やじうまの杜
「Windows 10 October 2020 Update」って旧版となにが違うの?
新しい「Microsoft Edge」との連携強化など比較的小規模ながらうれしい機能を追加
2020年10月23日 20:12
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「Windows 10」の新しい“機能更新”「Windows 10 バージョン 20H2」(October 2020 Update)が先日、正式にリリースされました。今回は、その内容をご紹介したいと思います。
今回の変更は比較的小規模
「Windows 10」のアップデートには、毎月数回配信される“品質更新(Quality Updates)”と年2回実施される“機能更新(Feature Updates)”があります。今回リリースされた「October 2020 Update」は後者に当たります。不具合の修正が中心の品質更新と異なり、さまざまな新機能が追加される大規模なアップデートです。
とはいえ、「October 2020 Update」はその中でも小さな方です。最近の「Windows 10」は、春のアップデートこそOSの再起動を数回伴う大掛かりなものですが、秋のアップデートは比較的小規模で、OSのコアは春のアップデートと変わりません。“イネーブルメント パッケージ”と呼ばれるパッチで機能をON/OFFしているだけなので、前回の「May 2020 Update」(バージョン 2004)からであれば毎月の品質更新と変わらない短時間でアップデートが完了します。
OSのコアが同じであることは、毎月のパッチの“リビジョン”が同じことでもわかります。下記は10月20日時点での「Windows 10」の“OS ビルド”です。
- バージョン 20H2:19042.572
- バージョン 2004:19041.572(バージョン 20H2とコアは共通)
- バージョン 1909:18363.1171
- バージョン 1903:18362.1171(バージョン 1909とコアは共通)
- バージョン 1809:17763.1554
- バージョン 1803:17134.1792
コンマより前のバージョンは“1”違うだけ、残りの“リビジョン”は一緒ですね。実は毎月のパッチの内容も一緒で、中身はほぼ共通なのがわかります。
春リリースはこの半年間の間で不具合があらかた出尽くしているので、それとコアを共有する秋リリースは比較的安定して利用できるはずです。
「October 2020 Update」の変更点
それでは、「May 2020 Update」から「October 2020 Update」へアップグレードされることで有効化(イネーブル)される機能にはどんな機能があるのでしょうか。
新しい「Microsoft Edge」が初期状態で利用可能
「May 2020 Update」のデフォルトブラウザーは「EdgeHTML」ベースの古い「Edge」で、新しい「Chromium」ベースの新しい「Edge」を利用するにはパッチの適用が必要でした。「October 2020 Update」では初めから新しい「Edge」が同梱されているので、パッチの適用は不要です。
新しい「Edge」は「Google Chrome」などとコアを共通化しており、ほぼ100%の互換性があります。また、OSのアップデートとは切り離されており、セキュリティ修正が随時提供されるのも心強いですね。6週間おきのメジャーアップデートで新機能がどんどん追加されるのも特徴、4月の「Edge 81」以降、すでに4回のメジャーアップデートが行われています(「Edge 82」は新型コロナウイルス感染症の影響でスキップ)。
- PDFリーダーを大幅強化、漏洩パスワードの警告にも対応した「Microsoft Edge 86」 - 窓の杜
- 「Microsoft Edge 85」が正式リリース ~コレクションを「OneNote」にエクスポート - 窓の杜
- 「Microsoft Edge 84」が正式リリース ~“コレクション”に便利なコメント・付箋機能 - 窓の杜
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- 「Microsoft Edge 81」が安定版に ~WebコンテンツをメモしてWord/Excelへ出力するコレクションを搭載(4月15日追記) - 窓の杜
ほかにも、MacやLinuxでも利用できる点、OSをまたいで複数デバイスで設定を同期できる点などがアドバンテージ。「Chrome」にはない“コレクション”などの便利機能もあります。
[Alt]+[Tab]キーに「Edge」のタブ
また、OSの統合が優れているのも「Edge」の魅力ではないでしょうか。「October 2020 Update」では[Alt]+[Tab]キーでタスクを切り替える際、「Edge」のタブが5つまで候補に表示されるようになりました。
「設定」画面の[システム]-[マルチタスク]セクションでは表示するタブの数を3つに制限したり、すべてのタブを表示するようにしたり、元のように「Edge」のタブを表示せず、ウィンドウだけを列挙するようにカスタマイズすることも可能です。
PCの作業時間のほとんどはWebブラウザーを使っているなんていう人も最近では少なくありませんし、タスク切り替えでWebブラウザーのタブをチョイスできるのは悪くない改善だと感じます。
タスクバーへのWebサイトのピン留め
もう1つの改善は、タスクバーへピン留めしたWebサイトに関するものです。「October 2020 Update」では、この活用されていなかった機能に役割が追加されています。
「Edge」でたくさんのタブを開いていると、タブバーがごちゃごちゃして目的のタブが見つからないことがよくありますよね。そんなときは、とくに愛用しているWebサイトをタスクバーにピン留めしてみましょう。当該サイトのタブだけをライブタイルで一覧できるようになります。
たとえば“窓の杜”をタスクボタンに登録しておけば、“PC Watch”や“INTERNET Watch”などでタブバーが埋め尽くされていても、“窓の杜”タスクボタンにマウスオーバーさせるだけで“窓の杜”の「Edge」タブを抽出できます。これであれば貴重なタスクバー領域にWebサイトをピン留めする気が起きるのではないでしょうか。
なお、「Edge」のWebサイトをタスクバーへピン留めするには、[…]-[その他のツール]-[タスク バーにピン留めする]コマンドを利用するとよいです。
テーマ対応の[スタート]画面タイル。通知トーストもリフレッシュ
続いて、シェル関連の改善を紹介しましょう。「October 2020 Update」では[スタート]画面のタイルがOSのテーマ(ライト・ダーク)に追従するようになりました。これにあわせてアプリアイコンの多くもカラフルなものに刷新されており、統一感のあるデザインになっています。
通知トーストのデザインも少しだけ変わっていて、通知元のアプリケーションが記載されるようになりました。どのアプリから通知が送られてきたのかがわかりやすくなります。
さらに新規にアカウントを作成した場合に、タスクバーに初期状態でピン留めされるアプリがPCの用途に応じて変わるようになったそうです。プレビュー版「Windows 10」では“Out of Box Experience(OOBE:Windowsのセットアップ画面)”でPCの用途(ゲームやビジネスなど)をたずね、それに応じてデバイスをカスタマイズする機能がテストされていますが、その端緒と言えそうです。
なお、この変更は既存のアカウントには影響しないとのこと。勝手にアプリがピン留めされることはありません。
2-in-1デバイスのタブレット操作を改善
同社の“Surface”シリーズなど、ノートブックとしてもタブレットとしても利用できる2-in-1デバイスでは、タブレット状態にしたときに自動でタッチに最適化されたユーザーインターフェイスへ変更されるようになりました。わざわざ“タブレット モード”へ切り替えなくてもタスクボタンの感覚が開いたり、タッチキーボードのボタンが現れたり、検索ボックスがアイコン化されてタスクバーを広く使えるようにしたりしてくれます。
「コントロール パネル」から「設定」アプリへ
そのほかにも、「コントロール パネル」を「設定」アプリに置き換える取り組みが進められています。
ちょっとした変更になりますが、たとえば「エクスプローラー」で“PC”のプロパティへアクセスした場合、従来の「Windows 10」であれば「コントロール パネル」の[システム]画面が開きます。「October 2020 Update」では、代わりに「設定」アプリの[システム]-[詳細情報]セクションが開かれるようになりました。
“デバイスの仕様”や“Windows の仕様”には詳細情報をクリップボードにコピーするためのボタンも新設されており、家族や友人、オンラインソフトの開発者などに助けを求める際に自分のPC環境を伝えるのが簡単になっています。