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日本で買える「Copilot+ PC」ラインナップをまるっとチェック! ~価格は最安で17万円後半から
6月18日より各社販売開始、現時点だと新世代AI PCはスナドラ縛り?
2024年5月31日 08:30
米Microsoftによって大々的に発表されたWindows PCの新カテゴリ「Copilot+ PC」。AIアシスタント「Microsoft Copilot」への対応は言わずもがな、NPUを内蔵したQualcommの「Snapdragon X Elite/Plus」プロセッサーを搭載し、価格帯は最安モデルで17万円後半から購入可能で、主流は20万円台となっています。
6月18日のグローバルローンチに向けて、MicrosoftだけでなくPCメーカー各社も一斉にモデルラインナップを発表しており、「AI PC」という新世代の到来がいよいよ目前へと迫ってきました。
「Copilot+ PC」発表時の内容を含め、これまでのMicrosoftが謳う「AI PC」の定義を振り返っておくと、「Copilot+ PC」の最小要件については下記の通りです。
「Copilot+ PC」の最小要件
- Microsoftが承認したCPUまたはSoC
40TOPS以上の処理性能を持つNPUを組み込むことが条件 - 16GB以上のDDR5/LPDDR5規格RAM(メモリ)
- 256GB以上のSSD/UFSストレージ
- 「Microsoft Copilot」への対応
- [Copilot]キーの搭載
「Copilot+ PC」では、Microsoftが開発したAIアシスタント「Copilot(Copilot in Windows)」を瞬時に呼び出すことができる[Copilot]キーが採用されるほか、ローカルで実行できる40以上のオンデバイスAIモデルを搭載予定。
ユーザーがPC上で見たものを過去に遡って検索できる「Recall(回顧)」、ペイントアプリで利用できる画像生成AI「Cocreator」、日本語をはじめとした多言語に対応した字幕を自動生成する「Live Captions(ライブキャプション翻訳)」、AIを活用したビデオ通話エフェクト「Windows Studio Effect」といった新たなAI機能も利用できるようになります。
各社のモデルラインナップを見てみると、特徴的なのは、新型「Surface Pro」および「Surface Laptop」をはじめ、45TOPSを実現するNPUを内蔵したQualcommの「Snapdragon X Elite/Plus」プロセッサーを採用していること。現時点だと“Snapdragon縛り”と言っても過言ではないほどの一強ぶりですね。
しだかって、搭載OSも「Arm版Windows(Windows on Arm)」が採用されるということで、普段使用しているアプリが動作可能かどうか、不安に思う方もいらっしゃるかと思います。既存アプリのArm対応については、Microsoftの協力のもと、早くも「Docker Desktop」や「Qt」をはじめ、続々と対応が進められている状況となっています。
さて、今回の特集では、執筆時点で日本国内向けに発売が予定されている「Copilot+ PC」の各社モデルをまとめてみました。次世代AI PCという存在がいかなるものか、予約購入や情報収集の参考になれば幸いです。
Microsoft:Armベースとなった新型「Surface Pro」「Surface Laptop」
Microsoftからは、45TOPSを実現するNPUを内蔵した「Snapdragon X」シリーズ搭載の新型「Surface Pro(第11世代)」および「Surface Laptop(第7世代)」が登場。「Surface Pro」には上位モデルとしてOLEDディスプレイモデルを、「Surface Laptop」には13.8インチと15インチの2モデルを展開します。
バッテリーの駆動時間は、動画再生の場合、「Surface Pro」は最大14時間、「Surface Laptop」は15インチで最大22時間、13.8インチで最大20時間です。ほかにも、2 in 1 ノートPCである「Surface Pro」向けのオプションには、本体に取り付けた状態でも外した状態でも使用できるように設計された着脱式ワイヤレスキーボード「Surface Pro Flex キーボード」も用意されます。
「Surface Pro(第11世代)」
- 販売開始日:6月18日
- 公式ストア価格:207,680円から
- プロセッサー:Snapdragon X Elite/Plus
- NPU:Qualcomm Hexagon(45TOPS)
- OS:Windows 11 Home
- ビデオカード:Qualcomm Adreno GPU
- メモリ:16GB/32GB LPDDR5x RAM
- ストレージ:256GB/512GB/1TB Gen 4 SSD
- ディスプレイ:13インチ PixelSense Flow ディスプレイ(OLED/LCD、2,880×1,920ドット、120Hz)
- ネットワーク: Wi-Fi 7(802.11be)/Wi-Fi 6E(802.11ax)対応
- バッテリー容量:48Wh(LCD)/53Wh(OLED)
「Surface Laptop(第7世代)」
- 販売開始日:6月18日
- 公式ストア価格:207,680円から(13.8インチ)/268,180円から(15インチ)
- プロセッサー:Snapdragon X Elite/Plus(13.8インチ)、Snapdragon X Elite(15インチ)
- NPU:Qualcomm Hexagon(45TOPS)
- OS:Windows 11 Home
- ビデオカード:Qualcomm Adreno GPU
- メモリ:16GB/32GB LPDDR5x RAM
- ストレージ:256GB/512GB/1TB Gen 4 SSD
- ディスプレイ:13.8インチ(2,304×1,536ドット)/15インチ(2,496×1,664ドット) PixelSense Flow ディスプレイ(ともに120Hz)
- ネットワーク:Wi-Fi 7(802.11be)/Wi-Fi 6E(802.11ax)対応
- バッテリー容量:54Wh(13.8インチ)/66Wh(15インチ)
ASUS:Snapdragon X Elite搭載モデルを6月18日より展開
ASUS JAPANからは、同社製品として初めて次世代AI機能搭載のCPU「Snapdragon X Elite」を搭載したASUS Copilot+ PC「ASUS Vivobook S 15 S5507QA」が展開されます。
45TOPSを実現するAI機能専用のNPU「Qualcomm Hexagon」を内蔵し、合計で最大75TOPSのパフォーマンスを実現。大容量の70Whバッテリーを搭載し、長時間のバッテリー駆動を可能としながら、最薄部14.9mm、軽さ約1.42kgと、持ち運びやすい軽量モデルとなっています。また、故障原因に関係なく修理を受けられる「ASUSのあんしん保証」サービスにも対応。
なお、今後「Snapdragon X Plus」搭載モデルも日本にて展開予定とのことです。
「ASUS Vivobook S 15 S5507QA」
- 販売開始日:6月18日
- 公式ストア価格:249,800円
- プロセッサー:Snapdragon X Elite X1E-78-100
- NPU:Qualcomm Hexagon(45TOPS)
- OS:Windows 11 Home
- ビデオカード:Qualcomm Adreno GPU(CPU内蔵)
- メモリ:32GB LPDDR5X-8448
- ストレージ:1TB SSD (PCI Express 4.0×4接続 NVMe/M.2)
- ディスプレイ:15.6インチ OLED(2,880×1,620ドット、120Hz)
- ネットワーク:Wi-Fi 7(802.11a/b/g/n/ac/ax/be)対応
- バッテリー容量:70Wh
Dell:薄型で軽量、個人・法人向けに合計5つのモデルを展開
デル・テクノロジーズからは、個人・法人向けに「New XPS 13」「New Inspiron 14 Plus」「New Inspiron 14」「New Latitude 7455」「New Latitude 5455」の5モデルが登場。(このうち「New Inspiron 14」および「New Latitude 5455」は後日発売予定)
個人・AI向けに設計された「XPS 13」では「Snapdragon X Elite」が搭載され、薄型・軽量かつXPSシリーズにおいて最大となる27時間のバッテリー駆動時間を実現。オプションで高精細・高輝度の有機ELディスプレイや最大64GBメモリの選択が可能となっています。また、「Inspiron 14 Plus」には「Snapdragon X Plus」を搭載し、さらに高品質なビデオ・オーディオ体験を提供します。
法人向けPC「Latitude」シリーズでは、「Snapdragon X Elite(12コア)」または「Snapdragon X Plus(10コア)」から選択できるモデルを用意。アルミニウム製シャーシに、AIノイズリダクション機能を備えたクアッドスピーカー、Wi-Fi 7などを備えます。ほかにも[Copilot]キーを搭載したキーボードも2製品、今後発売される予定となっています。
「New XPS 13」
- 予約販売開始日:5月21日(6月末より随時発送)
- 公式ストア価格:249,980円
- プロセッサー:Snapdragon X Elite X1E-80-100(12コア)
- NPU:最大45TOPS(詳細は明記なし)
- OS:Window 11 Home
- ビデオカード:Qualcomm Adreno GPU
- メモリ:16GB LPDDR5X(8,448MT/s)
- ストレージ:512GB SSD(M.2 PCIe NVMe)
- ディスプレイ:13.4インチ Full HD+(1,920×1,200ドット、120Hz)
- ネットワーク:Wi-Fi 7(Qualcomm FastConnect 7800)対応
- バッテリー容量:55Wh
「New Inspiron 14 Plus」
- 予約販売開始日:5月21日(6月末より随時発送)
- 公式ストア価格:179,800円
- プロセッサー:Snapdragon X Plus X1P-64-100
- NPU:最大45TOPS(詳細は明記なし)
- OS:Window 11 Home
- ビデオカード:Qualcomm Adreno GPU
- メモリ:16GB LPDDR5X(8,448MT/s)
- ストレージ:512GB SSD(M.2 PCIe NVMe)
- ディスプレイ:14.0インチ Quad HD+(2,560×1,600ドット、60Hz)
- ネットワーク:Wi-Fi 7(Qualcomm FastConnect 7800)対応
- バッテリー容量:54Whr
HP:キーボード右下の「Ai」ロゴで存在感アピール、個人・法人向けに計2モデル
日本HPからは、次世代AI PCとして個人向けに「HP OmniBook X 14 AI PC」、法人向けに「HP EliteBook Ultra G1q AI PC」(7月上旬以降、受注開始予定)を展開。両デバイスとも「Snapdragon X Elite」と専用のNPUをベースに設計されており、45TOPSの処理能力により、言語モデルと生成AIをローカルで実行することができます。
ユーザーのAI体験を向上させ、生産性を高めるためのAIツールと機能を集約したアプリ「HP AI Companion」や、NPUを利用してスポットライト、背景ぼかしおよび背景画像、オートフレームといったAI機能を作動させる「Poly Camera Pro」(Polyソフトウェアは2024年夏に発売予定)などを備えています。カーソルキーの真下に「AI Helixロゴ」があしらわれているのも、HP製AI PCのデザイン特徴と言えます。
「HP OmniBook X 14 AI PC」
- 受注開始日:5月22日(6月18日以降、出荷開始予定)
- 販売価格:249,700円から(公式ストアでは、販売開始記念で224,730円から)
- プロセッサー:Snapdragon X Elite X1E-78-100
- NPU:Qualcomm Hexagon(45TOPS)
- OS:Windows 11 Home
- ビデオカード:Qualcomm Adreno GPU
- メモリ:16GB(LPDDR5x、8,448MHz)
- ストレージ:1TB SSD(PCIe Gen4 NVMe M.2)
- ディスプレイ:14.0インチ IPSタッチディスプレイ(2,240×1,400ドット、Hzは明記なし)
- ネットワーク:Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)対応
- バッテリー容量:明記なし(駆動時間は最大26時間)
Lenovo:超薄型14.5インチモデルに「Snapdragon X Elite」を搭載
レノボからは、「Snapdragon X Elite」を搭載した個人向けモデル「Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9」が登場します。ThinkPadシリーズのデザイン様式を受け継いだ法人向け新モデル「ThinkPad T14s Gen 6」については、日本での発売時期は未定となっています。
重量約1.28kg、薄さ約12.9mmからなる「Yoga Slim 7x」は、高いポータブル性を備えながら、写真や動画の編集といったクリエイター向けのAI機能を利用可能。3Dレンダリングをしていても、Snapdragonと連携した「Lenovo AI Core」がバッテリーを長持ちさせるための高度なパフォーマンス管理を行なってくれます。
また、作成したコンテンツを鮮明に映し出せるよう、PureSight OLEDタッチパネルを採用したほか、4スピーカー・サウンドシステムを搭載し、臨場感のあるサウンドで動画再生も楽しめます。
「Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9」
- 販売開始日:6月18日
- 公式ストア価格:249,700円
- プロセッサー:Snapdragon X Elite X1E-78-100
- NPU:Qualcomm Hexagon NPU(45TOPS)
- OS:Windows 11 Home
- ビデオカード:Qualcomm Adreno GPU
- メモリ:32GB LPDDR5x
- ストレージ:1TB SSD(PCIe NVMe M.2)
- ディスプレイ:14.5インチ 3K OLED(2,944×1,840ドット、90Hz)
- ネットワーク:Wi-Fi 7(IEEE802.11be/ax/ac/a/b/g/n)対応
- バッテリー容量:70Whr
「Lenovo Yoga Slim 7x Gen 9」公式ストアページはこちら
「Copilot+ PC」については、日本国内向けモデル以外であれば、AcerからApple M2よりも2倍のピークパフォーマンスを実現したと謳う「Swift 14 AI」や、Samsungからも新型ラップトップ「Galaxy Book4 Edge」が海外向けに発表されています。
執筆時点では、これらのモデルに関する日本国内向けの販売情報は確認できませんでしたが、今後の「Copilot+ PC」の展開拡大には大いに期待したいところですね。もちろんIntelやAMDの動向にも注目です。