いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】オートフィルターより超便利! エクセルでのデータ絞り込みが格段にラクになるスライサー活用テク

「スライサー」はデータ抽出の救世主!

 「上司や先輩から『オートフィルターを使え』と再三言われるけど、イマイチ使いづらいんだよな……」

 Excelを使って業務をする中で、こんな風に感じたことはありませんか? オートフィルターを使うと、指定した条件でデータを抽出することができるので、データを分析する際には非常に便利ですが、フィルターボタン(①)をクリックして、絞り込みたい項目を選択(②)して……という手順は案外面倒ですよね。抽出項目のチェックボックスをいくつもクリックしなくてはならないですし、またそのチェックボックスも比較的に小さいため、クリック操作を誤ることはよくあると思います。

 こんな時にもっと簡単で直感的に使える、Excelの「スライサー」という機能を知っていますか? 元々は、Excel 2010からピボットテーブルで導入された機能なのですが、Excel 2013からは、テーブルに対してもこのスライサー機能を使えるようになりました。1クリックで直感的にデータを抽出することができるので、作業がスムーズに進みます。

 今回は、Excelでデータを分析したい時に、オートフィルターよりも簡単で直感的にデータを抽出できる「スライサー」について解説します。

表をテーブルに変換する

 例として「物品管理表」(①)を使ってやってみましょう。スライサーを使うには、まず、この表をテーブルに変換する必要があります。

 「物品管理表」をテーブルに変換してみましょう。表内のいずれかのセル(ここではセルA1)を選択して(②)、[挿入]タブ(③)→[テーブル](④)をクリックします。

 [テーブルの作成]ダイアログボックスが表示されます。テーブルに変換するデータ範囲(ここでは、セル範囲$A$1:$H$48)(⑤)が自動的に入力されるので、正しく指定されていることを確認して[OK](⑥)をクリックします。間違いがある場合は、正しいセル範囲を入力します。

 表がテーブルに変換されましたね(⑦)。

 これで準備は完了です。次項からは、実際にスライサーの作成法や使用法について見ていきましょう。

スライサーを作成する

 表をテーブルに変換できたら、次はスライサーを作成します。テーブル内のいずれかのセル(ここではセルA1)を選択して(①)、[テーブルツール]にある[デザイン]タブ(②)の[スライサーの挿入](③)をクリックします。

 [スライサーの挿入]ダイアログボックスが表示されるので、抽出条件に使う項目を選択します。ここでは、[部署名](④)と[備品名](⑤)にチェックを入れてみましょう。

 抽出条件に使う項目にチェックを入れたら、[OK](⑥)をクリックしてダイアログボックスを閉じます。

 シートに戻ると、[部署名]、[備品名]という名前の小さなウィンドウが2つ表示されますね(⑦)。これがスライサーです。

 この状態だと、スライサーがテーブルの上に重なって配置されているため、テーブルのデータが見えない箇所がありますね。そこで、スライサーをシートの空欄部分に移動してみましょう。

 まず、手前にある「備品名」のスライサーから移動します。マウスを「備品名」のスライサーの上に乗せると、マウスポインターの形が変わります(⑧)。そのままスライサーをドラッグして、シートの右側にある空欄部分に移動しましょう(⑨)。

 同様にして「部署名」のスライサーも移動します。

 これで、テーブルのデータが見えるようになりました(⑩)。

 ここまでで、スライサーの作成は完了です。次の項では、実際に条件を指定してデータを抽出してみます。

クリック1つでデータを抽出する

 「部署名」のスライサーを使ってデータを抽出してみましょう。「部署名」のスライサーには、「部署名」の列に含まれる部署名が一覧表示されています。例として、[運用1課](①)という項目をクリックしてみます。

 すると、部署名が「運用1課」であるデータ(②)が抽出されます。

 別のデータを抽出してみましょう。今度は「部署名」のスライサーにある[営業2課](③)をクリックしてみます。部署名が「営業2課」のデータ(④)が抽出されますね。

 このように、スライサーに表示されている項目名をクリックするだけでデータを抽出できるので、作業がスムーズに進みますね。

 なお、抽出を解除したい場合は、[フィルターのクリア](⑤)をクリックすると解除できます。

複数の条件でデータを絞り込む

 複数の条件でデータを絞り込むこともできます。例として、部署名が「営業1課」または「開発2課」であるデータを抽出してみましょう。「部署名」のスライサーにある[営業1課]と[開発2課]の両方を選択すると、該当のデータを抽出できます。

 スライサーで複数の項目を選択するには、まず、1つ目の項目(ここでは[営業1課])(①)を選択した状態で、スライサーの右上部分にある[複数選択](②)をクリックします。

 続けて、2つ目の項目(ここでは[開発2課])(③)をクリックします。スライサー上では、[営業1課]と[営業2課]の2つの項目が選択された状態になりますね。テーブルでは、部署名が「営業1課」または「開発2課」であるデータ(④)が抽出されます。なお、[複数選択]をクリックする代わりに、[Ctrl]キーを押しながら項目をクリックしても、複数の項目を選択することもできます。

 また、複数のスライサーを使ってさまざまなパターンでデータを絞り込むこともできます。例えば、「部署名」のスライサーで[営業2課](⑤)、「備品名」のスライサーで[油性マーカー 黒](⑥)をクリックすると、「部署名が『営業2課』でかつ備品名が『油性マーカー 黒』」というデータ(⑦)を表示できます。

 さまざまなパターンによるデータ抽出も、直感的で簡単にできますね。

スライサーを使ってみよう!

 今回は、Excel 2013からテーブルで使用できるようになった「スライサー」機能について解説しました。指定した条件(項目)で、簡単にデータを抽出できることがわかってもらえたと思います。

 スライサーと同じような機能にオートフィルターがありますが、フィルターボタンをはじめ、クリックしなければならない箇所が案外多く、もどかしく思っている読者は少なくないのではないでしょうか。そんな読者の皆さんは、ぜひ一度、このスライサーを使ってみてください。クリック1つで直感的にデータを抽出することができ、データの分析作業をスムーズに進めることができますよ!

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