これからはじめるChatGPTの基礎知識
ChatGPTの注意点とは ~組織の利用ルールを守って使おう
2023年8月2日 09:00
人間の著作物がベースになっている
ChatGPTに限らず、生成系AIが出力した文章や画像は、そのままレポートや報告書として提出したり、自社の商品のラベルなどに使ったりしても問題ないのでしょうか? こうした問題に対して、はっきりとした基準や判例はありません。しかし、生成系AIは、インターネット上の既存の文章や画像を学習することによって、出力を生成しています。このため、生成された文章や画像が、既存の作品を引用していたり、似通った作風を持ってしまったりする可能性があります。出力をそのまま使うのではなく、あくまでも人間の思考や発想の手助けをするアイデアとして活用する必要があります。
ChatGPTで出力された文章の扱いについては、利用規約(OpenAI Cerms of use)に記載されています。2023年6月時点では、出力に対する権利や利益は利用者にあり、商用利用も可能であるとされていますが、変更される場合があるので必ず確認しましょう。詳しくは本編・巻末のQ&Aも参照してください。
ChatGPTで出力された文章をビジネスに活用することはできますが、それと著作権の問題は別となります。出力された文章が、偶然、既存の出版物などと似てしまった場合、他人の著作権を侵害してしまう可能性もあるので、利用する際は細心の注意が必要です。
すべて「本当のこと」とは限らない
ChatGPTで出力された回答は、必ずしも真実とは限りません。2023年6月時点では、ChatGPTは2021年9月時点のデータでトレーニングされています。このため、それ以降の情報については正しく答えることができません。また、ChatGPTは、そのしくみ上、入力された文章に続く単語を次々に予測しているだけなので、正しい情報ではなく、学習元により多く含まれていた情報(つまり、次に来る可能性が高い単語)を回答する傾向があります。回答が間違っている可能性があることは意識して使う必要があります。
OpenAIの利用規約では、サービスを利用できる年齢を13才以上としています。また、18才未満の場合は、保護者の許可が必要としています。
ChatGPTでは、入力された文章は、サービスの改善のためにOpenAIに利用される可能性があります。名前や住所などの個人情報、新製品や知財に関する社内の機密情報などの入力は避けましょう。
出典元の記載や掲載前の調査が必要
では、ChatGPTの出力結果はどのように利用すればいいのでしょうか? 著作権の問題に関しては、出力結果を利用する前に検索し、同じような言い回しや表現の文章がないかを確認するといいでしょう。また、出力結果をレポートや報告書などで使う場合は出典を明記すると確実です。例えば、「Written with ChatGPT(ChatGPTを使って執筆)」と記載するといいでしょう。
ChatGPTでは、日本語での質問も可能で、日本語で回答してもらうことができます。ただし、2023年6月時点では、日本語の学習データが多くないため、正確な回答が得られない場合もあります。場合によっては、英語で質問した方が的確な回答が得られることもあります。
まとめ:組織の利用ルールを守って使おう
ChatGPTの利用方法は、現在、多くの組織でルール作りがなされている最中です。すでに全社導入している企業もあれば、レポートや課題などへの利用を禁止している学校などもあります。必ず自分が所属する組織のルールで、用途や禁止行為などを確認しておきましょう。
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