Windows 11 バージョン 22H2の新機能を使いこなす

第8回

マルチモニター、ゲーム、電力消費……「Windows 11 2022 Update」の恩恵はほかにもいっぱい!

 「Windows 11 2022 Update」の新機能と改善点を紹介する本連載。最終回となる今回は、これまでの回で紹介しきれなかった点を一気に挙げていきたいと思います。雑多な内容になりそうですが、なかには気に入った改善があるかも? 最後までぜひご一読ください。

マルチモニターでのマウスカーソルの引っ掛かりがなくなる

 解像度の異なるモニターを混ぜて利用しているとき、モニターを跨ごうとしてマウスカーソルが引っかかってしまったことはありませんか? 互いに接していないところで隣のモニターへ移動できないのはある意味当然ですが、そこは気を利かせてマウスカーソルをワープさせてくれてもよいように感じます。

解像度の異なるモニターが混在したマルチモニター環境。オレンジ色で示した部分でマウスカーソルが引っかかる

 「Windows 11 2022 Update」ではそんなユーザーのため、「設定」アプリの[システム]-[ディスプレイ]-[マルチ ディスプレイ]セクションに[ディスプレイ間でカーソルを簡単に移動させる]というオプションが新設されました。これは既定で有効化されており、マルチモニター環境でのちょっとした不満を改善してくれます。

[ディスプレイ間でカーソルを簡単に移動させる]オプションが新設

ウィンドウ ゲームの最適化

 ちょっと階層が深くなりますが、「設定」アプリの[システム]-[ディスプレイ]-[グラフィック]-[既定のグラフィック設定]が拡充され、従来の[ハードウェア アクセラレータによる GPU スケジューリング]というオプションに加え、[ウィンドウ ゲームの最適化]というオプションが追加されました。

[ウィンドウ ゲームの最適化]というオプションが追加

 このオプションはDirectX 10/11ゲームをウィンドウモードなどでプレイする際に、既存の「blt-model」プレゼンテーションの代わりに「フリップ モデル プレゼンテーション」を利用することでゲームのパフォーマンスを引き上げます。

 対応するゲームのみとなりますが、フレームの待機時間が短くなるほか、「Auto HDR」や可変リフレッシュレート(VRR)などの機能が利用可能になるようです。

フォーカス設定

 第4回で「通知センター」から「Windows アラーム & クロック」の「フォーカス セッション」を開始できることを説明したときに紹介し忘れたのですが、「設定」アプリに[システム]-[フォーカス]セクションが追加されており、「フォーカス セッション」に関する設定が行えます。

「フォーカス セッション」に関する設定

 集中力を奪うタスクバーのバッジや点滅は初期状態で無効化されていますが、必要であれば表示することもできます。

エコじゃない電力設定に注意喚起

 Windows 11にはさまざまな省電力機能が備わっていますが、有効にしていなければ意味はありません。

 そこで電力設定がエコじゃないとき、[システム]-[電源とバッテリー]セクションに注意メッセージが表示されるようになりました。案内に従って設定を変更すれば、炭素排出量がちょっとだけ少なくなります。

[システム]-[電源とバッテリー]セクションに注意メッセージ

ディスクとボリューム管理

 [システム]-[記憶域]セクションでは、「Fluent Design System」に準拠したデザインのアップデートが行われています。細かくは省きますが、比べてみるとところどころ変わっているのがわかります。

デザインがアップデートされたボリューム管理画面
従来のボリューム管理画面

タッチキーボード → テキスト入力

 [個人用設定]-[タッチキーボード]セクションは、[テキスト入力]セクションに改められました。これはタッチキーボードだけでなく、音声入力パネルのテーマも一緒にカスタマイズできるようになったからです。

[個人用設定]-[タッチキーボード]セクションは、[テキスト入力]セクションに

 絵文字パネルで利用できる絵文字も拡充されているようで、複数の人からなる絵文字には右下に小さなインジケーターが追加されています。これをクリックすると、それぞれの人の肌の色をカスタマイズできます。

複数の人からなる絵文字には右下に小さなインジケーター
それぞれの人の肌の色をカスタマイズできる

フォント

 [個人用設定]-[フォント]セクションもちょっとだけデザインが変わりました。機能はほぼ変わりませんが、ドラッグ&ドロップだけでなく、フォントファイルを参照してインストールできるようになったのは新機能です。

[個人用設定]-[フォント]セクション
従来のデザイン

[アプリと機能]設定を分割

 インストール済みアプリをアンインストールしたいとき、これまでは[アプリ]-[アプリと機能]セクションを利用していました。しかし、この画面にはインストール済みアプリの一覧のほかにもいろいろゴチャゴチャ混ざっていて、ちょっと使いにくかったかもしれません。

 そこで「Windows 11 2022 Update」では、[インストールされているアプリ]と[アプリの詳細設定]の2つに分割されました。[インストールされているアプリ]は[Windows]+[X]メニュー([スタート]アイコンの右クリックメニュー)からもアクセス可能で、不要なアプリをサクッと削除することができます。

[インストールされているアプリ]が独立して、扱いやすく

アカウント

 [アカウント]セクションはちょっとリッチになり、「Microsoft 365」や「Microsoft Office」を購入している場合は、その購入状況が表示されるようになりました。将来的にはXboxのサブスクリプションなども、ここで管理できるようになるでしょう。

[アカウント]セクションはちょっとリッチに

 この部分は「オンライン サービス エクスペリエンス パック」でアップデートできる仕組みになりつつあるようで、今後はよりアグレッシブな改善が期待できます。

 また、[アカウント]-[家族]セクションなども新しくなっています。

[アカウント]-[家族]セクションなども新しく

日付と時刻

 「設定」アプリのアップデートは挙げるときりがないのですが、マイナーなところで言うと[時刻と言語]セクションもちょっと変わっています。今の設定で現在の日時がどのように表現されるのか、タイムゾーンの設定などが一目でわかるようになっています。

[時刻と言語]セクションもちょっと変更

更新プログラムをアンインストールする

 「Windows Update」でトラブったので、パッチをアンインストールしたい……そんなとき、これまでは「コントロール パネル」の[インストールされた更新プログラム]画面を利用する必要がありました。この画面は「設定」アプリの[Windows Update]-[更新の履歴]セクションからジャンプできます。

更新プログラムをアンインストールするには「コントロール パネル」へのアクセスが必要だった

 「Windows 11 2022 Update」ではこれが改められ、「コントロール パネル」の[インストールされた更新プログラム]画面は「設定」アプリの[Windows Update]-[更新の履歴]-[更新プログラムをアンインストールする]セクションに統合されました。

[Windows Update]-[更新の履歴]-[更新プログラムをアンインストールする]セクション

 これは「コントロール パネル」から「設定」アプリへの移行の一環。「Windows 11 2022 Update」の「コントロール パネル」は項目が減り、さらに寂しくなっています。いずれは廃止されるでしょう。

ますます寂しくなった「コントロール パネル」

最後に

 まだまだ細かいところを上げていけばキリがないのですが、全体的にレガシーを排除し、モダンで統一したユーザーインターフェイスへと置き換えられているのが印象的です。たとえば「メモ帳」で印刷したときにあらわれるダイアログも、プレビュー付きのモダンなものに差し代わっています。アイコンもちょくちょく変わっていて、充電アイコンの「プラグ」は「イナヅマ」になりました。一つ一つ課題をクリアしていっていることが感じられます。

「メモ帳」で印刷したときにあらわれるダイアログ(従来)
レガシーを排除し、モダンで統一したユーザーインターフェイスへ

 一方で、課題も残っています。いまだ廃止に至っていない「コントロール パネル」もそうですが、アクセシビリティ機能の目玉といえる「ライブ キャプション」は英語のみ対応のまま「Windows 11 2022 Update」がリリースされました。「ナレーター」に追加された「自然な音声」も英語のみです。どれも魅力的な機能なだけに、日本語への対応が待たれるところですね。

アクセシビリティ機能の目玉「ライブ キャプション」は英語のみの対応