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【第2回】
CPUと焼きそばパン
(02/10/07)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日もパソコンの前でフリーズしています。
一体どうしたのでしょう?
CPUって何?
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今日はパソコンでゲームをするわよ。さあ、インストールする前に“ReadMe”ファイルを読破するわ!
……CPU、500MHz以上?
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どうしたんですか、めも理ちゃん。画面をのぞき込んだまま、固まっているみたいですが。
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うーん。CPU、CPU……。
ちょこっと(C) プリティ(P) うに夫くん(U)!
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……。
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さっぱり分からないわ。ねえ、窓太。これが分からないとゲームができないの?
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そういうことはないですけど、知っておいた方がよいと思いますよ。
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じゃあ、窓太教えてよ。
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分かりました! 今日、めも理ちゃんは焼きそばパンを食べてましたよね。
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ええ、購買部で買ってきたの。
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“CPU”は、ちょうどその購買部のおばちゃんに相当するものなんです。
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はっ?
ちょこっと(C) プリティ(P) うに子おばさん(U)?
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違いますよ。それじゃあ実際に、めも理ちゃんに購買部のおばちゃんになってもらい、説明をしましょう。
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購買部
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めも理と窓太の4コマまんが 「速度」 |
キーン、コーン、カーン、コーン。
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いよいよお昼休みね。
飢えた狼のようにお腹を空かせた生徒たちが、エサに群がるハイエナのようにパンを買いに来る時間だわ。
次々と注文を告げる生徒たちの前で、私はただひたすらとパンを売る女になるの。
注文を受け、お金を受け取り、おつりを計算して返す。さらに注文を受け、お金を受け取り、おつりを計算して返す。
無限のパン売り地獄の火蓋が切って落とされるのよ!
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え~……。だいぶ違うような気がしますが、おおむね合っています。
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あら、そうだったの?
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“CPU”というのは、“小さな計算”をたくさん受け取り、その“答え”を次々と返すお仕事をしているんです。
“注文”と“お金”を受け取り、その結果として“おつり”と“商品”を返す、そんな購買部のおばちゃんと、CPUは同じ働きをしているのです。
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同じ働き?
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ええ、そうです。元々“CPU”は“Central Processing Unit=(中央演算処理装置)”の略で、パソコンの様々な命令を、一手に引き受ける場所なんです。
食事どきに、生徒たちが一気に購買部に集中するように、パソコンを使うと、ソフトウェアから様々な命令が出て、全てこのCPUに集中するんです。
CPUは、これらの命令を次々にこなしていく役割なのです。
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なるほど。私もなかなかやるじゃない。
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そうなんです! そして、このCPUの性能がよいほど、とても速く計算を処理できるのです。
ベテランのおばちゃんがいるときには、スムーズにパンを買えるのと一緒ですね。もし、めも理ちゃんなんかが購買部にいたら、昼休み中にパンが買えなくなってしまいます。
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そうかも。
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そして、この計算の速さを表すのが、“Hz(ヘルツ)”という単位なのです。これは、どんなテンポで計算しているのかということを表します。
ベテランのおばちゃんが、1、2、3、4、5、6、7、8。1、2、3、4、5、6、7、8。……というテンポで計算しているなら、めも理ちゃんはその4分の1ぐらいの速さで、1……、2……。1……、2……。……とゆっくり計算をしているようなものです。
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そんなにゆっくりじゃないもん。
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この計算するテンポですが、パソコンのCPUは非常に速いテンポで計算をしています。例えば1GHzなら、1秒間に10億回のテンポで計算していることになるんです。
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10億回!
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さらに、デュアルプロセッサなら、CPUが2つ! 購買部のおばちゃんが2人になってさらに倍!
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20億回!
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とはいえ、対応しているOSでしか、2つのCPUを同時に使うことはできないんですけどね。
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部室
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……というわけなんです。
だから、“CPU○○MHz以上推奨”などと書いてあるソフトは、それだけ速く計算を行うパソコンじゃないとうまく動いてくれないですよ、ということなのです。
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なるほど、そういうことだったのね。
しかしまあ、購買部のおばちゃんって、ただ者じゃないと思っていたけど、“中央演算処理装置”だったとはね。何だか秘密兵器の名前みたいでかっこいいわね。
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いや、これは例えですよ。
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そうそう窓太。私の頭の回転の速さは何MHzなの? もちろんパソコンより速いわよね。
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えっ? そっ、そんな恐ろしいことを答えないといけないんですか?
…………………………。
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……窓太は実行中にエラーが発生しました。窓太は強制終了します。
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あ~、逃げた! 答えなさい、一体私は何MHzなの~!(泣)
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今回出てきた用語の解説
【CPU】 Central Processing Unit(=中央演算処理装置)の略語。パソコンの頭脳にあたる。
【クロック(周波)数】 パソコンのCPUがテンポを取るために、定期的に発生させしている信号。水晶発振器などで発生させている。単位はHz。
同じクロック周波数でも、CPUの種類が違えば演算の仕方が違うので処理速度も変わる。
【Hz】 ヘルツと読む。MHzはメガ・ヘルツ、GHzはギガ・ヘルツと読む。1MHzは100万Hz、1GHzは10億Hz。CPUが、1秒でどのくらいの回数動作しているかを表す。とにかく速い。
【デュアルプロセッサ】 1台のパソコンに、2つのCPUがついているときに“デュアルプロセッサ”という。3つ以上の場合は、“マルチプロセッサ”という。CPUを増やしたからといって、ソフトやOSが対応していないと処理は速くはならない。
【OS】 Operating Systemの略語。パソコンを動かす基本的なソフト。Windows XPや、Mac OS、Linuxなど。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)