全にフリーかつオープンソースのアドオンが配布されています。アドオンは少なくとも現時点ではすべて審査済みであり、安心して利用できます。

  • 前述の「コアアドオン」以外は基本的に日本語化されていません。翻訳されていたらラッキーぐらいに思ってください。
  • 互換性がないと警告が出てインストールできない物が一部あります(Matalogueなど)。そんな時はダウンロードだけしておき、前述のように「ファイルからインストール」してみてください。

アドオンの紹介

 ここでは旧バンドルアドオン以外で、すぐ試せて実用性も高いアドオンを少しご紹介します。今回で登場しなかったアドオンについても、機会があればご紹介したいと思います。

Node Pie

 [Ctrl]+クリックで、ジオメトリノード用のパイメニューが開き、素早く追加できるようになります。単なるカテゴリのみでなく、レンダー固有のノードで分けられているなど便利です。ノードは日本語で表示されます(サブメニューを除く)。

「Nodes Pie」によるシェーダーノード表示。アドオンで追加されたノードは表示されないが、[Search]から検索可能

Wirefreme Color Tools

 複数のオブジェクトのワイヤーフレームカラーを一度に設定可能なツール。

 一応「Blender」にもワイヤーフレームに色付けする機能はあるのですが、これはそれを一つ一つ指定するのが面倒な時に役立ちます。

「Wirefreme Color Tools」。シェーディングモードの設定の[ワイヤカラー]を[オブジェクト](①)に設定しておき、色付けしたいオブジェクトを選択後、[オブジェクト]プロパティの[Wireframe Color Tools](②)で[Random Color]または[Get from Material]をクリック

Noise Nodes

 手っ取り早く凹凸や汚しを付加できるノイズテクスチャを、さらに11種類も追加します。プロシージャルテクスチャを多用する人は必携かもしれません。

「Noise Nodes」。スペースの都合でPixalator以外の10種類のサンプル。傷(Scratches)や汚れ(Regular)、カビ(Dot)、削れ(Crackle)と使えそうな物ばかり

終わりに

 今回は「Blender 4.2」で導入されたエクステンションプラットフォームについてご紹介しました。次回はその他新機能や変更についてご紹介したいと思います。

 ではまた。