でんこと旅するメタバースの世界
メタバースに高額なVRヘッドセットは必須なの? 「メタバース=VR」のハードルを飛び越えよう!
普段使っているデバイスでOK、しかも“ほとんど無料で体験できる”
2022年11月4日 06:45
前回は「ぜひメタバースの世界に遊びに来てください!」というお話をしました。実際に飛び込んできてくれた方がいらっしゃったら嬉しいです。ですが、せっかくメタバース世界に入りたいと思っても、初心者には高額な「VR機器」が必要でハードルが高いと思われている方もいるかもしれません。
そこで、今回はメタバースを楽しむために「実はVR機器は必須ではないよ」という話をさせてください。
メタバース世界に入るためにはVR機器は不要! 普段使っているデバイスでOK
VRヘッドセット、VRゴーグル、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などなど、その呼び方はさまざまあるVR機器は、仮想現実世界(Virtual Reality)での体験をよりリアルで没入感のあるものにしてくれるものです。Metaをはじめとする多くの企業は、新型VRヘッドセットを続々と発表してメタバースの普及・構築を加速させています。
そのため、一般的にメタバースと言えば「VRが必須」「VR機器がないとメタバース世界で遊べない」というイメージを持たれたり、「VRヘッドセットは高いし、重いし、カッコ悪いから使いたくない」という話を見たり聞いたりすることが多いです。
現状、そういった「メタバース=VR」のイメージが先行していますが、実のところ、多くのメタバースではVR機器がなくても遊べます。
そもそもVRとメタバースはまったく違うものです。VRはあくまでも道具で、メタバースはそれを使って入る空間、と捉えてみるとよいかと思います。メタバースに入るための道具の1つなので、スマートフォンを使ってメタバースに入っても、普段のPCを使ってメタバースに入ってもよいということです。
例えば、日本発のメタバースプラットフォームとしてお馴染みの「cluster」では、スマートフォンでも参加することができます。私はiPhone XS Maxという少し古めのスマートフォンで、公式で推奨されるスペック以下のスマートフォンを使用していますが、一部の重いワールド(3DCGで表現されたメタバース上の空間)を除き、快適に遊ぶことができています。
また「cluster」を含め、「VRChat」や「NeosVR」といった知名度の高いメタバース世界でも、PCがあればプレイできます。
「VRChat」の場合を例にすると、推奨スペックはWindows 10、CPUはIntel i5-6500 / AMD Ryzen 5 1600相当以上、メモリは8GB以上、ビデオボードはNVIDIA GeForce GTX 1060 / AMD Radeon RX 580相当以上となっています。「NeosVR」の推奨スペックもほぼ同じです。「cluster」はビデオボードの要求が低めで、Intel Iris Graphics 540以上となっています。
基本的にはビデオカードを搭載した、いわゆるゲーミングPCが求められていますが、ここ数年の3Dゲームが動く程度のPC環境であれば十分動くでしょう。
VR機器があればたしかにもっと楽しめる。でも基本的なことを体験するにはなしでもOK
VR機器は、たしかにデバイスとしては高額な部類に入ると思います。気軽に「さあ購入して一緒にメタバース世界を楽しみましょう!」とは言いづらいものです。
代表的なVRヘッドセットを例に挙げてみると、コンシューマー用途で人気のある「Meta Quest 2」で59,400円(128GBモデル)からで、その対抗馬として先日10月7日に発売された「PICO 4」はもう少し安価ではありますが、それでも49,000円です。
もっとも、上記のモデル以上に高価でハイエンドなVRヘッドセットもあります。Metaの最新モデル「Meta Quest Pro」はビジネス向けということで、その価格はなんと22万6,800円です。ノートPCに代わるものを目指しているとのことで、それに相応しいノートPC並みの価格になっています。
ただ繰り返しにはなりますが、メタバース世界へ飛び込むためにVRヘッドセットは必須ではありません。
そもそも上記でご紹介したcluster、VRChat、NeosVRというメタバース世界は遊ぶだけなら無料です。またワールドという3D空間を作るのも無料(今回は紹介していませんが「Decentraland」などワールドの公開に「土地」が必要なメタバースもあります)で、アバターを購入したり、ワールドの制作に使用するアセット(アイテムのようなもの)を購入すると、お金がかかると考えていただければと思います。
メタバース世界の基本的な楽しみ方を満喫する分には、“ほとんど無料で体験できる”、と言っても過言ではないのです。
まずはスマートフォンやPCでメタバース世界に行ってみる。メタバース世界の楽しみである、さまざまなワールドを巡ったり、イベントに参加したり、ほかの住人たちと交流を楽しむ、そういった基本的な要素は十分に楽しめます。そして面白かったらもっと深く楽しむためにVRヘッドセットを購入する。広大なメタバース世界への足掛かりとしては、それで十分だと私は思います。
せっかく“ほとんど無料で体験できる”のですから、「VRが必須だからメタバースに参加しない、中に入ることができない」というのは非常にもったいないと思います。この連載の第1回目でもお伝えした通り、メタバースはさまざまな可能性を秘めていますし、自分の可能性を解き放てる場所だと思うからです。
ではそうなると、なぜメタバースの住人たちはVRヘッドセットを使う人が多いのでしょうか。
そこには、VRヘッドセットだからできる経験が間違いなくあり、個人的にはその価格に見合うだけの価値があると思っています。それはつまり、VRヘッドセットがあれば“より楽しめる”ということです。
それでは、どうしてVRヘッドセットによってメタバース世界をより楽しめるようになるのかについては、次回お伝えしたいと思います。どうぞお楽しみに。
著者プロフィール:でんこ
バーチャルに活動の場を移したゲームライター。得意分野はビデオゲーム全般だが、最近はメタバースへの関心が強い。
ライターとして様々なメディアで執筆する一方、NPO法人バーチャルライツ公認の第0期VR文化アンバサダーでもあり、メタバース上の活動やメディアでの情報発信を通じてVR文化の魅力を普及させるべく活動中。
・著者Webサイト:https://note.com/denpa_is_crazy/