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「AIの未来」を詰め込んだ「AIフェスティバル」が開催、AIアートに24時間ハッカソン、著名人のトークまで……
ちょまどさんや落合陽一氏、八谷和彦氏も登壇
2023年11月5日 08:45
(株)サードウェーブは11月4日、ベルサール秋葉原(東京都千代田区)にて「第一回AIフェスティバル Powered by GALLERIA」を開催した。
「第一回AIフェスティバル Powered by GALLERIA」は、『AIをもっと身近に、もっと楽しく感じてもらう』ことを目的としたリアルイベント。
3月に開催された「AIアートグランプリ」に続く「第二回AIアートグランプリ」の最終選考作品を展示、グランプリを発表したほか、「第一回 24時間AIハッカソン」も開催、これも優勝作品などの発表が行われた(これらのグランプリ、優勝作品については速報記事を参照のこと)。
さらに、AIに関わる著名人を招いたトークセッションも「AIアートの今日と明日」と「クリエイター/アーティストから見た生成AI」をそれぞれテーマに実施。「ちょまど」こと千代田まどかさんや、メディアアーティストの落合陽一氏や八谷和彦氏も登壇した。
加えて会場では、主催のサードウェーブのほかに、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)や、Intel、NVIDIAがブースを出展、それぞれのAIの取り組みをアピール。
様々な視点での「AIの未来」を詰め込んだイベントとなっていた。
AIアートグランプリの最終選考作品が展示
会場展示のポイントは「第二回AIアートグランプリ」の最終選考に残った10作品が展示されていたことだ。
「アート」と一言で言っても、今回の10作品は、表現方法や方向性が大きく異なる。展示だけでなく、制作者によるプレゼンテーションを見ることで、その全貌や奥深さがわかる作品も多かったが、会場では、展示されていた10作品を興味深く見る来場者の姿が印象的だった。
また、サードウェーブのブースでは、GeForce RTX 4090を搭載したゲーミングPC「GALLERIA」を、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)は同団体が配布している組織のための生成AIの利用ガイドラインや、生成AIの知識や活用リテラシーを確認する試験「Generative AI Test」(有償、試験日は12月2日)の展示を実施。
また、NVIDIAやIntelのブースでは、各社のプラットフォームを使ったAIの活用をアピールしていた。
NVIDIAのブースではGeForceを搭載したGALLERIAで大規模言語モデル(TensorRT-LLM for Windows)や画像生成AI(TensorRT)が高速に動作することが紹介されていたほか、Intelのブースでも、第14世代CoreプロセッサーとIntel Arc A770搭載ビデオカードを搭載したPCでStable Diffusionをデモ。「リーズナブルな構成で生成AIが利用できる」とアピールしていた。
「24時間AIハッカソン」開催、ハイスペックなPCで出来たものは……
また、会場では「第一回 24時間AIハッカソン」も開催された。
このハッカソンは、前日の正午に発表されたテーマに対し、24時間で新しいプロジェクトを開発するもの。参加チームは1チームの棄権があったため合計9チームで、前日に発表された「楽」というテーマをもとに、24時間で開発が行われ、AIフェスティバル当日にプレゼンテーションと審査会が行われた。
結果については、速報を別記事で掲載しているが、チャットボットあり、ゲームあり、ビジネスツールありと、多様な結果。また、「ローカルでAIが動く」という速度を活かしたプロジェクトもあった。
ちなみに、この24時間のハッカソンはAIの学習時間も考慮して決められたものだそう。夜間も会場で開発を続けることができたため、会場でそのまま開発を続けた参加者も多かったそうだが、ホテルで仮眠をした人や、自宅に帰宅した人などもいたようだ。
なお、各チームにはCore i7-13700F/GeForce RTX 4070(12GB)を搭載したサードウェーブのゲーミングPC「GALLERIA」が2台用意されていたが、前述のようにこのPCが高速にAIを処理できることを活かしたチームもあった。
「ちょまど」さんや前回グランプリの松尾氏が登壇、「AIアートの今日と明日」はどこにある?
会場では、エンジニアであり漫画家でもある「ちょまど」さんこと千代田まどかさん、第一回AIアートグランプリでグランプリを受賞した松尾公也氏、そして準グランプリを受賞した小泉勝志郎氏が登壇し、「AIアートの今日と明日」をテーマにしたトークセッションが行われた。
エンジニアであり、漫画家である千代田さんによると、クリエイター業界では生成AIに関する意見が二分化していると話す。
まずネガティブな意見としては「AIが絵を描いた本人に無許可で学習していることに腹が立つ」といった意見や、「何十年も頑張って絵を描いてきて身につけたスキルが、ちょっとしたプロンプトの入力で出力されてしまうこと」、また「AIで生成したイラストを自分で描いたイラストだとして炎上する人がいたり、それに対する犯人捜しみたいなことがおきている」とも話す。
だが、千代田さんはそれは過渡期ゆえだと考えているという。生成系AIを初めとした新しい技術を取り入れて上手く使っていこうという意見もあり、千代田さん自身としても生成系AIを使うことで新しい世界を広げられるのではと考えていると話した。
小泉勝志郎氏は前回開催された「第一回AIアートグランプリ」で準グランプリを獲得した自身の作品について紹介しながら、自身のAIアートへのトライや取り組みについて語った。
今は現実にはないものを実写風に作るというアプローチに取り組んでいるのだという。小泉氏はややこしいプロンプトを入力するのではなく、ベースとなる画像を自分で描き、それを元に画像を生成する手法を使っており、会場では千代田さんのプロフィール写真などを学習し、存在しない画像を生成した作例を会場で公開した。
また最近は動画化することにも挑戦しており、その中でも特にモーフィングにハマっており、今も試行錯誤を繰り返していると話していた。
また松尾公也氏は現在注目している技術について「音声」をあげた。
これまでは学習モデルを作るのが大変だったのだが、今は一定の長さの声がある音声ファイルを放り込めば学習モデルができ、また最近は技術の進化によりほぼリアルタイムで変換できることも紹介した。しゃべっている声が外に出ない機材などもあり、それを使って人の声を真似るトライなどをしていたという。
今回登壇した3人がそれぞれ違うアプローチでAIをアートに使う方法を試行錯誤していることが印象的なトークセッションだった。
落合陽一氏「褒めてくれるAIをもっと作らないと満足度が上がらない」トークセッション「クリエイター/アーティストから見た生成AI」
続いてメディアアーティストの落合陽一氏、株式会社コルク代表で編集者の佐渡島庸平氏、メディアアーティストの八谷和彦氏が登壇し、「クリエイター/アーティストから見た生成AI」というテーマで、トークセッションが行われた。
佐渡島氏は冒頭「AIの進化によりクリエイターより先に編集者が要らなくなると思います」と話し会場をざわつかせた。
というのもChatGPTにネームを見せてフィードバックを受け取った方が良いアドバイスが来るという時代が1年以内に来ると確信しているからだという。
そして落合氏が「AIだと名乗らなければつまらない作品は無限にあってよいが、褒めてくれるAIをもっと作らないと満足度が上がらない」と話した。
今後多くの作品が生み出されていくと、それらを一つ一つ受け止めてもらわないとその先には不幸が待ち受けていると思うから、という話をしていたのが印象的だった。
最後に八谷氏はアイデアの源について「アイデアに価値はない。みんなが思いついているけど最後までやる人が居ない。本気で作ろうという人がいないだけ」と話し、佐渡島氏も「やりきることが課題で、AIのサポートを受けるとやりきるのが楽になる」と同調していた。