いまからでも遅くない!ツールとして使うAI画像生成
第1回
「Stable Diffusion」で通勤中に年賀状用のイラストを描く!
PC不要で日本語OKなツールを紹介
2022年11月29日 15:54
こんにちは はじめまして!
最近『AIとコラボして神絵師になる』という本を書いた しらいはかせ と申します。デジタルハリウッド大学の大学院での先生や、メタバース研究所のディレクターをしながら、趣味でAI画像生成の研究をしています。
ものすごいスピードで進化を遂げているAI画像生成分野ですが、窓の杜編集部から「Stable Diffusion」を軸に、身近になったテキストによる画像生成のコツを読者に伝える「ゆるめの連載」をお願いされましたので、英語や難しい論文が苦手な方でも、最近のAI絵師業界で飛び交っている専門用語等などをできるだけわかりやすく解説しながら、誰にでも使える、楽しめるツールとしてのAI画像生成についてお伝えしていきたいと思います。
「Stable Diffusion」で年賀状イラストを描く
さて連載第1回は、 PC不要!通勤中に「Stable Diffusion」で年賀状イラストを描く と題して、2022年11月末現在、スマホだけで無料で利用できるAI画像生成で年賀状イラストを描けるかどうか?を実験してみたいと思います。
評価においては以下の要素に注目してみました。
- 基本無料で利用できるか
- 登録が簡単か
- スマホのレイアウトで操作しやすいか
- 生成画像のクオリティ
- 生成にかかる時間
- スタイル調整の自由度
料金やビジネスモデルについてもわかる範囲で触れていきますね。
LINEから最もお手軽「お絵描きばりぐっどくん」
TV番組などでよく紹介される「お絵描きばりぐっどくん」は、LINEのアカウントから友達登録で利用できます。
描きたい絵を表す言葉をお絵描きばりぐっどくんに送ってね!
しばらく待つと、絵が返ってくるよ!
日本語でも英語でも入力OKだよ!
例えば、
“ゴッホが描いた長崎県西海市の港”
“ピカソが描いた福岡県飯塚市の大学のキャンパス”
"馬に乗った宇宙飛行士の写真"
などなど、描きたい絵を説明した言葉を送ってね。
ばりぐっどくんの使い方より引用
本当に日本語で適当な「プロンプト」(画像を生成するための命令、通称:呪文)を送信するだけで、10秒程度で生成されます。
「ばりぐっどくん」とのLINEチャットで『かわいいうさぎの年賀状イラスト』をプロンプトとして与えたところ、イラストに強い「イラストばりぐっどくん」を紹介されました。実際の生成例がこちらです。
内部で使われている「Stable Diffusion」の特性上、以下のような特徴があります。
- ランダムを使っており、同じプロンプトでも毎回違う結果になる
- 文字は苦手
プレミアムメンバー登録は550円/月。無料で生成できる回数は固定ではないそうです。また権利面については以下のように記載されています。
生成された画像データの著作権に関して、本アプリによって利用者が送信するテキストデータから画像への変換については、当社の意思に基づき利用、加工、複製、翻案等を行うものではなく、本アプリのAI機能によって専ら機械的に行われるに過ぎません。したがって、当該テキストまたは画像の著作権、商標権、肖像権その他の知的財産権その他の権利の保護について、当社は、いかなる関与又は保証を行うものではありません。このため、利用者は、自己責任に基づき、本アプリを利用するものとし、本アプリの利用の結果、第三者の権利侵害が発生した場合においても、利用者自らの責任と費用によって解決するものとし、当社は、いかなる責任も負わないものとします。
非常に早いタイミングでLINEチャットボットに実装された「ばりぐっどくん」ですが、どんな人が作ったのか興味が出てきましたので調べてみました。
プレスリリースによると、開発者は宮里賢史さん(西海クリエイティブカンパニー)。デジタルハリウッド株式会社が運営をする、起業家・エンジニア養成スクール『G’s ACADEMY』FUKUOKA DEV 1期の卒業生でもありました。
西海市×G’s ACADEMY 短期集中プログラミングキャンプ『G’s CAMP SAIKAI』2/26-27開催 | デジタルハリウッド株式会社
AI画像生成で大人気サービスを起こすなんて、夢がある話ですよね!
アプリ「AIピカソ」
続いて紹介するのは株式会社AIdeaLabによるiPhone/Android用のアプリ「AIピカソ」です。ダウンロードすれば無料で4枚までは生成できます。無料枠を使い切っても広告を観ると、また4本は無料で生成できます。
「Stable Diffusion」を内部で使用しており、ベースになる絵を使って指定の箇所のみをAIに描かせることもできます(AI絵師界ではこの技術を Image-to-Imageもしくはimg2img、 i2iと呼んでいます)。
AIピカソでのマスク機能は、任意の元絵をアップロードして、AIに描画させたいエリアを灰色で塗ります。
ここでは、AI生成で「かわいいうさぎ こっちを見ている 白黒イラスト」といったプロンプトで生成した画像をまずは作成し、その画像をアップロードして、スマホで指を使って粗くうさぎのエリアを残したマスクを作って、背景に「お菓子の家」という新たなプロンプトで書き足しています。
ここでは「お菓子の家」といった日本語でもちょっと解釈が難しいプロンプトを与えています。もっと凝ったプロンプトを与えることもできますし、パターン画像のようなものを与えることができると思います。
内部では英語に翻訳しているようですので、直接指定するなら、英語のプロンプトのほうが向いていると思います。せっかくなので「Google 翻訳」や「DeepL」などの翻訳ツールを使って英語の壁を超えて行きましょう。
さてここまでPC不要!ぜひ通勤通学の電車の中でも探求してください!
AI画像生成について、技術はおもしろいけど、権利面や法律面、アートの未来などの文化芸術面での疑問や不安もたくさんあると思います。
そんなモヤモヤに答えていくイベントを開催します。
『AIとコラボして神絵師になる 論文から読み解くStable Diffusion』出版記念イベント「デジタルコンテンツマネジメント学から見るAI画像生成」
- 【日時】2022年12月2日(金)19:30~21:00
- 【イベントURL】http://dhgsevent221202.peatix.com
- 【会場】デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパス メディアライブラリー(東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ アカデミア3F)
特に以下のような方々に届いて欲しい……!
- AI画像生成なんて消えてなくなればいい
- 技術の進化がはやすぎてついていけない
- アーティストの権利、何だと思ってるの?
- 人類はどこへ向かうんだろう
- デジハリを覗いてみたい👀
参加していただけると、きっと「人間がやるべきこと」が見えてくると思います。
「Zoom」のLive配信もありますが、可能な方は物理会場(新御茶ノ水駅前)での参加もおすすめです(先着順)。
次回も「Stable Diffusion」を活用した、高価なPC不要、無料かつ日本語だけで使え、より印象的で凝った画像が生成できるツールを紹介していきたいと思います。
続きはまた次回!
チャオ!
デジタルハリウッド大学大学院 客員教授。
VRエンタメの研究者・クリエイターとして⻑い経験を持つ博士(工学)。
著書『AIとコラボして神絵師になる 論文から読み解くStable Diffusion』、『WiiRemoteプログラミング』、『白井博士の未来のゲームデザイン - エンターテインメントシステムの科学』で未来予測を書き綴り、「創る人を創る」をモットーに活動する。ゲーム開発者、放送技術の研究開発、大学教員、日本科学未来館科学コミュニケーター、学生VRコンテスト(IVRC)実行委員、欧州最大のVRフェスティバル「Laval Virtual」の評議員、芸術科学副会長やVTuberにAI絵師など多様な仕事をしながらメタバースの未来を研究する研究所のディレクター。