特集・集中企画
いまさら聞けないアドビの生成AI「Adobe Firefly」を解説しながら使ってみた!
ついに商用利用可能、誰でも簡単に使える身近な生成AIに
2023年10月2日 08:00
9月13日22時にアドビの生成AI「Adobe Firefly」が、約6カ月間のベータ版の期間を経て製品版になったことが公式から発表されました。Adobe Fireflyでは商用利用が可能となり、Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe Expressなどのアプリでも、生成AIを用いた機能が正式に実装されました。
これまでも多くの生成AIサービスが登場し、生成AIという名前はよく耳にするようになりましたが、実際の使い方や専門用語はわからない方も多いのではないでしょうか?
今回、アドビから正式に生成AI「Adobe Firefly」が登場したことにより、生成AIはさらに身近なツールになっていくと思います。
そこで本稿では、なんとなく難しそうで避けてきた生成AIについて「Adobe Firefly」をベースに解説していきます。
そもそも生成AIとは
「生成AI」とは人工知能(AI)の一種です。注目を集めている生成AIは、元データを学習してゼロから何かを生み出すことができるという点が、これまでのAIと異なる部分です。また生成AIと聞くと、画像生成の印象がありますが、チャットボットの「ChatGPT」なども生成AIを活用したサービスです。
アドビの生成AI「Adobe Firefly」が注目される理由
生成AIのサービスは多くありますが、ここにきて「Adobe Firefly」がなぜ注目されているのか。そのひとつの大きな理由が“商用利用が可能”という点です。
画像生成AIは権利の問題で、いまでもたまにトラブルが起きていますが、Adobe Fireflyはオープンライセンスのコンテンツや著作権切れのコンテンツに加え、アドビが運営するストックサービス「Adobe Stock」を学習しているため、商用利用が可能です。
Adobe Fireflyを使ってみよう
ここからは実際にアドビの生成AI「Adobe Firefly」の使い方を解説していきます。これまで生成AIを使ったことがない方でも、無料のAdobe IDがあれば簡単に使うことができます。
テキストから画像生成
[テキストから画像生成]をクリックします。するとページが移ってさまざまな画像が表示されます。
ちなみに、カーソルを合わせると上部に文章が表示されますが、これが表示されている画像の「プロンプト」となります。
プロンプトとは?
生成AIを調べるとよく目にする「プロンプト」という言葉ですが、直訳で「促す(もの)」という意味です。AIにおいてはユーザーが入力する指示や質問のことを指します。
例えば、Adobe Fireflyで「かじられたリンゴ」の画像を生成するときに「りんご かじられた」と入力してから生成をします。この「りんご かじられた」という部分がプロンプトと呼ばれる部分になります。
一見、単純そうに見えますが、このプロンプト次第でイメージ通りの画像を生成できるかが大きく変わってきます。
プロンプトを入力する
ページの下の方に「生成したい画像の説明を入力してください」とあります。この部分にプロンプトを打ち込みます。
今回は試しに以下のような画像を目指して生成していきます。以下の画像は、生成AIではなくAdobe Stockのフリー画像です。
ひとまずプロンプトに「猫」と入力して[生成]ボタンをクリックします。
1回生成するごとに1クレジット消費
プロンプトを入力して[生成]ボタンを押せば、画像が生成されますが、Adobe Fireflyではこの[生成]ボタンを1回押すごとに1クレジットが消費される料金プランになっています。
クレジットに関しては以下の表のとおりです。
おさえておきたいポイントはこちらになります。
- コンプリートプランや単体プランを契約している人は上限を超えても使える(ただし、生成スピードは落ちる)
- 無料プランもある
- [生成]ボタンを1回押すごとに1クレジット消費。1回に4枚生成されても消費は1クレジット。
生成の条件を詰めていく
まずコンテンツタイプを[アート]から[写真]にして生成してみます。これだけで写真のようなテイストになりました。
次は猫の特徴をもっと詳しくプロンプトで説明していきます。
今回は「猫」「白い」「寝ている」として生成してみます。すると、だいぶ目標とするイメージに近づきました。
イメージ通りの画像に近づけるための機能
ここからはさらに細かく条件などを設定して、よりイメージに近い画像を生成するための方法を紹介していきます。
コンテンツタイプやスタイル
画面右には[アート]、[写真]などを選べるコンテンツタイプのほかにも、スタイルも選ぶことができます。さらには色合いやライト、構図なども選択することができます。
試しにスタイルからマテリアルの中の[木彫り]を選んで生成してみます。すると、猫の木彫りの画像が生成されました。
バリエーションを増やす方法
生成を続けていると「イメージに近いけど別のバリエーションも見てみたい」と思うことがよくあります。そういうときに使う方法を紹介します。
まず生成された画像から1枚を選び、画像内の左上にある[編集]ボタンから[似た画像を生成]をクリックすると、選んだ画像と似た画像を新たに生成します。
また同様に、選んだ画像の左上にある[編集]ボタンから[参照画像に設定]を選びます。すると、選んだ画像が参照画像として設定され、別のバリエーションが生成されます。
次にプロンプトの「白い」を「黒い」に変えて[生成]ボタンを押します。すると、灰色の猫が生成されました。
ここで参照画像のスライダーをプロンプトの方に移動させると黒猫になります。
逆にスライダーを参照画像の方に移動させると白猫になりました。
このように参照画像を設定することで、参照画像に対してプロンプトをどこまで反映させるかを調整することもできます。
誰でも簡単に使える身近な生成AI「Adobe Firefly」
これまで「生成AI」というワードはよく耳にしていたけど、その情報の多さ、難しい専門用語、安全性の面から実際に触ったことがないという声もチラホラ聞いていました。
その中で「Adobe Firefly」が商用利用可能となり、Adobe IDさえあれば誰でも簡単に安心して使えるようになり、生成AIがぐっと身近な存在になりました。ここから効果的なプロンプトや生成のコツ、Adobe Fireflyを使ったコンテンツの研究が進んでいくと思うと、ますます目が離せません!
著者プロフィール:パパ
映像制作会社などを経て2017年フリーランスとして独立。現在はSNSを中心にPhotoshopの作品メイキング、チュートリアルを投稿している。複数の写真を使い1枚のアート作品を作るフォトマニュピレーションの動画は200万回再生を超え、現在YouTubeのチャンネル登録者数は約11万人、Twitterフォロワーは約6万5千人。また2022年10月からAdobe Community Evangelistとして 講師やセミナー、メディア出演、書籍執筆などを通しノンデザイナーやノンプロ向けに「作れる面白さ」を精力的に発信している。Twitterは@StudioT_ppp