いまさら聞けないExcelの使い方講座
【Excel】B3:D3と言われても頭に入らない?エクセルでセルに名前を付ける方法と便利な活用法
2018年3月23日 06:55
セルに名前を付けるとなにが便利なの?
仕事で必要だからExcelを使ってはいるけれど、数式はやっぱりややこしくて苦手……という人、実は多いのではないでしょうか。関数やセルの参照を正確に入力すればいいだけとわかっているけれど、それが難しいし面倒なんですよね。
今回は、数式が苦手な人も苦手でない人も是非使ってほしい「名前」機能を紹介します。機能自体は、セルやセル範囲に名前を付けられて、数式のセル参照に利用できるというシンプルなものですが、ややこしい数式がわかりやすくなるうえに、メンテナンスも楽になるという優れものです。
機能の存在は知っているけれど、「名前を付けるだけでそんなに便利になる?」と疑問を感じている人もいるかもしれませんね。シンプルなだけに、使い方次第で大きな力を発揮する機能なんです。
さっそくその設定方法と活用法を見ていきましょう。
セルに名前を付ける
支店別に月ごとの営業利益をまとめている「支店別 営業利益表」(①)を例に、まずはセルやセル範囲に名前を付ける方法を説明します。
最初に、名前を付けたいセル範囲を選択します。ここでは、「銀座」支店の各月の営業利益が入力されているセル範囲に名前を付けたいので、セル範囲B3:D3(②)を選択しています。
この状態で、数式バーの左側にあるボックス([名前ボックス]といいます)にマウスポインターを近づけると、マウスポインターの形が変わります(③)。
そこでクリックすると、[名前ボックス]に文字を入力できる状態になります。ここに、セル範囲に付けたい名前を入力します。ここでは、「銀座各月利益」(④)と入力しています。
名前はひと目で内容が理解できるものを考えましょう。ただし、名前の最初の文字を数字にはできないので注意してください。
入力が済んだら、[Enter]キーを押します(⑤)。
セル範囲B3:D3に「銀座各月利益」という名前が設定されました(⑥)。
ブック内に名前が付けられたセルやセル範囲がある場合には、[名前ボックス]の右にある[▼]をクリックすると、名前のリストがプルダウンメニューで表示されます(⑦)。
プルダウンメニューの名前をクリックすると、その名前が付いているセルやセル範囲が選択された状態になります(⑧)。名前が付けられているセルやセル範囲を確認したい場合や、その場所にすばやく移動したい場合などに便利です。
数式に名前を使用する
次に、設定した名前を数式の中で使ってみましょう。
「支店別 営業利益表」の例では、各月の利益の「合計」と「平均」がE列とF列にそれぞれ入力されています。「銀座」の「合計」であるセルE3(①)を見てみると、「=SUM(B3:D3)」(②)という数式が入力されています。セル範囲B3:D3には、先ほど「銀座各月利益」という名前を付けたので、数式中の「B3:D3」を「銀座各月利益」に書き直してみます。
セルE3に入力されている数式が「=SUM(銀座各月利益)」(③)になりましたが、計算結果は問題なく表示されています(④)。
セルF3(⑤)に入力されている数式「=AVERAGE(B3:D3)」(⑥)も同様に書き換えることができます。
数式「=AVERAGE(銀座各月利益)」(⑦)でもきちんと計算が行われています(⑧)。
最初に入力されていた数式「=SUM(B3:D3)」や「=AVERAGE(B3:D3)」と、名前に置き換えた数式「=SUM(銀座各月利益)」や「=AVERAGE(銀座各月利益)」を比べてみてください。あとの2つのほうが「銀座の各月の利益を合計している」、「銀座の各月の利益について平均を計算している」ということがわかりやすいですね。
これが、セルやセル範囲に名前を付けることの利点の1つです。特に、別の人が作った数式を読み解く際には、数式を見るだけで内容をなんとなく想像できるというのは、とても助かるのではないでしょうか。
名前を使っていると数式のメンテナンスが楽になる
今度は、「支店別 営業利益表」の例で12月のデータを追加することになった場合を考えてみましょう。
「11月」のD列の右側に新しい列を挿入し、見出しのセルE2に「12月」、セルE3に「銀座」の12月のデータである「411」を入力しています(①)。
この段階では当然ですが、「合計」や「平均」に12月のデータは反映されていません(②)。それらの数式は、セル範囲「銀座各月利益」すなわちB3:D3を参照しており、セルE3に入力されている12月のデータはそこに含まれていないからです。
セル範囲に名前を付けていない場合、こういった状況で正しく計算が行われるようにするには、各月利益の数値を用いて計算している数式内の参照を1つ1つ修正していく必要があります。今回の例でいえば、「合計」のセルF3と「平均」のセルG3の数式内の「B3:D3」を1つ1つ手作業で「B3:E3」に直さなければなりません。
参照を修正する数式が2つだけならそれほど大きな手間ではありませんが、これが5つほどにもなってくるとちょっと面倒です。見落としや、修正してはいけない部分まで変えてしまうこともありえるので、あまり効率がいいとはいえませんね。
セル範囲に名前を付けている場合、この作業を効率よく行うことができます。修正するのは、名前に定義されているセル範囲のみです。名前に対応するセル範囲に12月のデータが含まれるように変更すれば、数式そのものには手を加えることなく、12月のデータを反映した計算を行うことができるのです。
実際に試してみましょう。ブックに設定されているセルやセル範囲の名前は[名前の管理]ウィンドウで編集します。
[数式]タブ(③)→[名前の管理](④)をクリックします。
[名前の管理]ダイアログボックスが表示されるので、編集したい名前(ここでは「銀座各月利益」)を選択します(⑤)。[参照範囲]に名前を付けたセルやセル範囲がシート名に続いて表示されるので(⑥)、右端にあるアイコン(⑦)をクリックします。
[参照範囲]に含まれている「$」マークの意味を知りたい人は、相対参照と絶対参照の記事を参考にしてくださいね。
ダイアログボックスが小さくなって(⑧)、名前「銀座各月利益」が参照するセル範囲を変更できる状態になりました。12月を含むセル範囲B3:E3をドラッグで選択します(⑨)。
[名前の管理-参照範囲]ダイアログボックスに表示されている参照範囲が、「=営業利益表!$B$3:$E$3」(⑩)に変化しました。セル範囲に間違いがないことを確認したら、右のアイコン(⑪)をクリックします。
[名前の管理]ダイアログボックスが再度表示されました。「銀座各月利益」の[参照範囲](⑫)が変更されているので、チェックマークのアイコン(⑬)をクリックして、変更を保存します。
変更が保存されたら、[閉じる](⑭)をクリックして、ダイアログボックスを閉じます。
シート画面に戻ると、数式自体には手を加えていないのに、セルF3の「合計」とセルG3の「平均」が、12月のデータを反映した値に変化しています(⑮)。
このように、多くの数式が参照しているセル範囲に名前を付けておくと、表の更新などで参照範囲を変更する必要が出てきた時にも、まとめて修正できます。数式を1つ1つ手作業で直さなくてもよい分、ミスもしにくいです。数式が苦手な人にとって、数式を直接触らなくてもいいというのは、気が楽なのではないでしょうか。
ちなみに、間違った名前を設定してしまった場合や、名前が不要になった場合には、[名前の管理]ダイアログボックスで[削除](⑯)をクリックすると、削除することができます。[名前の管理]ダイアログボックスで一括管理できるというのもわかりやすいですね。
名前を設定するのはここぞというデータだけ
今回は、数式をわかりやすく、管理も楽にしてくれる名前機能の使い方を紹介しました。
数式が苦手な人にはとても頼もしい機能ですが、調子に乗って名前をたくさん設定しすぎないように注意してください。管理しきれないほど名前が増えてしまうと、逆にわかりにくくなり、思わぬミスを招いてしまうかもしれません。
ここぞというデータに狙いを絞って、名前機能を賢く使いこなしてくださいね。
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