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Internet Explorerよ永遠に(眠れ) ~2023年2月の完全無効化を前に「Microsoft Edge」とともに振り返る

「Internet Explorer」と「Microsoft Edge」

 2023年2月のパッチで完全無効化されることが発表されたMicrosoft開発のWebブラウザー「Internet Explorer 11」。

 すでにWindows 10環境における「Internet Explorer 11」デスクトップアプリのサポートは今年2022年6月15日をもって終了しているが、これで1995年の「Windows 95」のリリースとともに提供が開始され、Webブラウザーの一時代を築いた「Internet Explorer(IE)」の歴史物語がついにフィナーレを迎えることになる。

Windows 10で「Internet Explorer 11」デスクトップアプリを起動した様子(10月28日時点)

 「IE 11」廃止後、その後継となるのは「Microsoft Edge」だ。「Edge」はWindows 8からOSに同梱されており(当時はEdgeHTMLエンジン)、他のモダンブラウザーと遜色のないパフォーマンスとセキュリティ、互換性を誇る。現在、Webブラウザーの圧倒的シェアを占めている覇者「Google Chrome」と同じBlinkエンジンを採用することにはなったものの、再びその王座を奪還するべく、いまも絶えず機能アップデートを続けて巻き返しを図っている。

 本稿では、ここ最近における「Internet Explorer」の振り返りと「Microsoft Edge」のアップデート情報について、弊誌で取り上げたトピックスをまとめる形でご紹介する。これを弊誌からIEへの別れの挨拶の1つとしたい。

「Internet Explorer 11」の後を引き継ぐ「Microsoft Edge」

ついに「Internet Explorer」27年間の歴史に幕。2023年2月のパッチで完全無効化

Windows 10環境における「Internet Explorer 11」のサポートが終了

 Windows 10環境における「Internet Explorer 11」デスクトップアプリのサポートが、6月15日で終了した。

 サポート終了後は「IE 11」デスクトップアプリケーション(iexplore.exe)を実行しても、「IE 11」は起動しなくなり、代わりに「Edge」が起動するようになっている(リダイレクト処理)が、2023年2月14日に予定されている月例のセキュリティ更新プログラムで無効化されることが発表された。

 なお、ごく一部のWindowsバージョンでは「IE」が引き続きサポートされるほか、いまだ組織内部で「IE」を利用するアプリやサービスは少なくないことから、コンポーネントとしての「IE」は存続。「Edge」の「IE モード」機能を利用することで、レガシーサイトを「IE」コンポーネントで閲覧することも可能だ。この「IE モード」は少なくとも2029年までサポートされる予定。

「Internet Explorer」でしか閲覧できないページは「Microsoft Edge」の「IE モード」で

Windows 10の「Internet Explorer 11」デスクトップアプリ(iexplorer.exe)は廃止

 「Internet Explorer 11」のデスクトップアプリ(iexplorer.exe)はWindows 10で廃止された。しかし、社内システムや古いWebサイトのなかには「IE」でないとちゃんと表示できないWebサイトが残っている可能性もある。

 その場合は「Edge」に搭載されている「Internet Explorer モード(IEモード)」を利用するとよい。閲覧ページを「IE」のTridentレンダリングエンジンで再読み込みすることができる。特定のWebサイトを常に「IE モード」で表示させることも可能だが、可能であればWebページ自体を「Edge」へ対応させることをおすすめしたい。

Windows 11で「IE 11」を召喚する死霊術が発見されてしまう

Windows 11には「Internet Explorer 11」が搭載されていない

 Windows 11で廃止されたのはIE 11の「デスクトップアプリケーション」、つまり外側だけ。核となるコンポーネント(COMコンポーネント)は互換性維持のため、そのまま残されている、ということを利用して、廃止されたはずのWindows 11で「IE 11」を起動する方法が発見されてしまったことも。

 スクリプト(呪文)によってIEコンポーネントを呼び覚まして、「IE 11」を起動するショートカットを作成する方法や、有志が開発した延命アプリなどが話題となった。中には、マウス操作だけで「IE 11」のデスクトップアプリを呼び出せてしまう方法もあった。

 なお、レガシーサイトを閲覧したい場合には、素直に「Edge」の「IE モード」を利用することをおすすめしたいところだ。

バトンを渡された「Microsoft Edge」。最新アップデートで便利なサイドバーを武装

新しい「サイドバー」

 展開が開始された「Microsoft Edge 107」の目玉が新しい「サイドバー」だ。

 これは画面左端に表示され、アイコンをクリックするとサイドパネルで検索やショッピング、電卓や辞書、翻訳といった便利なツールが利用できるようにしたもの。「office.com」や「outlook.com」のアイコンも用意されており、オフィス文書やメール、カレンダーへのアクセスも容易だ。もちろん、不要であれば消してしまうこともできる。

 また、作業中のBGMとして使えて便利な音楽ストリーミングサービス、任意のWebサイトを追加する機能など、試してみてほしい機能が満載だ。

「Microsoft Edge」のフィッシング対策「Smartscreen」が刷新

「Microsoft Edge」のフィッシング(詐欺サイト)対策機能「Microsoft Defender Smartscreen」

 「Microsoft Edge」のフィッシング(詐欺サイト)対策機能「Microsoft Defender Smartscreen」を強化したことが発表された。今年6月にリリースされたWindows版「Edge 103」から同梱されている「Smartscreen」ライブラリは信頼性、パフォーマンスおよびクロスプラットフォームでの移植性を向上させるために完全に書き直されているという。

 この機能強化により、新しいフィッシングセンサーを追加し、フィッシングサイトの特徴と兆候を把握。新しい脅威をユーザーの報告を待たずにすばやく検知し、顧客の保護に必要な時間を短縮する。この処理にはAIも活用されているとのこと。

年次イベント「Microsoft Ignite 2022」で新機能が発表

「Microsoft Edge Workspaces」など「Microsoft Edge」の新機能を発表

 10月13日から14日(日本時間)にかけて開催された、年次最大級の開発者向けテクニカルカンファレンス「Microsoft Ignite 2022」の場で「Microsoft Edge」の新機能・改善点が発表された。

 ブラウジングタスクをワークスペースに参加するユーザー間で共有できるコラボレーション機能「Microsoft Edge Workspaces」、よく利用する・たまに利用するアプリを閲覧画面右側のバーに配置する「サイド バー」のほか、順次導入予定の新しいアクセシビリティ機能などがアナウンスされた。

もうプレイしてみた? 「Microsoft Edge」の隠し機能(だった)サーフィンゲーム

「Microsoft Edge」の隠し機能だったサーフィンゲーム

 最後に紹介するのは、「Microsoft Edge」の隠し機能だったサーフィンゲーム。アドレスバーに「edge://surf/」と入力してすぐに遊べる。

 ゲームはカーソルキーまたは[W][A][S][D]キーでサーファーを操り、障害物を避けながらゴールを目指すシンプルなもの。特に追いかけてくるクラーケンにはご注意を。過去には期間限定で冬仕様のスキーテーマが適用されていたこともある。

 なお、サーフィンゲームへのリンクはオフラインの場合に表示されるエラー画面からでも起動できるので、インターネット接続が回復するまでの暇つぶしに遊んでみてはいかがだろうか。