これからはじめるChatGPTの基礎知識

AIのしくみを知ろう ~AIの発展を加速させた深層学習

 話題の対話型AI「ChatGPT」の仕組みや基本操作をおさらいしてみましょう。このコーナーでは、人気AIの使い方がまるごとわかる新入門書『できるChatGPT』から抜粋してお届けします。
AIのしくみを知ろう(以下、画像は『できるChatGPT』より)

機械学習のしくみ

 プログラムであるAIが自動的に何かを判断するというのは少し不思議に感じるかもしれません。AIのしくみを単純化すると「データの入力→処理(判断)→結果の出力」となります。例えば、画像が犬か猫かを判断する場合を考えてみましょう。あらかじめ大量の犬や猫の画像を学習しておき、そのルールやパターンから判断基準となるモデルを用意しておきます。判断したい画像が入力されると、学習済みのモデルのどこに画像が位置するかを判断し、そこから犬である確率と猫である確率を計算します。その後、最終的な判断結果を出力します。

AIは大量のデータを学習し、それをもとに判断する
【使いこなしのヒント】データはベクトルで扱われる

機械学習では、データをベクトル(多次元の行列)として扱います。これにより、データに複数の情報を含めたり、位置や方向から類似性を判断したりすることができます。例えば、自然言語を処理する際に、同音異義語を扱えたり、似たような言葉を扱えたりします。

【使いこなしのヒント】あらかじめ学習したモデルが使われる

AIは対象を判断する基準として、あらかじめ学習済みのモデルを利用します。ChatGPTの「GPT」は「Generative Pre-Trained Transformer」の略ですが、この「Pre-Trained」が、大量のデータを使って事前に学習済みのモデルという意味になります。

深層学習のしくみ

 AIが大きく進歩したきっかけとなったのは深層学習の登場です。深層学習は、人間の脳を模したモデルを高度化した機械学習のしくみです。画像を判断する場合、従来は、「画像にこういう特徴があれば犬」というように、データを判断する基準を人間がある程度線引きする必要がありました。深層学習では、大量のデータを学習する過程で、AI自身が判断基準となる「特徴量」を自ら発見して学習します。例えば、何かを学習すると、その特徴によってネットワークのつながりの重みづけが変更されます。この重み付けの違いを活用して、入力されたものが何かを高い確率で判断できるようになります。

深層学習は人間の脳と同様に、データの特徴を探して内容を判断する
【使いこなしのヒント】ニューラルネットワーク

深層学習で使われる人間の脳を模したモデルは、ニューラルネットワークと呼ばれます。人間が何かを学習する際、脳の神経細胞に次々に信号が流れ、そのつながりが活性化されることをプログラム的に再現したモデルとなります。

深い層を使って学習する

 深層学習は、中間層としてたくさんの層を重ね合わせることで、複雑な処理ができるようになっています。このように深い層(Deep)を使って学習できることから「ディープラーニング」という名称が付いています。

まとめ:AIの発展を加速させた深層学習

 深層学習の登場によって、AIはさまざまな高度な処理ができるようになりました。例として取り上げた画像の認識はもちろんのこと、イラストや写真の生成、将棋などのゲーム、車の自動運転など、もはやAIの世界では深層学習はなくてはならない存在となっています。

書籍紹介:『できるChatGPT』

  『できるChatGPT』(清水理史 著/できる編集部 著/越塚登 監修)は、「ChatGPT」の仕組みから基本的な操作、便利な使い方まで1冊で解説した新入門書。

 すぐに使えていろいろ役立つプロンプトを「できる」シリーズならではの丁寧な説明とわかりやすい構成で多数紹介されている。また、「ChatGPT」と他の対話型AIとの違いや、使用する上で注意したい著作権への配慮、セキュリティ対策もしっかりと説明。この1冊で「ChatGPT」を安心して使うことができる。

 7月13日発売。価格は、単行本・電子版ともに1,760円。全160ページ。