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Photoshopの新機能「生成拡張」はクリエイターの“ちょっとめんどくさい”を助けてくれる夢のAIツールでした!
見切れている人物写真は補完できる? 気になる使い方から感想までをお届け
2023年8月14日 09:00
「Firefly」や「生成塗りつぶし」など、Adobeにも生成AIの機能が登場して大きな話題を呼びました。生成AIブーム到来で数多くのアプリが登場しましたが、生成AIを初めて触ったのが「Photoshop」だったという方も多いのではないでしょうか?
そんな中、2023年7月27日のAdobe公式ブログで「Adobe Photoshopに新しい『生成拡張(Generative Expand)』ワークフローを導入、Adobe Photoshopの生成AI機能は多言語に対応」というタイトルのブログが公開されました。
プロンプトが多言語に対応したのも嬉しいニュースですが、今回は新しい生成AI機能「生成拡張(Generative Expand)」にスポットをあて、どんな機能なのか、実際に使ってみた感想などを書いていきます。
「生成拡張(Generative Expand)」とは?
ブログによると、「生成拡張(Generative Expand)」とは「Adobe Firefly」の機能を搭載した、画像をシームレスに拡張する機能。つまり「Photoshop」の切り抜きツールなどで画像以上にカンバスを広げた際にできる余白を自然に補完するといった機能です。
「生成拡張」の使い方は簡単!
使い方は簡単で、ツールパネルから[切り抜きツール]を選択し、カンバスサイズを大きく広げてコンテキストタスクバーの[生成]をクリックするだけです。プロンプトを入力しなくても自然に画像を拡張します。
また、切り抜きツール選択時のオプションバーに「塗り」という項目が表示されます。ここを[生成拡張]にしておくと、切り抜きツールで広げて[Enter]キーやオプションバーの[〇]で確定するだけで、自動で「生成拡張」が実行されます。
これまで通り、切り抜きツールを使ったあと、余白にしたい場合はオプションバーの「塗り」を[背景(デフォルト)]にします。
「生成拡張」を実際に使ってみる
ここからはいくつか方法を分けて実際に試していきます。
シンプルな使い方
まずは最もシンプルな使い方です。森にいる鹿の画像を準備しました。
- ツールパネルから[切り抜きツール]を選択してカンバスサイズを拡張します。
- プロンプトは特に入力せずに[生成]のボタン、もしくは[Enter]キーで確定すると「生成拡張」の処理が走ります。
- 少し待つと、画像のように拡張した繋ぎ目も自然に補完することができました。また、バリエーションも3つ用意されているので、その中から一番イメージに近いものを選択します。
- もちろんプロンプトを入力しても使用することはできます。これまでは、プロンプトは英語のみでしたが、日本語をはじめとした多言語に対応しました。まだ開発中とのことで期待に沿わない結果が出ることもあります。ここでは試しにプロンプトに「鹿」と入力して生成しました。
生成拡張の便利な使い方
ほかにも「生成拡張」の実用的な使い方として、個人的に期待しているのが見切れている人物写真の補完です。
これまではイメージにあったモデルの写真に出会えたとしても、頭が見切れていたり、腕が切れていたりして使えないことが多々ありました。レタッチで補完できなくもないですが、非常に時間がかかるので「生成拡張」でどこまでできるのか試してみたいと思います。
使い方は同じで、ツールパネルから[切り抜きツール]を選び、カンバスサイズを広げ、プロンプトなしで「生成拡張」をします。
今回は3つの人物写真で検証していきます。
- 検証①
まず最初はシンプルに頭が切れている画像です。補完する部分も少なく、髪型もシンプルなものを選びました。
結果はこちらです。問題なく補完できているように見えます。3つのバリエーションもそれぞれ違いますが、すべて自然な出来栄えで問題なく使用できそうです。 - 検証②
2つ目は髪型が複雑なアフロの女性の画像です。先ほどとは違い、細かな毛をどこまで生成できるのか、髪型全体の形状を自然に拡張できるのか、少し意地悪な検証です。
結果はこちらです。驚くほど綺麗に生成拡張ができました。細かな毛の生成も、髪の毛全体の形状も、満足のいく結果でした。 - 検証③
3つ目の検証は髪の毛と腕の切れている女性の画像です。この画像の頭と腕の部分を生成拡張してみます。腕がどれだけ綺麗に生成されるのかが気になるポイントです。
結果はこちらです。髪の毛の生成はすばらしいクオリティでした。どのバリエーションをとっても十分使えるものばかりでした。
ただ一見、腕も綺麗に拡張されているように見えますが、不自然に長いように見えます。拡張したつなぎ目は綺麗なのですが、バリエーションも含め、このまま実務で使うのは難しいところです。
ただし、腕の生成がすべてダメというわけではなく、写真によっては違和感なく拡張できるものもありました。ここはトライ&エラーになりそうです。
クリエイターの“ちょっとめんどくさい”を助けてくれる「生成拡張」
ここまでいくつかの画像で「拡張生成」を試してみました。現状はまだ商用利用はできませんが、コツをつかめば、十分実務でも使えるクオリティなのがわかりました。「ちょっと左右に余裕がほしい」「モデルの見切れた頭の部分が必要」など、いままで機能や手作業でもできたけど「ちょっとめんどうだな」といったところに手が届く機能になっています。
著者プロフィール:パパ
映像制作会社などを経て2017年フリーランスとして独立。現在はSNSを中心にPhotoshopの作品メイキング、チュートリアルを投稿している。複数の写真を使い1枚のアート作品を作るフォトマニュピレーションの動画は200万回再生を超え、現在YouTubeのチャンネル登録者数は約11万人、Twitterフォロワーは約6万5千人。また2022年10月からAdobe Community Evangelistとして 講師やセミナー、メディア出演、書籍執筆などを通しノンデザイナーやノンプロ向けに「作れる面白さ」を精力的に発信している。Twitterは@StudioT_ppp