いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】数式の入力中に現れる関数リストの正体は?エクセルうろ覚えの関数でもスムーズに入力できる便利な機能を使いこなす

「数式オートコンプリート」って何?

 今月は1年の締めくくりとなる12月。業務でも1年を総括するような資料や集計表を作成する機会が多いのではないでしょうか。月ごとの売上データ、支店や店舗別の売上データなどを集計するために関数を使う機会が増えるかもしれませんね。

 Excelで数式を入力する際、どのように入力していますか。以前の記事では、[関数の挿入]ダイアログボックスを使って、ダイアログボックスの誘導に従いながら数式を完成させる方法を解説しました。関数名や引数を完全に暗記していなくても、Excelが補助してくれるので、関数に不慣れな人でも心折れることなく数式を作成できる方法でした。

 実はもう1つ、Excelの補助を利用して数式を完成させる方法があります。それは「数式オートコンプリート」という機能を使う方法です。Excelで、セルに文字をいくつか入力したら、以前に入力した内容が入力候補として自動的に表示されたという経験はないでしょうか。これはオートコンプリートという機能で、セルにいくつか文字を入力した時、その文字が同じ列にすでに入力されているデータと一致する場合、残りのデータを入力候補として表示してくれます。数式を入力する際にも、このように入力を補助してくれる「数式オートコンプリート」という機能があります。

 今回は、この「数式オートコンプリート」の便利な使い方について解説します。この記事では、実際に関数を使った数式を入力しながら、数式オートコンプリートの便利な使用法について解説していきますが、数式で使用する関数そのものについては詳しく解説しません。関数の詳細については、過去にその関数について解説した記事にリンクを貼っていますので、そちらを参考にしてみてください。

❶長い関数名を入力する時に便利

 長い関数名を入力する際は、スペルミスが起こりやすいですよね。そんな時は、数式オートコンプリートに入力を補助してもらいましょう。

 会社の組織改編が行われたため、社員名簿の部署名を変更したいというケースを考えてみます。次の「社員名簿」のB列(①)に表示されている旧部署名を、SUBSTITUTE関数を使って置き換え、C列(②)に新部署名を表示してみましょう。ここでは、「総務部」が「総務統括部」に変更されたとします。「『総務部』を『総務統括部』に置き換える」場合は、セルC4に「=SUBSTITUTE(B4,"総務部","総務統括部")」と入力します(SUBSTITUTE関数の詳細については、以前の記事をご覧ください)。

 では実際に入力していきましょう。セルC4に「=SU」(③)と入力したところで手を止めてみます。セルC4の下に、“SU”から始まる関数のリストが入力候補として表示されます(④)。ここでは[SUBSTITUTE](⑤)を選びたいので、[Tab]キー(⑥)を押して選択します。

 この時、目的の関数名を選択するキーは[Tab]キーということを覚えておいてください。間違えて[Enter]キーを押してしまうと、「=SU」という内容で入力が確定されてしまい、「#NAME」エラーになってしまうので、注意してくださいね。

 セルC4に、自動的に「=SUBSTITUTE(」(⑦)と入力されました。数文字タイプするだけで、長い関数名もすばやく正確に入力できますね。

 数式の続きを入力して(⑧)数式を完成させたら、[Enter]キーを押して(⑨)セルの内容を確定します。

 「SUBSTITUTE」のように長い関数名をミスなくタイプするのは、結構難易度が高いので、このように入力を補助してくれると助かりますよね。

❷引数の内容が覚えにくい場合に役に立つ

 関数の中には、指定する引数の内容が覚えにくいこともありますよね。例えば、次の「11月売上表」で、セルG12(①)にSUBTOTAL関数を使って数式を入力しようとしているとします。SUBTOTAL関数は、オートフィルターと組み合わせて使うと便利な関数で、この関数を使って合計を求める数式を記述すると、オートフィルターで絞り込んだデータだけの合計を自動的に表示できます(SUBTOTAL関数の詳細については、以前の記事をご覧ください)。

 SUBTOTAL関数の書式は次のとおりです。1つ目の引数の「集計方法」で指定する数値と集計方法の対応を、書式の下に一覧表にしています。

でも、これらの内容をすべて暗記するのは大変ですよね。こんな時に「数式オートコンプリート」の実力が発揮されます。

 実際に入力してみましょう。セルG12に「=SU」(②)と入力したところで手を止めます。セルG12の横に、“SU”から始まる関数のリストが入力候補として表示されます(③)。今回は、「SUBTOTAL」を選択したいので、[↓]キーを押して(④)移動します。

 [SUBTOTAL](⑤)が選択されたら、[Tab]キーを押します(⑥)。ここでも[Enter]キーを押さないように注意してくださいね。

 すると、セルに「=SUBTOTAL(」(⑦)と自動的に入力されます。さらに続けて、2つ目の引数に指定する数値のリストが表示されます(⑧)。ここでは[9 - SUM]を選びたいので、[↓]キーを押して(⑨)リストの下の方に移動します。

 [9 - SUM](⑩)が選択されたら、[Tab]キーを押します(⑪)。ここでも[Enter]キーを押さないように注意します。

 数式の続きに、「9」と入力されます(⑫)。引数の内容がうろ覚えでも、数式オートコンプリートが補助してくれるので、作業の手を止めることなく入力していくことができますね。

 数式の続きを入力して(⑬)数式を完成させたら、[Enter]キーを押して(⑭)セルの内容を確定します。

 知ってはいるけれど完全には覚えきれていないという関数でも、数式オートコンプリートを使えば、数式入力を補助してくれるので、スムーズに数式を完成できますね。

数式オートコンプリートのON/OFFを切り替えるには

 数式オートコンプリートは初期状態で有効になっていますが、もしお使いのパソコンで有効になっていなければ、ここで解説する手順に従って、有効にしてください。

 [ファイル]タブ→[オプション]をクリックして[Excelのオプション]画面を開きます。画面の左側の欄で[数式](①)を選択し、画面中央にある[数式の処理]欄から、[数式オートコンプリート](②)をクリックしてチェックマークをONにします。

 [OK](③)をクリックして、[Excelのオプション]画面を閉じます。これで数式オートコンプリートが有効になります。なお、数式オートコンプリートが不要という人は、[Excelのオプション]画面で先ほどONにした項目のチェックマークをOFFにすれば、数式オートコンプリートを無効にできます。

「数式オートコンプリート」を活用して入力ミスや作業の手間を省こう

 今回は、Excelの「数式オートコンプリート」という機能を使って、うろ覚えの関数が含まれる数式でも、Excelに補助してもらいながら数式を完成させる方法を解説しました。

 長い関数名のスペルを思い出せなかったり、指定する引数に選択肢が多く迷ってしまったりした時でも、Excelの補助に従って入力を進めると、スムーズに数式を完成させることができますよ。

 ぜひ皆さんも使ってみてくださいね。

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