石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

5歳児とおとーちゃんで「マインクラフト」を遊ぶためのTIPS

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

5歳でも「マインクラフト」は遊べる

「マインクラフト」のタイトル画面

 物心ついた3歳の時にはレースゲーム「レーシング112」を遊び、気づいたらゲームを仕事にしてしまった私。これを反面教師に、現在5歳になる息子からはなるべくゲームを遠ざけて育ててきた。

 そこに2年前のコロナ禍襲来。保育所はたびたび閉鎖し、完全巣ごもりで息子の相手をするネタも尽き、昨年からやむなくゲームを解禁することになった。

 コンシューマーゲームを含めていろいろなゲームを試した中、息子が長らく楽しんでいるのが「マインクラフト」。そして最近は「マインクラフトダンジョンズ」を遊び始めた。我が家はどちらもPCでプレイしている。

 5歳で「マインクラフト」は難しいと思ったのだが、すぐに慣れて冒険や建築にいそしんでいる。これは息子が聡いからではなく(と断言するのも悲しいが)、子供でも楽しめるようにあれこれ準備を整えた結果だ。

 では5歳で「マインクラフト」を楽しむためには何が必要で、どう遊べばいいのか。我が家の事例を紹介しよう。ちなみに筆者も「マインクラフト」をちゃんと遊ぶのはこれが初めてだったので、遊んだことがない人もお読みいただきたい。

親と一緒に遊ぶのが大前提

5歳児だけで遊ぶのは無理。親がガイド役を務めよう

 まず絶対条件として、親が一緒に遊ぶこと。「マインクラフト」の世界は採集や採掘、建築、戦闘など、さまざまな要素があるものの、チュートリアルはほぼなく、5歳児に手渡すだけで勝手に遊べるようなゲームではない。横で親が遊び方を見せてあげながら、子供がやりたいことに誘導してやる必要がある。要するにガイド役だ。

 「マインクラフト」は1台で複数人のプレイはできず、必ず1人1台のプレイ環境が必要になる。Windows版を2人で遊ぶなら、PC2台が必要だ。ただし、WindowsのBedrock版(統合版)であれば、同じMicrosoftアカウントでログインしたPCなら、複数台にゲームをインストールできる。家庭内LAN環境で遊ぶなら、人数分のPCさえ用意できれば、ゲームは1本分の費用で対応できる。

 PCは高性能なら遠方まで見渡せるなどメリットはあるが、普通に遊ぶだけなら数年前の外部GPU非搭載のノートPCでも十分だ。時間制限のある無料試用版(体験版)も用意されているので、一度インストールして試してみるといい。またゲームは単体購入のほか、月額850円の定額サービス「PC Game Pass」でも利用できる。

PC Game Passにも含まれている。体験版も利用可能

 コンシューマーゲーム機やスマートフォンでも、統合版であればPC版と一緒にプレイできる。ただし、コンシューマーゲーム機ではソフトのほかに各種オンラインサービス(「Nintendo Switch Online」や「PlayStation Plus」など)の契約が必要だったり、ローカル通信の仕様が違ったりするので注意。また、コンシューマーゲーム機では画面分割でのマルチプレイに対応したものもある。本稿ではPC版のみで遊ぶ想定で話を進めていく。

敵が出ないようにワールドを設定

ワールドの設定を変える。生成時だけでなく後から設定変更も可能

 次にプレイするワールドの設定を変える。我が家の主な設定は下記のようになっている。

  • デフォルトゲームモード:サバイバル
  • 難易度:ピース
  • 味方へのダメージ:オフ
  • 座標の表示:オン

 ゲームモードは「サバイバル」のまま。「クリエイティブ」ならアイテムを好きなだけ使えて死ぬこともないので良さそうに思うのだが、冒険や採掘、生産も大事な要素なので、当面はサバイバルで遊ぶ。

 難易度は「ピース」にし、敵(敵対的Mob)が出ないようにする。敵に襲われた時にとっさに対応するのは、まだゲームに不慣れな5歳ではほぼ無理なので、戦闘の要素は省いておく方がいい。やられてもくじけない性格なり年頃なりであれば、敵が出る「イージー」に設定して親が丁寧にケアするのもいいかもしれないが、親もそれなりに大変になる。

 ピースの設定では一部の敵が現れないので、一部のコンテンツに到達するためのアイテムを生成できない。それでも危険なエリアとされる「ネザー」にはかなり安全に行き来できるので、子供には適度な冒険ができて具合がいい。

敵に襲われることがないので、ネザーも比較的安全に移動できる

 敵が出てこないと、一緒に遊ぶ大人がつまらないのでは……と思ったのだが、実際にやってみるとこれはこれで結構楽しい。新しい土地を探して歩き回るだけで立派に冒険を楽しめるし、地下深くでダイヤモンドを求めて掘り続けたり、海辺で延々と釣りをしているのも案外飽きない。やることは十分過ぎるほどある。

 味方へのダメージはオフにしておく。いたずら大好きな子供はすぐに親を叩こうとするし、つるはしで採掘しているところに突撃してきてダメージを受けたりもする。厄介ごとを生まないためにオフ推奨。

 座標の表示をオンにすると、画面の左上に座標の数値が表示される。子供とはぐれた時、どこにいるのかすぐにわかるので便利だ。また遠方へ移動した時に親が目的地を見誤ることも減り、冒険が楽になる。

敵が出なくても装備は充実させたい

装備品はしっかりと整える

 ゲームをスタートしたら、家を作ったり冒険したり、好きなように遊べばいい。敵が出ないので危険性も少ない。それでも高所からの落下、溶岩のダメージ、水没して窒息など、死んでしまう要素はある。たとえ敵が出なくても、特に子供にはなるべく上等な装備品が必要だ。

 高所からの落下には落下軽減、水没対策には水中呼吸のエンチャントが有効。マグマのダメージは防具で軽減できるほか、防火や防護のエンチャントでもさらに軽減できる。採掘は子供でも簡単に楽しめるのだが、足元を掘って落下、あるいは水やマグマに落ちることも多いので、救出までの時間稼ぎに有効だ。なお、救出の際には子供のPCを親が操作する方が手っ取り早い。

 遠方への冒険の際には、徒歩よりボートを使うのが便利で安全。ボートは2人まで乗れて、先に乗った人に操縦権がある。子供を後ろに乗せて移動すれば、一緒に長旅を楽しめる。子供も乗り物に乗っている気分で結構楽しんでくれる。

遠出する時はボートの2人乗りがおすすめ

 息子は週末だけのプレイでも、2~3カ月ほどで操作に慣れ、今は親と一緒に歩いて冒険してもちゃんとついてこられる。ただし親の方が子供に気を取られて、大穴に落下ということが稀にある。冒険中に親が死ぬと、子供1人が残されてしまい大変面倒なので、親も落下軽減のエンチャントだけは装備しておく方がいい。

落下軽減のエンチャントは特に重宝するので、念のためエンチャントの本が予備にあると安心

5歳でも案外できることは多い

 息子は最初は親について回りながら、ダイヤモンドなどのレア素材を拾った端から装備品に変え、レベルが上がったらエンチャントにつぎ込む……ということをやっていた。大人目線だと「そんな無駄遣いしないで!」と言いたくなるが、しょせんはゲーム世界のこと。「今使ったら、今度あれが欲しくなった時に困るよ。それでも今使うか、貯めておくか、どっちにする?」などと、教育の機会として活用している。

 そのうち息子も建築の仕組みを理解し、遠出しては行く先であっという間に家を建てるようになった。家の前に謎の巨大なモニュメントを作成したり、家まで曲がりくねりながら走るトロッコのコースを用意したり、レッドストーン回路で意味なく光ったり動いたりする装置を作ったりしては、「おとーちゃん、ちょっとみにきて!」と自慢しに来る。5歳でも想像以上にやれるものだなと思う。

息子からちょっと目を離すと、すぐに謎の建物や装置ができている
知らぬ間に作り上げられていた場所。息子曰く「ひみつきち」

 「マインクラフト」で本来想定された遊び方よりずいぶんゆるいと思うのだが、親もプレイ経験がないのであれば、一緒に遊んで十分楽しめる。コロナ禍の時間つぶしとしては体験内容も良質で、マウスとキーボードに慣れ親しむという裏テーマも達成できており、親としても満足のいくゲームだ。

親もなんだかんだで真剣にプレイしている。画像に見える建物は、左が私、右が息子の手によるもの。新たな土地では1人ずつ家を建てる決まりらしい

 最後に一番大事なこととして、「マインクラフト」を遊び始める前に、YouTubeの任天堂公式チャンネルにある「よゐこのマイクラでサバイバル生活」を親子で視聴しておくのがおすすめ。お笑いコンビのよゐこが「Minecraft: Nintendo Switch Edition」(現行版とは一部仕様が異なる)を前情報なしでプレイするというものだ。

 これを見れば「マインクラフト」を全く知らない人でも遊び方がわかる、とても優秀なチュートリアルになっている。任天堂公式チャンネルだけあって子供が見ても安心な内容だし、大人が見ても面白い。「マインクラフト」に興味が出たら、ぜひこちらから。

「よゐこのマイクラでサバイバル生活 第1回」

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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