やじうまの杜

Windows 11の「タスク マネージャー」はココがすごい!

「Microsoft Edge」プロセスの識別とCPUアーキテクチャーの表示が可能

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Windows 11の「タスク マネージャー」

 Windows 11ではさまざまな改善が行われていますが、「タスク マネージャー」でもちょっとした新機能が導入されています。

  • 「Microsoft Edge」プロセスの識別
  • CPUアーキテクチャーの表示

 ひょっとすると、近日リリース予定の「Windows 10 バージョン 21H2」にも搭載されるかもしれませんが、今のところ「Windows 10」では利用できず、「Windows 11」限定の機能になっているようです。

「Edge」プロセスの識別

 「Windows 11」の「タスク マネージャー」では[プロセス]タブが拡張されており、それぞれの「Microsoft Edge」プロセスに役割に応じたアイコンとタイトルが付けられるようになりました。

 「Windows 10 バージョン 21H1」で「Edge」プロセスを展開すると、基本的に同じアイコンと名前の子プロセスがツリー表示されるだけですが(Webページのプロセスにはそのタイトルが表示されます)――

「Windows 10 バージョン 21H1」の「タスク マネージャー」

 「Windows 11」ではそれぞれの子プロセスの役割に応じて「ブラウザー」、「タブ」、「ユーティリティ」といった名前が与えられるとともに、専用のアイコンが追加されています。

「Windows 11」の「タスク マネージャー」

 タブの場合は開いているWebページのタイトルが表示されますが、「InPrivate」モード(プライベートモード)の場合はちゃんとそれも隠されます。それぞれのプロセスの意味は以下の通りです。

  • ブラウザー:「Microsoft Edge」本体に関するプロセス。終了すると「Edge」関連のプロセスすべてが終了する
  • GPUプロセスユーティリティ:GPU、オーディオ、ネットワーク、ストレージなどを司るプロセス。終了すると機能が停止する。復活させるには「Edge」の再起動が必要
  • レンダラー:Webページを描画するプロセス。終了させると描画が中断され、「このページには問題があります」というエラーが表示される。再読み込みさせるとプロセスは復活する
  • サブフレーム:主に広告
  • 拡張機能プラグイン:終了させると、クラッシュしたことを示すバルーンが表示され、再起動するかどうかを尋ねられる
  • Crashpad:「Edge」の不正終了(クラッシュ)を報告する
  • 専用ワーカーサービスワーカー:Webページのバックグラウンドタスク。強制終了させると、Webページの機能が壊れることがある

 一般のアプリは1つのインスタンス(実行)につき1つのプロセスを持ちますが、「Edge」は複数のプロセスを持つ「マルチプロセス」アーキテクチャーになっています。プロセスは独立したメモリ空間を持ち、データをやり取りするには特殊な処理が必要。つまり、役割に応じてプロセスを分けておけば、他のプロセスまで乗っ取られる心配は少なくなります。つまり、セキュリティが高くなります。

 また、メインプロセス以外は「いつでもクラッシュする」ことを想定した設計になっているので、どこかのプロセスで発生したトラブルが全体に波及しにくいのも利点です。これは安定性の向上につながります。

 マルチプロセスは設計と実装が難しく、オーバーヘッド(余分な負荷、リソース消費)もあるので万能というわけではありませんが、セキュリティと安定性を重視したいWebブラウザーにはぴったりといえるでしょう。「Windows 11」の「タスク マネージャー」は、そうした「マルチプロセス」アーキテクチャーの内幕を覗いてみたいといったユーザーにピッタリです。「Edge」内蔵のタスクマネージャーと見比べてみるのもよいでしょう。

「Edge」内蔵のタスクマネージャー

CPUアーキテクチャーの表示

 「タスク マネージャー」の[詳細]タブは、[プロセス]タブよりも多くの情報が得られます。「Windows 11」ではこの画面も拡張されており、プロセスのCPUアーキテクチャーを表示できるようになりました。

 リストビューのカラムを右クリックして[列の選択]メニューを選択し、ダイアログボックスで[アーキテクチャー]オプションをONにすると、プロセスのCPUアーキテクチャーを示す列が追加されます。

リストビューのカラムを右クリックして[列の選択]メニューを選択し、ダイアログボックスで[アーキテクチャー]オプションをONに

 プロセスが32bit(x86)か64bit(x64)かを調べるだけなら、[プロセス]タブに「32 ビット」と書かれているかどうかをチェックするだけで十分なのですが、x86、x64、ARM32、ARM64の混在する「Windows on Arm」(Arm版Windows)ではとくに有用な機能です。