でんこと旅するメタバースの世界
全身トラッキングでメタバースの世界にフルダイブ! ソニーの「mocopi」でいま注目の「トラッカー」の魅力とは?
体全体をフルに使ったコミュニケーションは感情豊かで楽しい!
2022年12月8日 06:45
先日、ソニー(株)からスマートフォンと連携することで全身のモーションをキャプチャーできる「mocopi(モコピ)」という新しいトラッカーデバイスが発表されました。モーションキャプチャーの敷居を下げる可能性を秘めた革命的なデバイスとして、いま大きな注目を集めています。
前回は、VRヘッドセットの魅力について、「没入感」と「トラッキング」をキーワードにお話をさせていただきました。VRヘッドセットがあれば、基本的には両手のコントローラー+ヘッドセットで3点のトラッキングが可能で、より豊かな動きでコミュニケーションがとれます。
改めて「トラッキング」とは何かというと、センサーから体の部位の位置を追尾する仕組みのことです。
もちろんVRヘッドセットによる体験だけでも十分に満足できます。ですが、とはいっても、やはりもっと自分らしくコミュニケーションをとってみたいものですよね。
体につけるセンサーの数を増やすことで、新たに下半身の動きをトラッキングしたり、より精密に体の動きを再現することができます。例えば、ダンスのように全身を使って動いたり、そこまで激しく体を動かさなくても下半身の動きをトラッキングできることで、より可愛い写真を撮ることだってできます。
今回はそんな体験を可能にする「トラッカー」について、お話をさせてください。
全身トラッキングでメタバースの世界にフルダイブ!
上半身だけでなく下半身の動きも組み合わせたコミュニケーションは、より感情豊かなものになりますし、全身を動かすことで新しい表現も可能になります。前回お話しした通り、「アバターを現実世界の自分の動きにあわせるというのは非常に楽しい体験」なのです。
例えば、ダンスはその1つですね。クラブのようなワールドで踊るのはもちろんですが、最近は、TikTokやYouTubeのショート動画などにメタバース上で踊ったダンス動画を投稿している人もいます。
それでは、いくつか具体的なモーショントラッキングデバイスをご紹介しながら、トラッカーの魅力を一緒にチェックしていきましょう。
ソニーの「mocopi」はなぜ大きな話題に?
いま話題になっているのが、ソニーから発売予定のモバイルトラッカー「mocopi」です。先日11月29日に電撃的に発表され、多くの反響が巻き起こりました。その理由はいくつかあります。
その1つがセンサーの小ささです。今までのトラッカーは計測方法に差はあれど、どうしてもセンサーが大きくなりがちでした。「mocopi」は全身6カ所に500円玉サイズのセンサーをつけるだけでよいので、軽いうえに装着が簡単なのが大きなメリットです。
また、スマートフォンとの連携で全身のトラッキングができるのも大きなポイントです。
これまでのトラッカーは、センサーとは別にPCが必要なものがほとんどでした(アップデートでPCが不要になったものもあります)。VRヘッドセット「Meta Quest 2」単体でメタバースを楽しんでいるユーザーも少なくないのですが、そういったユーザーは、必然的にフルトラッキング(全身の動きを再現)するために、トラッカーに加えて別にゲーミングPCといった大きな投資が必要になる、というハードルがありました。別途、PCなどの高額な機器が不要というのも大きな利点ですね。
ちなみに「mocopi」は、2023年1月下旬にソニーストアで発売予定で、価格は49,500円です。
手に入れやすさがポイントの「HaritoraX」
「HaritoraX」は、(株)Shiftallが開発・販売しているトラッカーです。
「HaritoraX」の利点はなんといってもその価格です。基本のセットは33,900円と、メタバース上で足を含めた全身をトラッキングするという機能を持つデバイスの中では比較的安価です。また、すべてのセンサーが有線で繋がっているため、充電の際に使用するケーブルが1本だけなのも、地味ながら便利な点です。
その上、追加のキットを購入することで、さらにトラッキングの精度を高められる拡張性もあり、現時点で「肘トラッキング拡張セット」と「腰トラッキング拡張セット」が展開されています。
いまは比較的安定して購入することが可能ですが、一時期は予約が殺到して入手困難な時期があり、改めてメタバース住人のフルトラッキングへの需要を感じました。
完全ワイヤレスで、しかも乾電池式!「Uni-motion」
「Uni-motion」は、(株)ユニ・デバイセズが開発・販売しているフルトラッキングモーションキャプチャーシステムです。
「Uni-motion」の強みは、それぞれのデバイスが独立している完全ワイヤレス型ということ。また乾電池式で、それぞれのデバイスの充電が不要ということが上げられます。特に激しい動きをするときは、有線より無線の方が良いというユーザーも多いことでしょう。
追加センサーも販売されており、全身最大11点のトラッキングにも対応する拡張性もあります。
価格は49,500円となっており、こちらも予約が殺到しており、掲載時点で2022年11月~12月の出荷分については完売しています。次のアナウンスが待たれますね。
上級者向けな「VIVEトラッカー」。でも試す価値はアリ!
最後にご紹介する「VIVEトラッカー」は、これまで紹介した製品とは少し異なるデバイスです。
上記のデバイスたちは、地磁気センサーや加速度センサーを使って現在地の推定を行なっているのですが、「VIVEトラッカー」では、赤外線を使って位置を特定しています。そのため、安定して現在位置の特定を行なうことができるのが特徴です。
その一方で、部屋に「ベースステーション」という装置を2台以上設置した上で、PCと接続する必要があり、これまでに紹介したデバイスに比べると少々大がかりなものとなっています。
もともと「VALVE INDEX」といったベースステーションを使用するVRヘッドセットを利用している場合は考慮する必要はありませんが、それ以外の「Meta Quest 2」などを使用している場合には、ベースステーションを置く場所などについて考えてから導入することをオススメします。
「VIVEトラッカー」は、1個あたり17,500円(なお、価格は2023年1月20日に改定予定)です。メタバース内で足を動かすためには、少なくとも腰と両足にトラッカーを装着する必要があるので、3つを合計すると52,500円に。さらにベースステーションを別途購入する場合は、その価格もプラスで必要になります。
メタバースにおけるフルトラッキングは、価格面などを含めて上級者向けかもしれません。ですが、メタバース空間内で自由に体を動かしたり、全身を使ったコミュニケーションをとるのは、代えがたい魅力があります。メタバースでの生活に慣れてきたら、ぜひ挑戦してみてほしいですね。
著者プロフィール:でんこ
バーチャルに活動の場を移したゲームライター。得意分野はビデオゲーム全般だが、最近はメタバースへの関心が強い。
ライターとして様々なメディアで執筆する一方、NPO法人バーチャルライツ公認の第0期VR文化アンバサダーでもあり、メタバース上の活動やメディアでの情報発信を通じてVR文化の魅力を普及させるべく活動中。
・著者Webサイト:https://note.com/denpa_is_crazy/