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タスクバー検索に「Bing」のAI ~「Windows 11 2022 Update」2度目の大型アップデートが発表

「スマートフォン連携」、「メモ帳」、「クイック アシスト」なども強化

タスクバーの検索にAI搭載の新しい「Bing」が組み込まれる

 米Microsoftは2月28日(現地時間)、「Windows 11 バージョン 22H2」(2022 Update)の大規模アップデートを発表した。先日発表されたAI搭載の新しい「Bing」をタスクバーの検索に組み込むなど、アグレッシブな強化が図られている。

 「Windows 11」ではOSの中核機能をアップデートする機能更新プログラムの提供を年1回に減らす一方、毎月の品質更新プログラムで柔軟にOSの機能を拡充する仕組みを整えている。昨年10月に実施されたタブ付きエクスプローラーなどの大規模アップデートは、その成果といえるだろう。

タスクバーの検索が「Bing」のAI検索に

 今回の大規模アップデートは、この昨年10月に続くものだ。なかでも注目はタスクバーの検索にAI搭載の新しい「Bing」が組み込まれること。ユーザーはAIと対話しながら疑問を解消したり、インスピレーションを得たり、コンテンツの作成を依頼することができる。

チャットAIと対話しながら疑問を解消したり、インスピレーションを得たり、コンテンツの作成を依頼

 この機能を利用するには、新しい「Bing」のプレビューに申し込む必要がある。利用可能になると、タスクバーの検索ボックスに「Bing」のアイコンが追加されるようだ。

 そのほかにも、多くの改善が発表されている。

「Phone Link for iOS」をプレビュー

 PCからスマートフォンの写真へアクセスしたり、通知をチェックしたり、電話を掛けたり、アプリを操作できる「スマートフォン連携」は便利だ。しかし、その機能のほとんどはAndroidでしか利用できず、iPhoneユーザーは限られた機能しか利用できなかった。

 iOS版「Phone Link」アプリは、この問題を解消してくれる。近く「Windows Insider Program」でテストが開始されるはずだ。「iCloud フォト」が「フォト」アプリに統合されたことも相まって、WindowsデバイスとiPhoneの相互運用性が大きく向上するだろう。

iPhoneとも連携できる「スマートフォン連携」アプリ

 一方で、Androidユーザー向けの機能強化も引き続き行われるとのこと。たとえばSamsung製のデバイスならば、PCからスマートフォンのインターネット共有(ホットスポット)機能を有効化できるようになる。

Windows Studio Effects

 ぼかしなどの背景、カメラをまっすぐ向いているように補正するアイコンタクト・自動フレーミング、音声フォーカス(ノイズ除去)など、「Microsoft Teams」で提供されているAIエフェクト機能を、他のアプリでも利用できるようにOSレベルで提供する「Windows Studio Effects」が、タスクバー右端の[クイック設定]から利用可能となる。

 ただし、NPU(AI処理向けのプロセッサー)を搭載したデバイスが必要だ。

タスクバー右端の[クイック設定]から利用できる「Windows Studio Effects」

チャットの改善

 「Windows 11」のタスクバーにはチャット機能が組み込まれているが、あまり普及はしていないようだ。そこで、エクスペリエンスが全面的に刷新されることになった。

 新しいチャット画面には自分のビデオフィード(Webカメラの映像)がプレビューされ、クリックでそのままチャットやビデオ通話を開始できる。また、チャット内の会話を1つのウィンドウで行き来できるようになるなど、使い勝手も改善されているとのこと。

刷新されたチャット体験

「クイック アシスト」アプリの強化

 PCのトラブルや操作に悩む遠方の家族や友人を助けることができる「クイック アシスト」アプリが改善され、セッション中に画面共有とフルコントロールを切り替えたり、レーザーポインターでさまざまなオブジェクトを強調表示できるようになる。

「クイック アシスト」アプリの強化

[ウィジェット]の改善

 タスクバー左端へマウスカーソルを移動させると現れる[ウィジェット]ボードでは、Microsoft以外のデベロッパーが開発したサードパーティー製アプリのウィジェットが表示されるようになる。また、全画面で[ウィジェット]ボードを表示するモードも展開中だ。

全画面で[ウィジェット]ボードを表示するモード

タッチエクスペリエンスの向上

「2-in-1」デバイス向けの新しいタスクバー(プレビュー版でテスト中のもの)

 長く「Windows Insider Program」でテストされていた「2-in-1」デバイス向けの新しいタスクバーが、間もなくリリースされる。ノートPCとして利用しているときは従来通りの挙動だが、タブレットとして利用しているときは細く隠れ、必要に応じて引き出せる。タスクバーのアイコンも、指でタッチすることを考慮して一回り大きくなる。

「Snipping Tool」で録画

 スクリーンショットを撮影するツール「Snipping Tool」では、デスクトップの録画がサポートされる。この機能は現在、Beta版「Windows 11」でテスト中。最新版では不具合も改善されている。

「メモ帳」がタブ化

 同じくBeta版「Windows 11」でテスト中のタブ化された「メモ帳」アプリも、間もなく正式リリースされるとのこと。未保存テキストの扱いも改善された。

アクセシビリティの改善

 「Windows 11」ではアクセシビリティにも注力されており、点字ディスプレイの対応強化やナレーターの拡充が進められている。音声コマンドも正式版となりMicrosoftのアプリを音声でコント―ロールできるようになる。今回の発表には含まれていないが、PCで再生されている発話にAIで自動生成されたキャプション(字幕)をリアルタイム付与する「ライブ キャプション」の日本語対応もテスト中だ。

持続可能な社会への取り組み

 月間14億台以上も稼働しているというWindowsデバイスを省電力化することは、持続可能な社会を実現するためにも重要なことだ。そこで「設定」アプリに「エネルギーに関する推奨事項」(Energy Recommendations)というページを追加し、デバイスの電力消費量を抑えるためにユーザーができることを提案してくれるようになる。

[スタート]画面とAI

 企業向けの機能としては、業務に関連のあるコンテンツをAIが[スタート]画面でお勧めする機能が追加される。次の会議の資料やチームで編集中のドキュメントなどへ瞬時にアクセスでき、業務効率の改善が期待できる。

企業向けに[スタート]画面を改善。AIがユーザーに必要な業務コンテンツを提案

 なお、この機能は「Azure Active Directory」(AAD)に参加している「Windows 11 Pro」以上のデバイスが必要。

新しい「Windows 365」アプリ

 「Windows 365」は、同社のクラウドサービス「Azure」上で動作するWindows 10/11仮想環境へリモートアクセスできるようにしたソリューション。専用のアプリは現在パブリックプレビュー中だが、このアプリも間もなく正式リリースされるとのこと。

 以上の改善は、「Windows Update」や「Microsoft Update」のアプリ更新で提供される。「Windows 11 バージョン 22H2」を利用中で、これらの新機能に興味があるユーザーは、本日提供が開始されたプレビュー更新プログラム(Cリリース)を導入してみるとよいだろう。大きな問題がなければ、来月のパッチチューズデー(米国時間第2火曜日)にセキュリティ修正とともに一般の環境にも配布される。

プレビュー更新プログラム(Cリリース)でテスト可能