やじうまの杜
「Windows 10 May 2019 Update」に関連する不具合のまとめ(11月20日更新)
Bluetoothデバイスを検出もしくは接続できない問題が解決
2019年5月31日 06:45
“やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
「Windows 10 May 2019 Update(バージョン 1903、19H1)」の一般提供が米国時間5月21日より開始されました。今回のアップデートでもトラブルが報告されており、一部の環境ではアップグレードをブロックする措置が取られていますが、影響範囲の大きいものや、致命的なものは少ない模様。ほとんどは特定のハードウェアに起因するものであったり、運用を工夫することで回避できるものばかりです。
とはいえ、「メディア作成ツール」などを利用した手動アップグレードを検討しているユーザーは油断禁物。入念な情報収集が必要です。
そういうわけで、今回も「Windows 10 May 2019 Update」のアップグレードで確認されている問題をまとめてみました。手動でのアップデートを考えている場合や、すでにアップデートしてしまい問題に遭遇した場合は、それぞれの項目に掲げた外部リンクを参照しながらトラブルシューティングにあたってください。
目次
- Bluetoothデバイスを検出もしくは接続できない
- Wi-Fi接続が断続的に失われる
- 「Intel Display Audio」がバッテリーを過剰に消費する
- 夜間モードが適用されない
- 「カメラ」アプリが起動できない
- NEC製PCの一部モデルでWi-Fi接続が利用できなくなる
- dGPU搭載のSurface Book 2で「デバイス マネージャー」からdGPUが消失してしまう
- 「Windows サンドボックス」が起動しない
- 「リモート デスクトップ接続」を初期化しても黒い画面しか受信できない
- ディスプレイの明るさを調整できない
- RASMANサービスがエラー“0xc0000005”で動作を停止する
- Intelの古いストレージドライバーとの間で互換性問題が発生する
- “Dolby Atmos”ヘッドフォンおよびホームシアターでオーディオが機能しない
- 「dynabook スマートフォンリンク」アプリが機能しない
- カスタムビューを利用すると「イベント ビューアー」が閉じたりエラーが発生することがある
- ユーザープロファイルディレクトリに表示されるフォルダーとドキュメントが重複する
- 外付けUSBデバイスまたはメモリカードを接続してアップデートしようとするとエラーが発生する
- AMD RAIDドライバーの非互換性問題
- D3Dアプリケーションおよびゲームが回転ディスプレイで全画面モードに入らない
NEC製PCの一部モデルでWi-Fi接続が利用できなくなる
9月17日追記: 新規追加
10月25日追記: 解決されたため、状況をアップデート
“Intel Centrino 6205/6235”および“Broadcom 802.11ac”Wi-Fiカードを搭載するNEC製PCの一部モデルを「Windows 10 バージョン 1903」へアップグレードすると、Wi-Fi接続が利用できなくなってしまう。
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- 「デバイス マネージャー」でWi-Fiアダプターを一旦無効化して再度有効化することで、OSを再起動するまでWi-Fiを使用できるようになる
Intelの古いストレージドライバーとの間で互換性問題が発生する
9月2日追記: 解決されたため、状況をアップデート
Intelの「ラピッド・ストレージ・テクノロジー(RST)」ドライバーのv15.1.0.1002からv15.5.2.1053までを利用していると互換性の問題により、「May 2019 Update」へのアップグレードが失敗することがある。
影響範囲
- クライアントOS
- サーバーOS
回避策
- 未掲載
状況
- 「Intel RST」ドライバーをv15.5.2.1054およびそれ以降のバージョン(推奨バージョンはv15.9.6.1044)へ更新すれば「May 2019 Update」へアップデート可能
- KB4512941で解決。9月初旬にブロックを解除
「リモート デスクトップ接続」を初期化しても黒い画面しか受信できない
9月2日追記: 解決されたため、状況をアップデート
「リモート デスクトップ接続」を開始すると黒い画面しか表示されないことがある。この問題は一部の古いGPUドライバーが原因で、“Intel 4”シリーズのチップセットに搭載されている統合GPU(iGPU)などが影響を受ける模様。
影響範囲
- クライアントOS
- サーバーOS
回避策
- 未掲載
dGPU搭載のSurface Book 2で「デバイス マネージャー」からdGPUが消失してしまう
7月18日追記: 新規追加
10月16日追記: 解決されたため、状況をアップデート
NVIDIA製のdGPUを搭載した“Surface Book 2”でdGPUに強い負荷がかかるゲームやアプリを実行すると、ソフトが閉じてしまったり、開くのに失敗してしまうことがある。
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- デバイスの再起動や「デバイス マネージャー」の再スキャンを実施することで問題を一時的に解決可能
状況
- “Surface Book 2”デバイスに2019年10月の更新プログラムをインストールし、ファームウェアを更新することで解決する
一部Mac環境の「Boot Camp」ドライバーとの間で互換性問題が発生する
7月4日追記: 新規追加
タイムスタンプが“September 24, 2011 01:57:09”もしくはそれ以前となっている「Mac HAL Driver」(MacHALDriver.sys)は、「May 2019 Update」と互換性がない。2012年前に発売されたMacや、それ以降に発売されたものの「Boot Camp」が更新されていなかったり、古い「Windows サポートソフトウェア」が搭載されたMacでは、アップグレード時に警告が表示され、処理が中断されることがある。
影響範囲
- 一部のMac環境
回避策
- 「Boot Camp」の「Windows サポートソフトウェア」を更新することで問題が解決される可能性がある
状況
- 7月下旬の修正を予定
RASMANサービスがエラー“0xc0000005”で動作を停止する
8月5日追記: 解決されたため、状況をアップデート
7月2日追記: 新規追加
リモートアクセス接続マネージャ(RASMAN)サービスが機能しなくなり、診断データレベルがデフォルトの“0”以外に設定されているデバイスでエラー“0xc0000005”が表示される。また、「イベント ビューワー」の[Windows ログ]-[Application ]セクションでイベントID“1000”が“svchost.exe_RasMan”や“rasman.dll”に関連して記録されることがある。
この問題は、VPNプロファイルが“Always On VPN(AOVPN)”接続として設定されている場合にのみ発生する。手動のVPNプロファイルや接続には影響しない。
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- グループポリシーやレジストリを編集して、テレメトリーを許可する
カスタムビューを利用すると「イベント ビューアー」が閉じたりエラーが発生することがある
6月13日追記: 新規追加
「イベント ビューアー」でカスタムビューを展開・表示・作成しようとすると、“MMCがスナップインでエラーを検出したため、アンロードします”というエラーが表示され、アプリが停止したり閉じてしまうことがある。
この問題は2019年6月の更新が原因で、「May 2019 Update」だけでなく、Windows 7/8.1などにも影響する。
影響範囲
- Windows Server 2008以降のサーバーOS
- Windows 7 SP1以降のクライアントOS
「Windows サンドボックス」が起動しない
「May 2019 Update」をアップデートする際、OSのシステム言語を変更したデバイスで、「Windows サンドボックス」が起動しない場合がある(“ERROR_FILE_NOT_FOUND(0x80070002)”エラー)。
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- 未掲載
「dynabook スマートフォンリンク」アプリが機能しない
「dynabook スマートフォンリンク」は、Dynabook社製PC向けに提供されているアプリ。PCをスマートフォンのスピーカー・キーボード・マウスとして利用できるようにする。
このアプリを導入したデバイスを「May 2019 Update」へアップグレードすると、一部の環境でアプリが機能しなくなる。通話メニューで電話番号を表示できなくなったり、PCから電話に応答する機能が利用できなくなる恐れがある。
影響範囲
- クライアントOS
回避策と状況
- 7月12日更新:この問題は解決され、アップデートのブロックは解除された。ただし、「May 2019 Update」へアップグレード可能になるまで48時間程度かかることがある
ディスプレイの明るさを調整できない
8月5日追記: 解決されたため、状況をアップデート
Intel製ディスプレイドライバーの一部は「May 2019 Update」との互換性に問題を抱えており、ユーザーインターフェイスでディスプレイの明るさ(輝度)を調整できたようにみえても、実際に適用されないことがある。
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- デバイスを再起動する
“Dolby Atmos”ヘッドフォンおよびホームシアターでオーディオが機能しない
「May 2019 Update」へアップデートすると、「Dolby Access」アプリのライセンス(ホームシアターは無償、ヘッドフォンは有償)を処理できず、オーディオが再生されないことがある。
同社によると、これは“Microsoft Store”のライセンスコンポーネントに起因する問題で、現在解決に取り組んでいるとのこと。
影響範囲
- クライアントOS
回避策と状況
- 7月12日更新:この問題は解決され、アップデートのブロックは解除された。ただし、「May 2019 Update」へアップグレード可能になるまで48時間程度かかることがある
ユーザープロファイルディレクトリに表示されるフォルダーとドキュメントが重複する
リダイレクトされた既知のフォルダー(デスクトップ、ドキュメント、ピクチャなど)がシステムに存在する場合、“%userprofile%”フォルダーに同じ名前の空フォルダーが作成されることがある。
「OneDrive」アプリで“重要な PC のフォルダー”をバックアップしたケースや、購入したPCを最初にセットアップするプロセス(Out-of-Box-Experience、OOBE)でコンテンツのバックアップを行ったケース、「エクスプローラー」のプロパティダイアログで既知のフォルダーのパスを変更したケースで影響を受ける可能性があるが、ユーザーファイルが削除されることはない。
影響範囲
- クライアントOS
回避策・状況
- 「KB4497935」で修正済み。6月の月例アップデート(パッチチューズデー)で自動配信が開始されると、アップグレードのブロックは解除される
6月10日追記: 解決されたため、回避策・状況をアップデート
外付けUSBデバイスまたはメモリカードを接続してアップデートしようとするとエラーが発生する
たとえば、USBメモリを挿入したPCを「May 2019 Update」へ更新しようとすると、その途中でドライブレターが変わってしまう。このドライブが再割り当てされる問題は、リムーバブルドライブだけでなく、内蔵ハードドライブにも影響する可能性がある。
回避策と状況
- 7月12日更新:この問題は解決され、アップデートのブロックは解除された。ただし、「May 2019 Update」へアップグレード可能になるまで48時間程度かかることがある
6月10日追記: 解決されたため、回避策・状況をアップデート
状況
- 5月下旬に修正プログラムが提供される予定
Bluetoothデバイスを検出もしくは接続できない
10月30日追記: 一部解決されたため、状況をアップデート
11月20日追記: 解決されたため、状況をアップデート
RealtekおよびQualcommによって製造されたBluetoothデバイスは、ドライバーの一部バージョンが「May 2019 Update」と互換性問題を抱えている。
影響範囲
- クライアントOS
- サーバーOS
回避策
- デバイスの製造元(OEM)に確認して、修正済みのドライバーを入手する。Qualcommの場合はv10.0.1.11以降、Realtekドライバーの場合はv1.5.1011.0以降へアップデートする
状況
- Qualcomm/Realtekともに最新のBluetoothドライバーで解決済みで、アップデートのブロックは解除された
夜間モードが適用されない
11月20日追記: 解決されたため、状況をアップデート
特定条件下でWindows 10の“夜間モード”設定が適用されなくなる。
- 外付けモニターやドック、プロジェクターと接続・切断した場合
- 画面を回転させる
- ディスプレイドライバーを更新したり、ディスプレイモードを変更した場合
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- デバイスを再起動する
- “夜間モード”をONまたはOFFにする
「Intel Display Audio」がバッテリーを過剰に消費する
11月20日追記: 解決されたため、状況をアップデート
「Intel Display Audio(intcdaud.sys)」デバイスドライバー(v10.25.0.3からv10.25.0.8まで)にはバッテリーを過剰に消費する既知の問題があり、アップグレード中に“次の作業が必要です”という注意が表示される。
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- 注意が表示されたら[戻る]ボタンをクリックしてアップグレードを中止する。[確認する]ボタンは押さない
状況
- 最新のドライバーで解決済みで、アップデートのブロックは解除された
「カメラ」アプリが起動できない
10月30日追記: 解決されたため、状況をアップデート
「Intel RealSense SR300」および「Intel RealSense S200」は「May 2019 Update」との間に互換性問題を抱えており、「カメラ」アプリを起動すると“0XA00F4243”エラーが発生することがある。
影響範囲
- クライアントOS
回避策(次回のシステム再起動まで有効)
- カメラを取り外し、再び差し込む
- デバイスマネージャでドライバーを無効にしてから再度有効にする
- RealSenseサービスを再起動する
Wi-Fi接続が断続的に失われる
11月20日追記: 解決されたため、状況をアップデート
古いQualcommドライバーが原因で、Wi-Fi接続が失われることがある。古いPCではドライバーのアップデートが必要。
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- デバイス製造元(OEM)から最新のWi-Fiドライバーをダウンロードしてインストールする
状況
- 最新のドライバーで解決済みで、アップデートのブロックは解除された
AMD RAIDドライバーの非互換性問題
AMD RAIDドライバーのv9.2.0.105より前のバージョンには「May 2019 Update」との間に非互換性問題があり、安定性が損なわれる。“AMD Ryzen”、“AMD Ryzen Threadripper”でSATAまたはNVMeのRAIDモードを利用している場合は注意が必要だ。
影響範囲
- クライアントOS
回避策・状況
- この問題はAMDによって解決された。同社のサポートサイトからドライバーをダウンロードし、インストールすれば、「Windows 10バージョン 1903」のインストールプロセスが再開される
6月10日追記: 解決されたため、回避策・状況をアップデート
D3Dアプリケーションおよびゲームが回転ディスプレイで全画面モードに入らない
一部のDirect3D(D3D)アプリケーションやゲーム(「3DMark」など)では、横長モニターを縦にして利用している場合など、向きが初期状態から変更されているディスプレイで全画面モードにならない場合がある
影響範囲
- クライアントOS
- サーバーOS
古いバージョンの「BattlEye」アンチチートソフトとの非互換性問題
アンチチートツール「BattlEye」の古いバージョンが組み込まれたゲームは、「May 2019 Update」で動作しない可能性がある。「May 2019 Update」へアップグレードする前に、回避策のうち1つ以上を実施することが推奨されている。
影響範囲
- クライアントOS
回避策
- ゲームに組み込まれている「BattlEye」が最新であることを確認する
- システムを再起動して、ゲームをもう一度実行する
- “https://www.battleye.com/downloads/UninstallBE.exe”を利用して「BattlEye」をアンインストールしてから、ゲームを再度実行する
- ゲームを再インストールする
その他のトラブルシューティングオプションについては、FAQを参照のこと。
状況
- 「BattlEye」やゲームの開発元と協力しながら、「BattlEye」のアップデートに取り組んでいる
安定性を重視したい:機能アップデートのインストールを遅らせる
業務環境でトラブルに遭うのは避けたい、安定性重視で運用したい場合、「Windows 10 Pro」以上のエディションであれば、機能アップデートのインストールを最大365日間遅らせることが可能です。不具合が出尽くすのを待って、アップグレードすることができます。
「設定」アプリの[更新とセキュリティ]-[Windows Update]セクションにある“詳細オプション”リンクをクリックし、下の方にスクロールすると“更新プログラムをいつインストールするかを選択する”という欄があるので、ここで機能更新プログラムのインストールを延期する日数を選択しましょう。
ちなみに、「May 2019 Update」では“Windows Update”が大きく改善されており、「Windows 10 Home」でも7日×5回の最大35日間のアップデート延期が可能となっています。ユーザーインターフェイスもわかりやすくなっているので、アップグレードしたら是非チェックしてみてください。