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「Microsoft Teams」Ignite 2023で発表された最新アップデートまとめ

Teamsのメタバース「Mesh」は2024年1月に一般提供へ

Microsoft公式ブログ「What's New in Microsoft Teams | Microsoft Ignite 2023」

 米Microsoftは11月15日(現地時間、以下同)、同社主催の開発者向けテクニカルカンファレンス「Microsoft Ignite 2023」において、ビジネスコミュニケーションアプリ「Microsoft Teams」の最新アップデート情報を公開した。

 10月よりパブリックプレビューが開始されたMRプラットフォーム「Microsoft Mesh」の一般提供が2024年1月に開始予定、などとアナウンスされている。合わせて、2023年11月のアップデート内容も発表された。

Microsoft Teams - The smart place to work

Copilot in Microsoft Teams(TeamsのCopilot)

Teams会議でトランスクリプトを保持しない

 会議後にトランスクリプション(文字起こし)を保持せずに、会議中に「Copilot」を使用できるようになった。会議の主催者が会議前または会議中に保持するか、しないかを設定できる。“Without transcription(文字起こしなし)”を選択した場合、会議中に「Copilot」へ質問することができ、その会議終了後は文字起こしや「Copilot」とのやり取りは保持されない。

 ただし、会議後に記録が保持されないため、会議の後でインテリジェント要約機能も「Copilot」も利用できなくなる。なお、本機能は「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを所有するユーザーが利用できるとのこと。

CopilotがTeamsのチャットとチャネルでお手伝い

 作成ボックスの作成支援ツールで「Copilot」を使用すると、自分自身をより適切に表現し、アイデアを簡単なメッセージへと変換してくれる。チャット、会議チャット、チャネルのいずれの場合でも、作成ボックスに下書きメッセージを入力すると「Copilot」がお手伝いしてくれる。

 送信する前に「Copilot」にお願いすれば、メッセージの書き直しやトーンの調整、メッセージの長さも適切なものに変更してくれる。なお、本機能も「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを所有するユーザーが利用できるとのこと。

TeamsチャネルのCopilot

 Teamsチャネルの「Copilot」は、比較的長いディスカッションをすぐに理解できる。「Copilot」にタスクリスト、キーとなる論点、その他の質問など、チャネル内の投稿・会話から重要な情報を強調表示するように依頼できる。

 すると「Copilot」は、要求された情報を整理して概要を生成。ユーザーが情報源を認識できるよう、その概要には引用が含まれている。本機能は「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを所有するユーザーが利用できる。

通話アプリにおける「Copilot」:通話後のエクスペリエンス

 「Copilot in Teams Phone」は、AIのパワーを利用して重要なポイント、タスクの所有者、次のステップを把握することで、多忙な仕事の処理を支援し、同僚とのつながりやコラボレーションに集中できるようにする。

 今後は、Teamsの通話アプリから「Copilot」を使用し、以前に行なった通話から分析情報を簡単に取得できるようになる。「Copilot in Teams Phone」は、VoIP通話とPSTN通話の両方をサポートする。なお、本機能は「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを所有するユーザーが利用できる。

カスタムチャネル

 チャネルにおいて、クリエイティビティを活用して新しい方法でチームを参加させる、パーソナライズされた背景を作成できるようになった。画像を追加したり、説明を入力したり、AIの力を利用してパーソナライズされた背景を生成したりできる。

 生成AIを使用したイメージの作成には「Teams Premium」および「Microsoft 365 Copilot」ライセンスが必要となる。本機能は2023年末までに利用可能になる予定。

「Copilot」とインテリジェント要約機能との統合

 インテリジェント要約機能が「Copilot」に統合され、会議に関する特定の質問をして明確な回答が得られるようになる。これにより、「Teams Premium」を利用してAIに触れる場合でも、「Copilot」を使って本格的に始める場合でも、組織内の全員が同じ認識を保つことができるという。

 本機能は2023年末までに提供開始予定。「Teams Premium」および「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを所有するユーザーが利用できる。

Copilot in Collaborative notes

 「Copilot in Teams meetings(Teams会議のCopilot)」は、リアルタイムでメモを取り、参加者全員に共有する。共有メモに会議メモや議題項目を追加できる。このメモは、共有されているすべての場所で同期を保つループコンポーネントとなる。

 「Copilot」は、Teams会議中に参加者と一緒にリアルタイムでメモを取ることができるようになった。会議前に有効にすれば、「Copilot」は共同メモ内のライブメモを自動的に作成するため、出席者はディスカッションに集中できる。これらのメモは会議の参加者全員で共有され、より具体的なメモを要求することも可能だ。

 本機能は「Teams Premium」および「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを所有するユーザーが利用できる。提供開始は2024年初頭を予定。

会議とホワイトボードにおける「Copilot」機能の組み合わせ

 ホワイトボードにおける「Copilot」と、Teams会議における「Copilot」の機能を組み合わせて、会議中のディスカッションを視覚化する。「Copilot」は、会議の参加者が発言したアイデアやトピックを整理してホワイトボードのビジュアルコラボレーションスペースに変換し、その内容は会議参加者全員で共有できる。

 また「Copilot」はホワイトボードに追加するアイデアを提案することも可能。ホワイトボードにキャプチャーされたコンテンツは、会議後も「Microsoft Whiteboard」ファイルとして残り、TeamsやOneDrive for Business、Whiteboardアプリから直接アクセスできる。「Copilot」のライセンスを持つユーザーであれば、「Copilot」で生成されたホワイトボードの概要を、OutlookやWord、Teamsなどでループコンポーネントとして共有できる。

 本機能は2024年初頭に「Microsoft 365 Copilot」ライセンスを所有するユーザーが利用できるようになる予定。

AI in Microsoft Teams(TeamsのAI)

Teams会議または通話中における音声分離

 音声分離機能を使用すると、Teamsはユーザーの声を認識し、バックグラウンドで他のノイズを抑制する。簡単な登録プロセスの後、TeamsのAIがユーザー個人の音声のみを認識してフィルターする。

 他のソリューションは背景のノイズをマスクするが、本機能は他の音声もフィルターで除去し、自分の声だけが聞こえるようにするものとなる。2024年初頭に提供開始予定で、Teams PhoneとTeams会議に追加される。

背景の装飾

 背景を装飾することで、会議をより楽しく、個人的なものにする。会議の参加者は、作業しているスペースが最適なものでない場合でも、Teamsの背景生成効果を利用して最高のパフォーマンスを発揮できるようになる。この機能を使用すると、会議の参加者はAIのパワーを利用して、散らかったものを片付けたり、壁に植物を追加したりするなど、現実世界の部屋を装飾して強化する背景を生成できる。

 本機能は2024年初頭に「Teams Premium」ライセンスを所有するユーザーが利用できるようになる予定。

Microsoft Mesh

 「Microsoft Mesh」は、異なる場所や地域にいる人たちがさまざまなデバイス上でコラボレーションしたり、共有型ホログラフィック体験に参加できる複合現実(MR)プラットフォーム。Teamsの没入型スペースと合わせて、2024年1月に一般提供される予定だ。

Immersive spaces for Microsoft Teams

 「Immersive spaces for Microsoft Teams(Teamsの没入型スペース)」は、ユーザーが作業する「Microsoft Teams」の場に「Mesh」のパワーをもたらす。Teams会議の [表示] メニューから、イマーシブスペースオプションを選択するだけで、2D会議を3Dの没入型エクスペリエンスに変換できるという。主な機能は以下の通り。

  • アバター
    イマーシブスペース(没入型スペース)に入ると、標準の2D環境でのTeams会議用にすでに作成したアバターを選択するか、新しいアバターを作成する。
  • 3D環境
    大規模なチームでの懇親会や小規模なラウンドテーブルディスカッションなど、会議のニーズに合った既製の3D環境の1つを選択する
  • 座席の割り当て
    同僚とのつながりを促進するために、会議またはイベントで座る場所を選択する。ある会話から別の会話に自由に移動することも可能
  • 空間オーディオとオーディオゾーン
    複数の同時会話を行ない、サブグループ内でお互いに話し合うことなく効果的にコミュニケーションできる
  • インタラクティブなアクティビティ
    組み込みのインタラクティブゲームをプレイしてイマーシブスペース内でチームの絆を深める。マシュマロを焼いたり、お手玉を投げたり、アイスブレイクの楽しい質問に答えたりするための指定エリアがいくつか用意される
  • ライブリアクション
    親指・拍手などのライブリアクションを使用してディスカッション中に自分の意見を表現する

Microsoft Meshでイマーシブスペースをカスタマイズする

 「Microsoft Mesh」を利用すると、従業員イベントやトレーニング、ガイド付きツアー、社内製品ショーケースなど、特定のビジネスニーズに合わせたカスタムイマーシブスペースを作成できる。ノーコードのエディターを使用してイベントを簡単にカスタマイズしたり、「Mesh」のツールキットを使用したり、「Unity」のパワーを活用して完全にカスタマイズ可能な没入型エクスペリエンスを実現したりできる。

 メニューバーにあるMesh editorを使用すると、コードを1行も記述することなく、没入型エクスペリエンスをカスタマイズしてイベント固有のニーズに対応可能。イベント作成者は、すぐに使用できる一連のイマーシブスペースから選択、3Dキャンバスに画像・ビデオ・画面共有を追加してカスタマイズし、イベントに表示させることができる。これらのオブジェクトを追加したら、サイズと位置を変更するか、ビデオをループ再生して、イベントにぴったり収まるようにする。各カスタマイズは、組織内の誰でも再利用できるテンプレートとして保存できる。

 2024年1月の一般提供開始時には、「Mesh」でイマーシブイベントを主催する際に、講演者が参加者と対話しやすくする追加機能も有効にするとのこと。イベント主催者は、参加者が挙手できるようにすることで、Q&Aセッションを促進可能となる。具体的には、主催者は挙手リストを順番に確認。参加者に呼びかけて直接関わることができる。出席者は呼び出されると、イベントの参加者全員に効果的に見られ、声が聞こえる。これにより、イマーシブイベントがより効果的で魅力的なものになり、現実のタウンホール体験の要素がもたらされるという。

新しい「Microsoft Teams」アプリ

 新しい「Microsoft Teams」アプリは、アプリのホストとして「WebView2」コンポーネントを用いることで「Microsoft Edge」とリソースを共有するようになり、従来の「Teams」と比べてメモリとディスクの使用量が最大50%削減されている。アプリのロード、ミーティングへの参加、チャットやチャネルの切り替えなども平均で2倍速くなったほか、ユーザーインターフェイスも見直されてシンプルなものとなっている。

 今回、この新しい「Microsoft Teams」アプリがWeb上でも「Microsoft Edge」および「Google Chrome」にて一般提供されることがアナウンスされた。

チャットとコラボレーション

チャネルのループコンポーネント

 作業の流れを維持し、コンテンツをチャネル内のループコンポーネントと同期させる。チャネルで投稿を作成するときに、テーブル、リスト、進行状況トラッカーなどのループコンポーネントを、簡単に共同作成および共同作業できるようになった。本機能は2023年後半に利用可能になる予定。

簡素化された通知

 会話や通知のペースが速いため、追いつくのが難しい場合がよくある。アクティビティ内で1回クリックするだけで通知をクリアできるようになり、すべての通知を一度に“既読としてマーク”できるようになる。さらに、ニーズに合わせてカスタマイズし、最も重要なことをすばやく特定できるようにする、簡素化された通知設定が導入される。この機能は2024年1月に利用可能となる。

コードブロックの機能強化

 Teamsでのコード送信が簡単になった。コードブロックは、形式オプションのエントリーポイントを使用するか、Markdownを使用して開始できる。コードを貼り付けたり、記述したりするときに、構文を強調表示するコード言語を選択できる。なお、本機能は2024年初頭に提供予定。

Teamsの新しいキーボードショートカットメッセージ

 Teamsの操作、チャットやチャネルでのアクション実行、設定の変更にかかる時間を節約する。新しいショートカットには、ステータスを“応答不可”に設定する[Alt]+[Shift]+[D]キーと、受信した最新メッセージにすぐに返信する[Alt]+[Shift]+[R]キーが含まれる。新しいショートカットは2024年初頭に利用可能になる予定。

デフォルトのリアクションのカスタマイズ

 Teamsチャットで既定の絵文字反応を柔軟に変更・選択できるほか、インターフェイス内のリアクションの数を減らすことができる。チャットのようにスピードが重要な場合は、デフォルトとして設定したリアクション、または絵文字をクリックするだけで送信できる。この機能は2024年初頭に提供予定。

チャットの転送

 Forward chat(転送チャット)を使用すると、少ないクリックで簡単に作業を完了できる。メッセージを右クリックして“forward(転送)”を選択するだけで、他の同僚とメッセージを共有可能だ。メッセージは1対1チャットやグループチャットに転送できる。本機能は2024年初頭に利用可能になる予定。

チームとチャネルを管理する

 Teamsのチャネルリストを簡単に管理して、最も重要なことに集中できる。新しいコラボレーションスペースを開始するときは、チャネルを作成するように求められる。新しいチームに参加するときは、チャネルリストに表示したいチャネルのみを選択できる。

 チャネルがアクティブでなくなった、または関連性がなくなった場合には、チャネルをアーカイブできる。チャネルは非表示になり、追加のアクションのために閉じられるが、情報には引き続きアクセス可能だ。この機能は2024年初頭に利用可能になる予定。

Teamsの新機能:2023年11月アップデート

「Microsoft Edge」ブラウザーに埋め込まれたチャット

 「Microsoft Edge」を使用して、TeamsチャットからWebページのリンクを開くと、チャットウィンドウがEdgeブラウザーに追従するため、コンテンツとチャットを並べて表示して会話を続けることができる。「Edge」のサイドバーに埋め込まれたチャットペインから直接、最近のチャットにアクセスしたり、新しいチャットを開始したりできるため、アプリ間を行き来する必要がなくなる。

ファイル共有の提案

 大量のチャットや、ファイルの検索や添付といったフォローアップアクションアイテムを処理する時間は1日のうちで限られている。Teamsチャットでファイルが提案されると、AIが会話の中でファイルを共有する意図を認識し、そのアクションを提案。ファイルを見つけて添付するためにワークフローを中断する必要がなくなる。

Teamsモバイルでコンテンツをすばやくキャプチャする

 本機能を使用すると、モバイルデバイス上のTeams会議で共有されているコンテンツをすばやくキャプチャし、フォトギャラリーに保存したり、Teamsや他のアプリで共有したりできる。なお、この機能は会議で設定されたプライバシーの選択を尊重する。