石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
100時間超の大作フリーソフトRPG「ざくざくアクターズ」が久々のバージョンアップ
新たなEXダンジョンを追加。新要素をすぐに遊べるセーブデータも配布
2022年9月30日 11:00
人気のフリーソフトRPGが久々のバージョンアップ
今回はフリーソフトのRPG「ざくざくアクターズ」を紹介したい。弊誌でも2015年にレビュー記事を掲載しているとおり、かなり前から存在するゲームだ。
なぜ今になって記事にするかというと、今年9月20日になってバージョンアップ版となるv1.80が公開されたため。本作は弊誌のライブラリに登録されているのだが、v1.80に更新するやいなや相当なダウンロード数が記録されており、今も注目度が高い。
v1.80では新たなEXダンジョンが追加されたほか、バグ修正なども加えられている。本稿では改めてゲームの内容を紹介しておこう。
個性的なキャラクターが数十人、想定プレイ時間は100時間超!
本作は「RPGツクールVX Ace」で制作されたRPG。フリーソフトだが、プレイするには「RPGツクールVX Ace」のRTP(ランタイムパッケージ)のインストールが必要になる。RTPはツクールシリーズ公式サイトから無料でダウンロードできる。
基本的なゲームシステムはレトロな2DグラフィックスによるRPG。コマンド選択式のバトルで経験値を得てレベルアップしていく。特徴は8人パーティ制で、バトルに同時に参加できるのは4人ながら、メンバーを入れ替えながら冒険できる。
本作で最も秀逸なのは、味方になるメンバーだ。舞台は異世界からの召喚技術が発達した世界で、不必要なほどの召喚が繰り返された結果、異世界の住人らが溢れてしまった。彼らの一部は世界に馴染めず暴徒化し、何とか鎮圧されたものの、異世界の住人らは「ハグレ」と呼ばれ、原住民との間に軋轢が生まれてしまう。
迫害から逃れたハグレの少女デーリッチは、親友のローズマリーとともにとある遺跡へと逃げ込む。そこで空間転移能力を持つアイテム「キーオブパンドラ」を発見。デーリッチはこれを使って世界中にいるハグレを探し出し、ハグレの王国を作ることを決意する。
堅苦しく紹介するとこのようになるのだが、奔放なデーリッチは具体的なプランをほぼ持っておらず、概ねローズマリー任せの行き当たりばったり。また冒険で出会うハグレ達はいずれも一癖も二癖もある個性的な人物ばかり。中には人物ですらない怪物や神様などもおり、どことなくズレた会話が常に飛び交うカオスな状態になる。
だが、ここが本作の面白いところ。とにかく会話のテンポがよく、笑えるシーンが満載で、冒険中もちょっとした会話シーンが適度に挟まるようになっている。異世界召喚という設定を活かして、何でもありなキャラクター達の強い個性が本作の魅力になっている。
コマンド制のバトルは、ボス戦などではスキルや魔法を駆使した戦略を求められる場面もある。ただそれ以外では、オート選択機能でも十分戦える。道中の回復ポイントやセーブポイントも多めにあり、レベル上げも快適かつ容易だ。
想定プレイ時間は元々数十時間になる大作だが、要素が増えた現在のバージョンでは100時間以上になると思われる。それでも会話のテンポの良さとバトルの手軽さで、最後まで飽きさせずに遊ばせてくれる魅力がある。ほかにもキャラクターに店を出させて王国の活動費を稼ぐ要素もあり、システム的な遊びの要素もしっかりある。
本作はストーリーやキャラクター性が魅力であり、初見でこそ笑える場面も多数あるので、内容を紹介しすぎると面白味を削いでしまう。だいたいどんなゲームかがわかったら、気軽にプレイを初めてもらえればと思う。プレイして数分で、すぐに本作の笑いのセンスは伝わるはずだ。
過去のセーブデータも利用可能
なお、セーブデータは以前のバージョンのものを流用できる。「ver1.80」のZIPファイルを解凍した後、以前のバージョンのフォルダからセーブデータをコピーするだけでいい。またバージョンアップで追加された新たなスキルの取得や、レベルを上げ過ぎたセーブデータを今回のEXダンジョンに合わせてレベル調整する機能も用意されている。詳しくは本作に同梱のテキストファイル「引き継ぎに関して(チェック必須).txt」に書かれている。
もし何らかの理由で、以前プレイしていた時のセーブデータが無くなった場合は、作者のホームページでセーブデータをダウンロードできる。ただし1日のダウンロード数に制限があるとしており、セーブデータを無くした方のみ利用するようにしていただきたい。
配布されるセーブデータは、以前のバージョンでほぼ全要素をプレイ済みの人に向けたものとなる。過去に本作をプレイしたことがない人は、最初からプレイして欲しい。v1.80はあくまでバージョンアップであり、今回が初めてのプレイでも問題もなく遊べるのでご安心いただきたい。
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/