いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】特定セルの数式を隠して編集やコピーを禁止したい!エクセルの入力フォームで役立つシートの保護・セルのロック応用テク

数式を非表示にして保護したいけどシート全体を編集不可にはしたくない!

 Excelで作った書類には、いろいろな数式が含まれていることが多いです。中には、他社の人に見られたり、他の社員に編集やコピーをされたりすると困る数式が含まれることもありますよね。

 以前の記事では、セルのロックとシートの保護を組み合わせて、シート上の一部のセルしか編集できないようにするテクニックを解説しましたが、この操作だけでは、数式は他の人から見えてしまいます。数式を他の人から見えないようにすることはできないのでしょうか?

 今回は、シート上の一部のセルを編集できる状態にしたまま、別のセルに入力された数式を非表示にして編集できないようにするテクニックを解説します。

入力・編集できるようにしたいセルのロックを先に解除しておく

 今回の記事で解説する「数式を非表示にして編集できないようにする」テクニックは、以前の記事で解説した「セルのロック」と「シートの保護」の組み合わせを応用したテクニックです。

 記事の後半でやり方を詳しく解説しますが、数式を非表示にして編集できないようにするという操作そのものは、数式を隠してシートを保護するだけでできます。ただ、単にこの操作をするだけだと、シート全体が編集不可になってしまいます。例えば、請求書などで商品番号などを社員が入力する欄がある時には、シート全体が編集不可になってしまうと困りますよね。

 この問題を解決するためには、編集できるようにしておきたいセルのロックを先に解除しておく必要があります。複雑そうに見えるかもしれませんが、操作の流れを理解しておけば、難しいことはありません。

 [備品請求書]シート(①)で、入力欄は入力できる状態のまま、数式を非表示にしてみましょう。まずは、入力欄になるセルのロックを解除します。

 入力欄になるセルやセル範囲を選択します。離れたセルを同時に選択したい時は[Ctrl]キーを押しながら選択するのでしたよね。ここでは、請求日の入力欄、請求者の所属・氏名の入力欄、備品番号・数量・用途の入力欄となるセル範囲を、[Ctrl]キーを押しながら選択します(②)。

 入力欄になるセル範囲を選択できたら、この部分のセルのロックを解除しておきます。[ホーム]タブ(③)→[書式](④)→[セルのロック](⑤)をクリックします。

 これで、入力欄になるセル範囲のロックを解除できました。

数式を非表示にしたあとシート全体を保護する

 この備品請求書では、「単価」の入力欄であるセル範囲D7:D11に、関数を使った複雑な数式が含まれています。このセル範囲に入力されている数式を非表示にした上で、編集できないようにしてみましょう。

 いつも通りのやり方で作ったブックであれば、セルD7(①)をクリックすると、セルに入力されている数式(②)が数式バーに表示されますよね。でも、このあと解説する操作を行うと、数式バーに数式が表示されないようにすることができます。

 数式を非表示にしたいセル範囲(ここではD7:D11)(③)をドラッグして選択します。

 数式を非表示にしたいセル範囲を選択できたら、[ホーム]タブ(④)→[書式](⑤)→[セルの書式設定](⑥)をクリックします。

 [セルの書式設定]ダイアログボックスが表示されます。[保護]タブ(⑦)をクリックし、[表示しない]の左側にあるチェックマークをON(⑧)にしたら、[OK](⑨)をクリックしてダイアログボックスを閉じます。

 なお、この[保護]タブでは、先述したセルのロックを確認、変更することもできます。[ロック]の左側にあるチェックマークがONになっていれば、セルがロックされた状態です。

 ここまでの操作ができたら、最後にシートを保護します。[校閲]タブ(⑩)→[シートの保護](⑪)をクリックします。[校閲]タブが画面に表示されていない場合は、以前の記事を参考にしてリボンに[校閲]タブを表示させて操作しましょう。あるいは、[ホーム]タブ→[書式]→[シートの保護]をクリックしても同じ操作ができます。

 [シートの保護]ダイアログボックスが表示されます。[シートとロックされたセルの内容を保護する]の左側にあるチェックマークがON(⑫)になっていることを確認したら、[OK](⑬)をクリックします。

 これで、数式が保護されて非表示になりました。試しにもう一度セルD7(⑭)をクリックして選択すると、数式バーには何も表示されません(⑮)。セルを編集しようとすると、警告のメッセージが表示され、セルに対して操作を行うことはできなくなっています。これで、数式を非表示にして、編集不可にすることができました。

 最初にセルのロックを外しておいたセルは、編集できます(⑯)。

 最初にセルのロックを外さなかったセル(例えば、ここではセルB7)(⑰)を編集しようとすると、警告メッセージが表示されます(⑱)。ちなみにこのセルは、数式を非表示にする操作はしていないため、セルをクリックした時に数式バーに数式が表示されています。

 これなら、他の人が誤ってシートを編集してしまうこともありませんね。このように編集不可になっているセルをもう一度編集したい時は、[校閲]タブ→[シートの保護](または[ホーム]タブ→[書式]→[シートの保護])をクリックして、シートの保護を解除すればOKです。

セルのロックとシートの保護を上手に組み合わせよう!

 今回は、セルのロックとシートの保護を組み合わせて、入力欄となるセルは自由に編集できるようにしたまま、数式が入力されたセルの数式を非表示・編集不可にするテクニックを解説しました。

 入力できるようにしたいセルのロックを先に解除しておき、そのあと数式の非表示→シートの保護、というステップで操作すればよいということがおわかりいただけたでしょうか。

 他の人に見られたり、編集されたりしたくない数式が入っている入力フォームなどを作る時には、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。

今月のExcelTips