やじうまの杜

ソフトウェア・サービス業界における新型コロナウイルス(COVID-19)関連のまとめ(5月11日更新)

市民開発の広がり、リモートワーク・オンライン授業への支援、一部サービスの縮退・スケジュール変更など

 “やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。

東京都の新型コロナウイルス対策サイト

 窓の杜で紹介した新型コロナウイルス(COVID-19)関連の記事をまとめてみました。

まずは情報を ~広がる市民開発の輪

 2月中旬、新型コロナウイルスの脅威が身近になりつつあったなか、まず動きがみられたのは“錯綜する情報を整理して、わかりやすく閲覧できるようにしよう”という動きでした。

 なかでも画期的だったのが、東京都による“GitHub”の活用です。新型コロナウイルスの対策サイトを立ち上げ、オープンソース・オープンデータにして広く協力を募った結果、多くの市民開発者の参加が得られました。台湾のIT大臣・唐鳳氏がプルリクエスト(修正案)を送ってくれて話題になったこと、北海道を皮切りにクローン(複製)サイトが登場したのも記憶に残る動きです。

 現在では、ほぼすべての都道府県で東京都の対策サイトのクローンが運営されているようです。多くは有志・市民による貢献でまかなわれています。まだ対策サイトが立ち上げられていない県や、リソース不足でメンテナンスが滞りがちな県などもあるようなので、我こそはと思う方は参加してほしいとことろです。

イベントへの影響

 また、イベントへの影響もありました。国内ではITカンファレンス・勉強会の延期や中止が相次ぎ、それをまとめる“Google スプレッドシート”が公開されました。不特定多数の集まりを避けるため、オンライン開催を模索する動きがみられたのも特徴です。

 3月に入り、新型コロナウイルスの感染がヨーロッパやアメリカにまで広がると、この動きは加速。“Google I/O 2020”のような大規模イベントまで中止やオンラインへの移行に追い込まれました。

 日本でも学校を休校する措置が取られ、授業や卒業式、入学式などに影響が出ました。いち早くオンライン講義に取り組む教育機関や、それを支援しようとする動きがみられたのもこのころです。

リモートワークを支援する政府・企業

 一方で、働く人たちに対してはリモートワークが推奨されました。新型コロナウイルスをきっかけに在宅勤務を始めたという読者も少なくないのではないでしょうか。VPNや大規模なライブイベント、グループビデオ通話といったサービスを無償提供したり、機能を強化した企業がいくつか現れました。

 それ以外にも、多くの企業で働いたり学んだりする人たちを応援する取り組みが行われています。興味のある方は、政府が民間の施策を集約して検索サイトやオープンデータを提供しているので参考にしてみてください。

ソフトウェア開発やサービス提供への影響

 最後に、ソフトウェアやサービスへの影響をまとめましょう。

 まず、IT管理者がリモートワークへの対応を強いられていることを考慮し、一部のWindows 10バージョンでサポートの延期が発表されたほか、一般向けWindows 10でもオプションパッチの配信が一時休止されることが発表されました。米国時間で毎月第2火曜日に行われている“パッチチューズデー”(セキュリティ+不具合の修正)は実施されますが、それ以外の週に配信されていたセキュリティ関連以外のパッチはお休みとなります。

 また、「Google Chrome」や「Chrome OS」、新しい「Microsoft Edge」、「Node.js」でもリリーススケジュールの調整が行われました。

 とくにTLS 1.0/1.1のデフォルト無効化により、一部の比較的重要なWebサイトで影響が出ているようで、「Firefox」では一時的に無効化が撤回されたほか、「Microsoft Edge」「Internet Explorer」ではTLS 1.0/1.1のデフォルト無効化を行う時期を延期するとのこと。「Google Chrome」で導入されていた“SameSite Cookie”の変更も一時撤回されました。

 そのほかにも、リモートワークによりクラウドサービスの利用が急増し、一部でサービスのダウンや縮退運転(たとえば、ストリーミングサービスで品質の制限)が発表されています。一般向けのアプリ・サービスでは、「OneNote」で添付できるファイルサイズが一時的に制限されているので注意が必要です。