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【第84回】

スキャンディスクとダムの検査

(04/10/04)

めも理 窓太 めも理と窓太
登場人物紹介

 窓の杜高校、超パソコン部の部室。

 あらあら、めも理ちゃん。今日は部室で窓太に質問をしています。

 一体、何を尋ねているのでしょう?

不調

めも理  ねえねえ窓太。最近何かパソコンの調子がおかしいのよ。原因は何?

窓太  ちょっと待って下さいめも理ちゃん。そんなの簡単に分かるわけないじゃないですか。パソコンの調子が悪いといっても、原因になりそうなことは多数ありますからね。だから、原因を聞かれても簡単に分かるものではないですよ。

めも理  へー、いつも大きな口を叩いているのに、役に立たないわね。

窓太  むっ、その物言いは気に食わないですね。そうですね、じゃあ“スキャンディスク”でも、してみて下さい。

めも理  スキャン? ディスク? スキャナでCDの画像を取りこむの? また変わったことをさせるわね。

窓太  違いますよ。スキャンディスクは、ダムの検査のようなものです。

めも理  ダムの検査? うーん、何を言っているのか分からないわね。

窓太  そうですか、じゃあ少し説明することにしますね。


スキャンディスク

4コマまんが
めも理と窓太の4コマまんが
「スキャンディスク」

窓太  さてめも理ちゃんに質問です。ハードディスクとダム、共通点は何でしょうか?

めも理  ハードディスクはデータを保存するためのものよね、ダムは水を溜めておくためのもの。データと水で、保存するものは違うけど、何かを貯えておくものということで共通なんじゃないの?

窓太  正解です。今日のめも理ちゃんは冴えていますね。

めも理  えへへ。

窓太  さて、ダムの話をちょこっとだけすることにしますね。ダムは水をせき止めて貯めています。水の圧力は非常に大きいので、ダムに傷などがあれば、そこから水が漏れてダムに大きな穴が空いて壊れてしまいます。
 ですから定期的に、壊れている部分や、傷が入っている部分がないかを検査することが大切です。

めも理  ダムが壊れたら大変そうだものね。ハードディスクも問題が起こったら、ダムみたいにデータが漏れたりするの?

窓太  ハードディスクはダムと違って、決壊してデータが漏れてきたりはしません。
 けれども、貯えているデータに問題が生じたり、データ自体が読み取れなくなったりすることはあります。

めも理  それは困るわね。せっかく作ったデータが読み取れなくなったら一大事じゃないの?

窓太  そうです、一大事です。だから検査が必要なんですね。それじゃあ、ハードディスク上のデータに生じる問題について少し解説しますね。
 さて、ハードディスク上のデータに生じる問題は、大きく分けると2つに分けられます。まず1つ目は、ハードディスクに保存されているファイルに関する情報に誤りがある場合。2つ目は、データ自体が壊れている場合です。
 こういった問題が発生しているかどうかを検査して、解決できる問題だったら解決してくれるアプリケーションをスキャンディスクと呼ぶのです。

めも理  へー、そんな検査をする方法があったんだ。それじゃあ、スキャンディスクって、具体的にどういうことをしてくれるのか教えてよ。

窓太  それじゃあ説明をする前に、以前に話したハードディスクに関する説明を少し復習しておきましょう。
 ハードディスク上に、どのようにデータが保存されているかは、ハードディスクについての説明、デフラグの説明、フォーマットに関しての説明を思い出して下さいね。

  □窓の杜 - 【めも理と窓太のパソコン講座】第8回:ハードディスクと火事オヤジ
http://www.forest.impress.co.jp/article/2002/12/02/madota08.html

□窓の杜 - 【めも理と窓太のパソコン講座】第39回:デフラグとクラスの席替え
http://www.forest.impress.co.jp/article/2003/09/01/madota39.html

□窓の杜 - 【めも理と窓太のパソコン講座】第56回:フォーマットと原稿用紙
http://www.forest.impress.co.jp/article/2004/02/23/madota56.html

めも理  ハードディスクに関係することは、今までけっこう教えてもらっているのね。

窓太  そうですね。
 さて、ハードディスクと保存されているデータについては、私のほうからざっとまとめておきます。
 簡単に言うと、ハードディスク上は方眼紙のようにマス目が区切られていて、データを保存する場合は、この方眼紙のどのマスを何マス分使うか、そのデータの大きさに応じて決めているのです。
 先ほど言った、1つ目のデータに関する情報の問題というのは、どこのマスにデータを保存したかという情報に問題が起こる場合です。また2つ目の問題というのは、保存したデータ自身に問題が発生する場合を指します。

めも理  なるほど、データをどこに保存したか間違ってしまうか、保存したデータ自体に問題が発生してしまうかということね。

窓太  そうです。それじゃあ、1つずつ説明していきますね。
 まずは、1つ目のハードディスクに保存されているファイルに関する情報に誤りがある場合について説明します。この問題でよく知られているのは、“クロスリンク”と呼ばれている問題です。

めも理  クロスリンク?

窓太  OSなどが、データが既にある場所に、違うデータを書き込んでしまうという問題です。
 例えば、めも理ちゃんがカセットテープに“素敵なお菓子”という曲を録音していたとします。そして、めも理ちゃんのお父さんが同じカセットテープに“熱いぜプロ野球”という曲を録音してしまったとします。
 そうすると、めも理ちゃんが、ちゃんとカセットに録音していたはずの“素敵なお菓子”という曲をどんなに探しても、その曲はカセットテープに入っていないという状態になります。

めも理  そうね。うちのお父さんなら、やりそうなことだわ。

窓太  パソコンでも同じように、OSがデータを保存していたファイルの位置に、間違って違うデータを保存してしまうことがあるのです。
 そうすると、めも理ちゃんが保存した“素敵なお菓子.mp3”というファイルは、エクスプローラからちゃんと見えるのに、実際にハードディスク上には、“熱いぜプロ野球.mp3”というデータしか保存されていないという現象が発生してしまうのです。

めも理  へー、OSも案外間抜けね。そんなことがあるんだ。でも、そうなったら“素敵なお菓子.mp3”というデータはどうなるの? 存在しなくなってしまうの?

窓太  そうですね、中身が存在しないファイルになってしまいますね。

めも理  それは困るわね。

窓太  だからスキャンディスクでは、こういった名前だけで実体がないファイルがないかを検査して、もしあれば、存在しないファイルに関する情報を消去して、情報をつじつまの合った状態にするのです。

めも理  なるほど。そんなファイルばっかりだと、混乱しちゃうものね。

窓太  次に、実際のデータが破損してしまっている場合について説明しますね。これには、ただ単にファイルが壊れている場合と、ハードディスク自体が壊れてしまっている場合とがあります。
 まずは、前者のファイルが壊れている場合について説明します。

めも理  ファイルはどういうときに壊れるの?

窓太  OSやアプリケーションが異常終了してしまったときに壊れることが多いですね。こういったときは、ハードディスクへのデータの書き間違いや書き残しが発生してしまうからです。

めも理  へー、そうなんだ。

窓太  このようにして、利用できなくなってしまったデータは、ハードディスク上にいつまでも残しておいても仕方がないので、消去してしまわないといけません。

めも理  そうね、ゴミのデータをいつまでももっていても仕方がないものね。

窓太  そうですね。このようなデータ上の問題の検査は、保存されているファイルが、本当にその場所に正しく書き込まれているかどうか、ひとつ一つ確認しながら調べていきます。

めも理  ハードディスク上のデータって、結構おかしくなったりするの?

窓太  アプリケーションがよく異常終了するような場合は、こういったエラーが起こっていることがあります。

めも理  なるほどね。

窓太  それでは次に、ハードディスク自体が壊れてしまっている場合について説明します。
 ハードディスクは消耗品なので、使っているうちにだんだんと壊れていきます。パソコンの電源をいきなり切ったり、震動の多い車のなかや電車のなかでノートパソコンをよく使っていたりすると、ハードディスクの表面に傷がつくなどして壊れていくことがあります。

めも理  げっ、壊れるんだ。

窓太  壊れますよ。
 スキャンディスクでは、このような問題も検査してくれます。検査では、ハードディスクのデータを保存する場所を一箇所ずつ見ていき、データを読むことができるかどうかを確かめていきます。
 その際、読み取りがうまくいかない、もしくは何度か試さないとうまく読めないような場所があれば、その場所のデータをほかの場所に移してしまいます。
 そうして、データがうまく読めなかった場所に立て札を立てて、今後その場所にデータを書きこめないようにしていくのです。もちろん、データが保存されていない場所でも、データをうまく読み書きできないような場所があれば、同じように書き込み禁止にしてしまいます。

めも理  立ち入り禁止の立て札のようなものね。『危険地帯だよ』というわけね。

窓太  そうです。うまくデータをほかの場所に移せた場合はよいのですが、場合によってはデータを完全に読み取れずに、データが壊れたままになるというようなこともあります。これは、古いハードディスクではときどきある現象ですが、いずれにせよ、一度壊れてしまったデータを復旧することはできません。

めも理  ハードディスクごとデータが壊れて、読み取れなくなってしまうわけね。それは恐いわ。

窓太  そうです。なので、スキャンディスクを定期的にして、まだ読める段階で、ハードディスク上の壊れかけている場所に保存されているデータを、安全な場所に移してやる必要があるのです。
 また、このような読み取りのエラーが多くでてくるようになったら、ハードディスクが完全に壊れてしまう前兆です。新しいハードディスクを購入して、データを移してしまったほうがよいですね。

めも理  なるほど、普段使っているハードディスクも、時間と共に劣化して壊れていくものなのね。大切なデータを守るためにも、定期的な検査が必要なんだ。

窓太  そういうわけです。


検査

めも理  やっぱりきちんとした検査は大切よね。

窓太  どうしたんですかめも理ちゃん。浮かない顔をして。

めも理  今日お菓子を家からもってきたんだけど、袋に穴が空いていたのよ。袋に破損がないか、きちんと検査しておけばよかったわ。おかげで、お菓子の量が半分に減ってしまったの。

窓太  それは、めも理ちゃんにとっては耐えがたい状態でしょうね。まあ、これを機会にダイエットでもしてください。

めも理  ううっ、ギブ・ミー・お菓子~~!


今回出てきた用語の解説

【スキャンディスク】 ハードディスクを、論理的にも物理的にも検査して、問題点があれば、その問題が解決するように対策を行うアプリケーション。

【クロスリンク】 ハードディスクの実データを、誤ってほかのファイルと同じ場所に保存してしまう問題。

クロノス・クラウン:柳井 政和


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