石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

5歳児とおとーちゃんで「マインクラフトダンジョンズ」を遊ぶためのTIPS

「マイクラ」未経験でも問題なし。PC1台で最大4人まで遊べるハック&スラッシュ

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

「マインクラフト」と「マインクラフトダンジョンズ」は全然違う

「マインクラフトダンジョンズ」

 私が5歳の息子とPCゲームを遊び始めた話、前回の「マインクラフト」に続き、今回は「マインクラフトダンジョンズ」について。今回もPC版でプレイする前提で話を進めていく。

 「マインクラフトダンジョンズ」は、ハック&スラッシュと呼ばれるジャンルの作品。ダンジョンで多数の敵と戦いながら、倒した敵から手に入る装備品やアイテムでキャラクターを強化していく。何が手に入るかはランダム性が高く、欲しい装備を求めて繰り返しプレイするのが楽しみなゲームだ。

 「マインクラフト」と名前が付いてはいるが、ゲーム内容は全く別物で、採掘や生産といった要素は全くない。「マインクラフト」風のビジュアルで新たに作られたアクションRPGだ。

 つまり「マインクラフト」について何も知らなくても遊べる。採掘だ生産だと様々な要素を学ぶ必要もないので、子供にもわかりやすい。ちなみに、ゲームの対象年齢を示すCEROレーティングはA(全年齢対象)なので、CERO的には5歳児が遊んでも問題ないゲーム表現らしい。ゾンビを斬り倒しても血しぶきは出ないし、見た目も四角くてホラー感がないからだろうか……。

人数分のXinput対応ゲームパッドが必要

 「マインクラフトダンジョンズ」は敵を倒していくだけの比較的シンプルなゲーム内容ではあるが、それでも5歳児がいきなり1人で遊べるわけではない。親と一緒に遊ぶ前提と考えておく方がいい。

 複数人で遊ぶ場合、「マインクラフト」は1人1台のPCが必要だが、本作は1台のPCで最大4人まで同時に遊べる。その場合はゲームソフトも1本でいい。なかなか親の財布に優しい……と思いきや、1つ条件がある。

 1人でプレイする場合はマウスとキーボードによる操作が可能だが、2人以上でプレイする場合は、人数分のゲームパッドを接続する必要がある。さらにゲームパッドはXinput対応のものが必要で、代表的なものはXbox用コントローラーだが、現在は世界的に品薄な状況らしく、純正品の入手が難しい。他社の製品であれば、探せば2,000円前後から見つかる。筆者はロジクールのF310rを使用している。

2人以上で遊ぶには「2台以上のコントローラーを接続してください」と言われる
我が家では3つのゲームパッドで3人プレイ

 ノートPCだとUSBポートの数が少なく、人数分のゲームパッドを接続できないということもあり得る。その場合はUSBハブも必要になるのでお忘れなく。USBポートを使わないBluetooth接続の製品を選ぶというのも手だが、価格は上がる。

 なお、別々のPCを用意して、ゲームも人数分購入すれば、全員キーボードとマウスでの操作も可能。ただこの場合、Microsoftアカウントも1人ずつ用意し、全員をフレンドに登録しておく必要がある。本作のオンラインプレイはフレンド登録した人同士でしか遊べない仕様なので、この手順が必要になる。

 1台でのマルチプレイでは、1画面で全員同時にプレイすることになる。全員が画面内に収まる範囲でしか移動できず、若干の不便さはあるのだが、それ以上に子供とはぐれずにプレイできるメリットの方が大きい。

1つの画面に常に全員が収まる

ゲームはDLCの有無で2種類。「PC Game Pass」の利用もお得

 次にゲームの購入。本作はMicrosoft公式配信スタンドのほか、Steam、ショッピングサイトなどでも配信・販売されている。月額850円のサブスクリプションサービス「PC Game Pass」にも対応しているので、購入前に試してみたいならこちらの利用もおすすめ。

 購入する場合、Windows版のほかに、Xbox One、PlayStation 4、Nintendo Switchでも販売されているので、プラットフォームを間違えないように注意。

 また本作には、基本パッケージとなるスタンダードエディション(無印)と、6つのダウンロードコンテンツなどを同梱したアルティメットエディションの2つが用意されている。価格は前者が2,640円、後者が5,280円。「PC Game Pass」はスタンダードエディションが対象となっている。

 どちらを購入しても構わないが、まずはスタンダードエディションを購入してみて、後からDLCを追加してもいい。6つのDLCをまとめたアルティメットDLCバンドルという製品も用意されており、価格は2,640円。スタンダードエディションとアルティメットDLCバンドルを足せば5,280円で、アルティメットエディションと同額になる。DLCは1つずつの個別販売もされているが、アルティメットDLCバンドルより割高になるので注意。

Microsoft Storeで「Minecraft Dungeons スタンダードエディション」を入手する

Microsoft Storeで「Minecraft Dungeons アルティメットエディション」を購入する

Microsoft Storeで「Minecraft Dungeons アルティメットDLCバンドル」を購入する

 ちなみに、少しでもアルティメットエディションをお安く購入する手として、「PC Game Pass」を契約してから購入する方法がある。「PC Game Pass」の契約中は割引されるソフトがあり、アルティメットエディションは20%OFFの1,056円引き。「PC Game Pass」の850円を足してもまだ安い。しかも、スタンダードエディションを1カ月試してから購入の是非を判断できる。

難易度設定は子供が許す範囲で無理せずに

 ゲームの準備が整ったら、いざプレイ。本作には複数のマップが用意されており、一度行ったことのあるマップも何度でも再挑戦できる。しかも難易度を細かく調整可能で、難しくするほど敵が強くなる。入手できる装備品はより強くなり、経験値も増える。

マップ選択後、難易度を調整できる

 子供と遊ぶ際のポイントは、難易度を上げすぎないこと。親の目線では楽勝だなと感じる難易度でも、操作のおぼつかない子供もそう感じるとは限らない。難易度を下げても経験値はもらえるし、装備品も出るので、慌てず少しずつレベルアップしていくのがいい。

 特にDLCで増えるマップでは、仕掛けが多くて攻略が難しいところもある。例えば水中のマップでは、途中にある息継ぎポイントに寄っては離れてという動きが求められるのだが、操作で手一杯の子供にやらせると頭が追いつかなくなってしまう。1回は行ってみないとわからないが、その後は慣れるまで無理強いしないようにしたい。

水中のマップは大人1人でも慣れるまでは結構大変

 そういう意味では、5歳くらいならスタンダードエディションだけでも相当長い時間遊べると思う。私はいずれやるだろうと思ってアルティメットエディションを購入してしまったが、最初から全部やろうと慌てる必要はない。

装備品はなるべく簡単な能力を選んでやる

 本作のゲームとしてのポイントは、装備品に付与された「エンチャント」と呼ばれる能力の選択だ。装備品にはレベルがあり、高レベルなものほど基本的な能力は上がるのだが、エンチャントはそれとは別軸の特殊能力になっている。

 エンチャントには、攻撃力や防御力を高くするというシンプルなものもあれば、特定の条件下で能力が発動するものもある。例えば「ダイナモ」のエンチャントは、回避行動の後で次の攻撃のダメージを上昇させる。この時、攻撃範囲の広い武器で多くの敵を巻き込むと、全員まとめて大ダメージを与えられる。装備のシナジーを考えて組み合わせていくのが本作の醍醐味だ。

基本性能に加え、エンチャントで付与される能力が重要になる

 ……というのは、あくまでゲームをわかった大人の楽しみ方。5歳だとせいぜい装備品のレベルくらいしかわからない。私がエンチャントの組み合わせで適切なものを選び、不要なものを処分すると、「おとーちゃん、いますてたやつのほうがつよかったよ!」と苦情が入る。

 子供はレベルが高いとか、見た目が格好いいとかいう理由で装備品を選んでしまう。それ自体は仕方ないのだが、あまり無意味なエンチャントを揃えても戦いづらいので、ある程度はエンチャント選びと戦い方を指南する。いくら強力なエンチャントでも、有効な戦い方に複雑な手順が必要なものは扱えないので、簡単でやられにくい装備を選んでやるのがいい。ある程度は子供の好みも反映しつつ。

子供の装備はやられにくさ重視にするのがいい
とはいえ子供が気に入った装備を使わせてやるのも大事。そのためにも難易度は低めがいい

セーブデータはローカル保存。クラウドバックアップを忘れずに

 本作のプレイにおいて1つ注意点として、セーブデータはローカルに保存される。同じMicrosoftアカウントでも、別のPCを新たに用意してプレイすると、キャラクターデータが何もない状態になる。

 もちろん対応策はある。本作にはキャラクターデータをクラウドにバックアップできる。方法は、キャラクター選択画面でキャラクターデータをアップロードするだけ。追加料金も不要で、何度でも上書き保存できる。同じMicrosoftアカウントでログインすれば、キャラクターデータをダウンロードできるので、これで別のPCにデータを移行できる。PC版と他のプラットフォームでも相互にやり取りできるそうだ。

キャラクターデータをクラウドにバックアップ。自分で削除するまでそのまま保存される

 本作の処理はそれなりに重く、CPU内蔵グラフィックスでは最低画質でもフレーム数が足りないギリギリな動作になる。子供のためにもいいプレイ環境を作ってやろうと意気込んでPCを新調したものの、古いPCでキャラクターデータのアップロードを忘れていて、PCは既に初期化済み……なんてことがないようには気をつけたい。

 さらに本作のキャラクターデータは、ローカルでコピーもできる。例えば子供の友達が来て一緒に遊びたいとなった時には、新しいキャラクターでレベル1から遊んでもらうこともできるが、誰かのキャラクターをコピーして使ってもらうこともできる。これなら元のキャラクターデータをいじられることなく、気軽に遊んでもらえる。

 我が家の場合、5歳の息子にいきなり遊ばせるのは難しいかなと思い、最初は私1人でプレイする様子を見せてみた(他人がやっているゲームを見るのも楽しいらしい)。しばらくしてゲームの流れがある程度わかったところで、キャラクターをコピーして一緒にプレイ。装備品の使い方も教えられるので、導入がとても楽だった。

キャラクターデータはローカルでコピーもできる

子供と楽しい時間を過ごすという目的を、ゲームという手段と取り違えない

 最後に、子供とゲームを遊ぶときに重要なことをお伝えしたい。本作に限ったことではないが、目的と手段を取り違えないことだ。

 ゲームに慣れた大人は、より高いスコアを狙う、より効率よくクリアするなど、ゲームの目的に沿って攻略することに楽しさを見出す。本作であれば、より強力な装備を手に入れることが目標になるので、なるべく強い敵と戦うことが重要になる。

 しかし、子供が楽しむポイントが親と同じとは限らない。息子を見るに、キャラクターを自分の思ったように動かせるという根本的なインタラクティブ性や、いろいろな装備を試すところを楽しんでいるように思う。

 そもそも子供とゲームを遊ぶ目的は何か。私の場合、コロナ禍で外出が難しく、巣ごもりの休日に5歳児の相手をするためである。ゲームはその手段でしかなく、攻略はゲーム内の目的に過ぎない。難しいのは嫌だと言う子供に、もっといい装備が早く欲しいからと高い難易度を遊ばせるのは、親のエゴだ。本来の目的をゲーム内の目的と取り違えて、子供が嫌がることを無理強いすることになる。

 息子は今のところ、冒険の拠点になるキャンプで装備品を持ち替えながら、サンドバック役のカカシを叩いているだけで十分楽しそうだ。息子が楽しく過ごしているのなら、それで目的は達している。「結構強くなったから、もっと強い装備品を取りにいってみない?」と時々聞いてやるくらいで十分だろう。

 親としても、ただ子守りの時間つぶしとして過ごすより、親子で遊ぶ体験を大事にしたい。息子もゲームが楽しくてしょうがないという様子ではあるが、1人でやっていてもそこまで楽しそうではない。親と一緒に遊ぶのが何より楽しいに違いないのだ。私も親として、ゲームを遊ぶ目的を取り違えないようにしていきたい。

家族みんなで楽しむ。それが一番大事なことだ

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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