Windows 11 22H2 Moment 4

「エクスプローラー」にも多くの改善 ~「Windows 11 22H2」4回目の大規模アップデート

待望のタブ分離・結合を実装、「ギャラリー」ビューや詳細パネルなどの新要素も

「Windows 11 バージョン 22H2」4回目の大型アップデートが展開中

 2023年9月非セキュリティプレビュー更新プログラムで「Windows 11 バージョン 22H2」4度目の大型アップデートがリリースされ、150以上もの新機能が導入された。今回はそのなかでも「エクスプローラー」に関連するものを紹介する。

最新の「エクスプローラー」

「エクスプローラー」のホーム画面がモダナイズ

 まず、ユーザーインターフェイスが最新の「WinUI 3」で再構築された。「Azure Active Directory」(AAD)アカウントでOSにサインインしている場合のみとなるが、ホーム画面にはお勧めのファイルがカルーセル表示される。

ホーム画面でお勧めのファイルをカルーセル表示(職場や学校のアカウントでサインインしている場合のみ)

 この機能は無効化して、代わりにピン留めしたフォルダーを表示することも可能。

アドレスバーも新設計

 これに合わせて、アドレスバーのデザインも一新されている。フォルダーのパンくずリストやプルダウンメニュー、右クリックメニューなどのルック&フィールがWindows 11の「Fluent Design System」に準拠していることがわかるだろう。

アドレスバーのデザインも一新(上:従来。下:アップデート後)

 また、新しいアドレスバーはローカルフォルダーとクラウドフォルダーを区別し、クラウドフォルダーの場合は同期状態もチェックできる。クラウドでバックアップされていない場合は、バックアップを促すメッセージが表示されることもあるようだ。

クラウドフォルダーの場合は同期状態をチェックできる
バックアップを促すメッセージが表示されることも

近代化されたファイル詳細パネル

 「エクスプローラー」には詳細パネルという機能があり、選択ファイルの情報を画面右側に表示できる。今回のアップデートではこの画面も新しくなっており、ファイルの共有やプロパティダイアログへのアクセスが容易になっている。

近代化されたファイル詳細パネル。「ギャラリー」ビュー(後述)で写真ファイルに対して利用

 このパネルはコマンドバー右端の[詳細]ボタンで開閉が可能。ショートカットキーは[Alt]+[Shift]+[P]だ。

写真だけまとめた「ギャラリー」ビュー

 本アップデートで「エクスプローラー」に新設された「ギャラリー」(Gallery)は、デバイスに保存されている写真コレクションをサムネイルで一覧できるようにしたものだ。「フォト」アプリにも同じようなビューがあるが、年月でスクロールしながら写真を探せるのが面白い。

 初期状態ではローカル「ピクチャー」フォルダーが写真コレクションのソースとして指定されている。「OneDrive」でファイルを同期している場合は、これに「カメラ ロール」フォルダーが追加され、スマートフォンで撮影した写真にもアクセスできるようになる仕組みだ。スマートフォンにまだ「OneDrive」をインストールしていない場合は、「ギャラリー」のコマンドバーにある[スマートフォンの写真を追加]コマンドを実行すると、アプリをインストールするためのQRコードへアクセスできる。

「ギャラリー」のコマンドバーにある[スマートフォンの写真を追加]コマンド。写真コレクションのソースはカスタマイズ可能

 コレクションに含まれるフォルダーはユーザー側でカスタマイズできるので、外付けストレージで管理している写真を含めたい場合や、「Google ドライブ」など「OneDrive」以外のクラウドストレージを常用しているケースにも対応できるだろう。

 なお、この「ギャラリー」ビューはファイル選択ダイアログでも機能する。アプリで写真を選ぶときに活用したい。

「ギャラリー」ビューはファイル選択ダイアログでも機能する

解凍できる書庫形式が拡充

 圧縮された書庫ファイルを解凍する処理に、オープンソースライブラリ「libarchive」が用いられるようになった。そのため、「エクスプローラー」で解凍できる書庫形式が大きく拡充されている。「.tar」や「.gz」、「.rar」、「.7z」(7-zip)といった拡張子の書庫ファイルも、外部アプリなしに展開が可能だ。

解凍できる書庫形式が拡充

 ただし、パスワードで暗号化された書庫ファイルを展開できるのは「.zip」だけだ。また、書庫ファイルの作成も「.zip」のみとなる。サードパーティー製の解凍・圧縮アプリがまったく不要になるわけではない。

タブのティアアウトをサポート

 そのほかにも、待望のタブの分離・結合がようやく実装された。「エクスプローラー」のタブをドラッグ&ドロップでウィンドウとして切り離し(ティアアウト)たり、既存のウィンドウへタブを結合(マージ)できる。

解凍できる書庫形式が拡充

 また、多数のファイルを同時にごみ箱へ入れる際の計算フェイズが短縮されているとのこと。従来よりも高速にファイルを捨てられるようになる。

新機能は段階的に展開中

 これらの新機能は「Controlled Feature Rollout」(CFR)と呼ばれる機能、つまり一部の環境から徐々に機能を展開する仕組みでコントロールされており、初期状態では無効化されている。有効化するには、オプションを手動で有効化する必要がある。「人柱になってもよいので早く試したい」という方は試してみるとよいだろう。

 先行導入した環境で大きな問題がなければ、いずれは一般環境にも展開される。OSの安定性を重視するユーザーは、それまで待つとよいだろう。