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「ChatGPT」って何? ~いまからでも大丈夫! 初心者にもよくわかる基本解説!
人工知能がもたらす新しい価値とは?
2023年5月15日 06:30
昨年2022年11月にリリースされ、ものすごい勢いでユーザー数が増えている「ChatGPT」。テキスト生成AIのサービスで、ユーザーが自然言語で使えるチャットボットとなる。単に、AIと会話をするだけなのだが、ビジネスのあり方を大きく変革させると言われており、注目度がどんどん高くなっている。
そこで今回は「ChatGPT」の基本から使い方までを紹介する。ちょっと乗り遅れたな、と言う人もぜひ参考にしてほしい。
「ChatGPT」とは? ~初心者が知っておくべき基本
「ChatGPT」は、昨年11月に米OpenAI社がリリースした大規模言語モデルの一種。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、自然言語、つまり普通の話し言葉でAIとやり取りできるのが特徴だ。日本語でも利用できるので、気軽にチャレンジできる。
「ChatGPT」の無料版は「GPT-3.5」という言語モデルをベースにしている。2020年に公開された「GPT-3」の改良版で、2021年6月までのデータを使って学習して2022年に公開された。
現在は「GPT-4」が公開されており、これは「ChatGPT」の有料プランを契約しているユーザーが利用できる。ただし、3時間に25メッセージまで、という制限がある。
「ChatGPT」がここまで話題になったのは、入力文に対して、人間のように回答してくれるため。膨大な情報を元に学習しているので、なんでも瞬時に回答してくれるのだ。ただし、「GPT」は言葉の意味を理解しているわけではない。言語のパターンやルールを学習し、例えば主語と述語を組み合わせるとか、句読点を打ったりしている。単語の後ろに来そうな単語を推測し、繋げていっているだけなのだ。
一例を挙げると、「空が」の次には「青い」「曇っている」「割れた」といった単語から続く確率の高い言葉を選んでいる。そのため、どんな文章が出てきても、「GPT」に感情があるわけではないので、肝に銘じておこう。なぜ、こんなことを先に言うのかというと、「ChatGPT」が驚くほど賢いので、人格があるように感じることがあるからだ。
では早速使ってみよう。OpenAIのサイトから[Try ChatGPT]をクリックして[Sign up]を選択。メールアドレスを入力してアカウントを作成しよう。Google アカウントやMicrosoftアカウントでもログインできる。
入力した情報を学習に利用されないようにオプトアウトする
初回ログイン時に注意書きが表示されるが、今回ばかりはきちんと読もう。
- こちらは自由研究のプレビューです。
- 外部からのフィードバックを得ることで、システムの改善や安全性の向上につなげることを目的としています。
- 安全策を講じていますが、システムは時として不正確な情報や誤解を招く情報を生成したり、不快な内容や偏った内容を生成することがあります。また、アドバイスを与えることを意図していません。
- 会話は、当社のAIトレーナーがシステム改善のために確認することがあります。
- 会話の中で機密情報を共有しないようにお願いします。
入力した情報は見られることがあるため、機密情報は「ChatGPT」に入力しないことが基本。そのうえで、それでも入力情報を見られたくない、というのであればオプトアウトすることで、学習利用を拒否できる。
オプトアウトするには、「User Content Opt Out Request」のサイトにアクセスし、メールアドレスと必要事項を入力して[送信]をクリックすればよい。「Organization ID」と「Organization name」は、OpenAIアカウントの設定ページで確認できる。
「ChatGPT」を活用できるかどうかはプロンプト次第
それでは「ChatGPT」の「Send Message」フォームに何か入力してみよう。
ちなみに、入力する文字列のことを「プロンプト」と呼ぶ。例えば、「犬を飼うときに注意すべきことを教えてください」とプロンプトを入力すると、すぐに箇条書きで注意点を列挙してくれる。内容は過不足なく、説明は簡潔でわかりやすい。間違っているところもなさそうだ。
続いて「日本の屋内で飼うのに適している犬種はなんですか?」と入力すると、また回答してくれる。2番のフレンチ・ブルドックについて知りたいなら、「2について詳しく教えて」と入力すればよい。チャットボットなので、そのセッション内で入出力した情報は記憶しているのだ。すぐにフレンチ・ブルドッグについて説明が表示される。
「ChatGPT」は単なる質問だけでなく、作業をしてもらったり、何かを考えてもらったりできる。ここでは試しに、ビジネスチャット「Slack」を社内導入する際の稟議書を作成してもらおう。
「Slackを導入したいので稟議書を書いてください」という、現実で誰かに頼んだら怒られそうなざっくりとした指示でも、数秒でさくっと回答してくれる。もうこの文章をコピーするだけで、いいかもしれない。
次は、ビジネスチャット「LINE WORKS」を活用する12ページのプレゼン資料を作る作業に「ChatGPT」を利用してみよう。
「『LINE WORKSを導入して社内コミュニケーションを活性化させる』というプレゼン資料を作成します。枚数は12枚です。目次案を考えてください」と入力すると、さくっと目次案が過不足なく出力される。事例や表紙、参考文献などが不要であれば、その旨を指示するか、多めの枚数を指定して出力させ、取捨選択すればよい。
プレゼン資料を作る際は、はじめにたたき台を作るのが大変だが、まず「ChatGPT」で作ってから作業に取り掛かれるので、圧倒的な時短になる。抜け漏れも少なくなるし、自分以外の視点も入れられるので、資料が充実することだろう。
この記事はもちろん筆者が書いているが、試みとしてタイトルを考えてもらってみた。
「ChatGPTの基本を紹介する記事のタイトルを考えてください対象はChatGPT初心者で、ChatGPTのすごさもアピールしてください。文字数短めから眺めまで、10パターン考えてください」と入力してみた。続けて、サブタイトル用に「ChatGPTという単語を使わない見出し案も10パターン考えてください」と入力。プロンプトに誤字があっても問題はない。この結果を元にアレンジを加えたものが、本稿のタイトルだ。
もっと使いこなしたい人必見! ワンランク上の「ChatGPT」活用法
「ChatGPT」は、ブレインストーミングや壁打ちの相手にもなってくれる。例えば、以下のようなプロンプトを投げてみた。
社長から何か新規事業を立ち上げろと言われました。担当は自分一人で、予算は少なめです。領域はITにしろと言われていますが、何でもいいと思います。どんな事業が考えられますか? 我々は、印刷会社で、従業員は25人、年商は7億円です。
普通の人であれば、もっと自分で頭を使ってから相談しろ、と怒りそうな内容だ。しかし、「ChatGPT」は文句ひとつ言わず、7つもの新規事業とその概要を提示してくれた。
自分の会社の情報を入れているので、印刷領域に絡むような事業が多いのは流石だ。今回のように生成される文章が長くなると、途中で途切れてしまうことがある。そんなときは「続けて」と入力するだけでOK。すぐに続きが表示される。
さて、ここからが「ChatGPT」のすごいところ。チャットをしながらどんどん深堀りしていくことができるのだ。「オンラインデザインツールの開発」が面白そうだったので、「1番に興味があります。どのようにして事業を立ち上げればよいですか?」と入力してみる。
8つの手順が紹介されたので、今後のアクションプランの参考にできるだろう。ちなみに「ChatGPT」は最新情報を持っていないので、例えば、具体的なWebアプリの内容を提示しろ、といった指示には対応できない。「申し訳ありませんが、私はAIプログラムであり~」のような回答で、一般論が提示される。
目標とする情報を生成させるために、「ChatGPT」にこちらに質問させて会話しながら深堀りしていくこともできる。ここでは、以下のようにプロンプトを入力してみる。
あなたのゴールは、私のニーズに合った最高のプロンプトを作るのを手伝ってくれることです。そのプロンプトは、あなた、ChatGPTが使用します。あなたは次のプロセスを踏みます。
- あなたの最初の応答は、何についてのプロンプトかを私に尋ねることです。私は答えを提供しますが、次のステップに進むことで、継続的に反復して改善する必要があります。
a) 改訂版プロンプト(書き直したプロンプトを提供する。明確で簡潔で、あなたが理解しやすいものでなければならない)
b) 提案(プロンプトを改善するためにプロンプトに含めるべき詳細について提案する)
c) 質問(プロンプトを改善するために私が必要とする追加情報に関して関連質問をする)。- 私があなたに追加情報を提供し、あなたが「改訂版プロンプト」セクションのプロンプトを完成させるまで更新するという、この繰り返しプロセスを続けます
すると、指示通りに質問してくるので「記事を書くので、構成を考える」と回答する。次に、記事のトピックや目的、対象読者などを聞いてくるので、「文章作成スキルを向上させる方法」などと回答する。情報が足りないと、再度質問してくるので、また回答していく。
そうすると、改訂版プロンプトを提案してくれたので、そのまま「ChatGPT」に入力してみたところ、あっという間に1,350文字の原稿を書いてくれた。
内容も「シンプルで明確な言葉を使う」「構成を整理する」「題材に関する知識を深める」「視点や例を使って説明する」「フィードバックを求め、改善する」「練習を続ける」「ターゲットオーディエンスを意識する」といったもので十分参考になるレベル。ライターの仕事も「ChatGPT」に大きな影響を受けそうだ。
以上が、文章生成AI「ChatGPT」の基本解説となる。「ChatGPT」はビジネスの業務効率を爆発的に上げてくれる神ツールだ。部下に指示を出すときのように、具体的にかつ明確に指示すれば、きっと「ChatGPT」は答えてくれる。ぜひ、上手に活用していただきたい。
著者プロフィール:柳谷 智宣
IT・ビジネス関連のライター。キャリアは25年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。日々、大量の原稿を手掛けており、窓の杜では連載『柳谷智宣の「実は色々できるPDFの活用法」』などを執筆。PDFファイルも日常的に利用し、メインのPDFツールは「Acrobat Pro」を活用。
・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/