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【Excel】「A2」「$A$2」「$A2」はどう違うの?エクセルでセルの参照方法をマスターして数式のコピーをスムーズに行うテク

「A2」「$A$2」「$A2」はどう違うの?

 Excelで数式を入力する際に、「=A2」のように記述する場合と、「=$A$2」のようにセル番号に「$」を付けて記述する場合がありますよね。また、「=$A2」のように片方だけしか「$」を付けない場合もあります。

 これは、Excelでセルを参照する際に、どのような方法で行うのかによる違いです。

 「=A2」のような参照方法は相対参照といい、「=$A$2」のように「$」を付けて参照する方法は絶対参照といいます。また、「=$A2」のように片方だけに「$」を付ける方法は「複合参照」といいます。

 それぞれの参照方法について、どのような時に使うと便利なのかをきちんと理解して使用すれば、Excelでの作業がより一層スムーズになります。

 言葉での説明では、イメージしづらいと思いますので、さっそく例を使って見ていきましょう。

相対参照とは

 売上表の例で見てみましょう。この売上表のE列の合計欄(①)に、それぞれの店舗の売上の合計を算出したいとします。まず、表の一番上のセル(E3)に「=SUM(B3:D3)」(②)と入力して合計を求めます。セル番号に「$」マークは付けません。

 オートフィル機能を使って、E列のほかのセルにも数式をコピーしてみましょう。セルE3をクリックした状態でマウスポインターをセルの右下に合わせると、マウスポインターの形が変わる(③)ので、そのままドラッグ(④)します。

 すると、E列すべてに数式がコピーされて、合計が求められました(⑤)。

 この時、数式はどのように変化したでしょうか。例として、セルE4をクリックして、数式バーに表示される数式(⑥)を確認してください。

 セルE4には「=SUM(B4:D4)」と入力されていますね。コピー元のセルE3に入力された数式「=SUM(B3:D3)」が、コピー先のセルに応じて変わりました。

 この例のように数式の参照するセルが、コピー先のセルに応じて変化するような参照方法を「相対参照」といいます。

 今回の例のように、セル番号がコピー先に応じて変化してほしい時に、相対参照で記述します。

絶対参照とは

 数式をコピーする際に、参照しているセル番号が変わってほしくない場合があります。その場合は、セル番号に「$」を付けて「絶対参照」にします。絶対参照で数式を記述すると、その数式をコピーしても参照先のセルが固定され、変化することはありません。

 例として、VLOOKUP関数を使って、商品カタログから商品名を自動入力する例で見てみましょう。VLOOKUP関数は、「=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索方法)」という書式で使います。引数で指定した「検索値」を元に、指定した「範囲」からデータを探して取り出してくれる非常に便利な関数です。

 VLOOKUP関数の詳しい使い方は、以前紹介した記事を参照してください。

 VLOOKUP関数を使って、商品名を自動入力させたいセル(ここではセルB3)に「=VLOOKUP(A3,$G$3:$I$10,2,FALSE)」(①)と入力します。

 この時、検索するセル範囲($G$3:$I$10)には、「$」を付けて記述します。それは、この後、B列のほかのセルに数式をコピーする際に、数式が参照しているセル範囲($G$3:$I$10)が変わってほしくないからです。

 実際にセルの数式をコピーしてみましょう。オートフィル機能を使って、B列のほかのセルにも数式をコピーします(②)。

 B列すべてに数式がコピーされて、商品名が自動的に入力されました(③)。

 では、コピーしたセルの数式は変化したでしょうか。例として、セルB4をクリックして、数式バーに表示される数式(④)を確認してください。

 「$」を付けたセル範囲($G$3:$I$10)はコピー先のセルに影響されず変化していませんね。

複合参照とは

 相対参照と絶対参照を組み合わせた参照方法があります。これを複合参照といいます。複合参照は、列か行の片方だけを固定して、変化させたくない場合に使用します。

 この項では、売上表の例を使って、行だけを固定する方法を解説します。売上表のC列(①)に税込価格を求めていきます。

 まず、表の一番上のセル(C3)に「=B3+B3*C$1」(②)と入力して、税込価格を求めます。数式を下方向にコピーする際に、行番号が変化しないように固定したいので、「C$1」とします。

 ところで、参照方法を決める際に、いちいち「$」を手入力するのは面倒ですよね。[F4]キーを使うと、キーを押すたびに「C3」→「$C$3」→「C$3」→「$C3」と入力を切り替えることができます。ぜひ覚えておいてくださいね。

 数式が確定されると、セルC3に税込価格が表示されます(③)。オートフィル機能を使って、C列のほかのセルにも数式をコピーします(④)。

 C列すべてに数式がコピーされて、税込価格が求められました(⑤)。

 では、コピーしたセルの数式を確認してみましょう。例として、セルC4をクリックして、数式バーに表示される数式(⑥)を確認してください。

 「$」を付けたセル範囲(C$1)はコピー先のセルでも、変化していませんね(ここでは、C列内で下方向にコピーしているので、列は固定していなくても変化しません)。

 実をいうとは、前項で紹介したVLOOKUP関数の数式も、下方向にだけコピーするので、列は固定しなくても大丈夫でした。しかしながら、商品カタログ全体をひとまとめにして管理できるように、絶対参照にしておくことをおすすめします。

参照方法を使い分ける

 今回は、Excelのセルの参照方法(相対参照、絶対参照、複合参照)について、実際にセル番号の変化(または変化しない)を見ながら解説しました。

 それぞれの参照方法について、どのような時に使うと便利なのかを理解して使用すれば、Excelでの作業がより一層スムーズになります。

 また、手元のExcelシートを使って、実際に数式をコピーするなどして、セル番号の変化を見てみるとより理解が深まると思います。

 ぜひ一度、練習してみてくださいね。

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