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【第87回】
タブレットとスケッチブック
(04/11/01)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日はマウスを必死で動かしています。
一体、何をしているのでしょう?
描けない
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うーん、うまく描けないわ。
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どうしたんですかめも理ちゃん。マウスを握り締めて唸っているようですが。
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インターネット上のお絵描き掲示板ってとこに絵を描いているんだけど、マウスじゃうまく絵が描けなくて困っているのよ。
窓太には関係ないわ。
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うわっ、本当にうまく描けていないですね。抽象画ですか。
あいたっ!
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黙ってなさいよ。集中力が乱れるんだから。
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そんな風にマウスなんかで描かなくても、“タブレット”で描けば楽ですよ。
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タブ・レッド? 何それ。タブレンジャーの赤いやつ?
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何ですかそれは。確か、タブレットは部室にもあったはずですよ。ほらありました、どうぞ。
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タブレットの写真
(左は入力用のペン、右は本体)
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何、その板とペン。
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タブレットというのは、スケッチブックと鉛筆のようなものですよ。
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スケッチブック? 綴じた紙に絵を描く、あれのこと?
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そうですよ。
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ふーん、まあいいわ。絵が上手く描けるようになるなら、窓太の話も聞いてあげましょう。
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タブレット
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めも理と窓太の4コマまんが 「タブレットとスケッチブック」 |
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さて、めも理ちゃん。なぜめも理ちゃんは、マウスで絵を描くのが難しいと思うのですか?
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だって、マウスって最終的に一点を指し示すことはできるけど、点までの経路はどうでもいいという道具じゃない。
だから線を引くような、間の過程が重要な作業には向いていないわ。マウスでは、思ったような線を描くことはできないわよ。
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そうですね、マウスは絵を描くための道具ではないですからね。場所を指し示すのには便利ですが、細かな線を引くのには向いていません。
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そうね、それにマウスは鉛筆みたいに指で持つのではなく、手の平全体で持つものだから、細かな操作もできないわ。やっぱり絵を描く専用の道具がないと、絵は描きにくいんじゃないかしら。
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それじゃあ、めも理ちゃん、スケッチブックに鉛筆で絵を描くのならば、うまく絵を描けますか?
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そりゃあ描けるわよ。スケッチブックと鉛筆は、絵を描くための道具だもの。鉛筆で紙に描くのなら、指先で細かな操作をすることも可能だし。
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実はこのように、スケッチブックに鉛筆で描くような操作方法でマウスカーソルを動かすことができる、絵を描く目的で作られた入力装置があるのです。それがタブレットという道具なのです。
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へー、さっきの変な板とペンよね。これは一体どうなっているの?
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このペンを持って板の上でペン先を動かせば、ディスプレイ上の対応した同じ位置でカーソルも動くのです。
タブレットの便利な点は、入力部分の左上にペンの先を置くと実際の画面でも左上にマウスカーソルが移動することです。ペン先の位置とマウスカーソルの位置が、見た目そのままに対応しているのです。
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それじゃあ、狙った場所をなぞるようにカーソルを動かすことも簡単にできるわね。それに動かす部分がペン型だから、鉛筆で描くような感じで入力することができるし。
これなら、マウスと違って紙に描くような描き方でペン先を動かして、楽に絵を描けそうね。
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マウスがカーソルを動かす方向と移動量を指定するのに対して、タブレットは直接位置を指し示すことができます。マウスだと狙った曲線を描くのが難しいのですが、タブレットを使えば紙に描くような感覚で線を引くことができます。
マウスはマウスカーソルの向きと移動量を変化させて相対的に位置を指定するのに対して、タブレットはマウスカーソルの絶対的な位置を直接指定するものです。ですから、自分の操作と結果の対応が単純で、とても分かりやすいのです。
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なるほど、便利なものなのね。でも机の上に置くのにはちょっと大きいかしら。マウスと違って場所も取るし。
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そうですね、その点はマウスのほうが便利です。でもタブレットでは、タブレットでなければできない機能も盛り込まれているのですよ。
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へー、どんな機能なの?
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タブレットは、特定の位置を指し示すのに便利なだけではなく、絵を描くために便利な“筆圧感知”機能もついているのです。
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筆圧感知?
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例えば筆で文字を書くとき、筆に力をこめるか、すっと抜くかで線の太さが変化しますよね。
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そうね、習字の時間に全部同じ太さで書いたら怒られたわ。メリハリのある線の太さが重要なのよね。
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そうです。このような線の強弱を再現するのが、筆圧感知という機能なのです。
この機能に対応したグラフィックアプリケーションでは、タブレットで線を引くときの強弱を読み取り、線の太い細いといった変化をパソコン上で再現してくれるのです。
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へー、そんな便利な機能があったのね。そんなに絵を描くのに便利な道具があるのなら、私でもきれいな絵が描けそうね。
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ただし、筆圧感知機能は対応しているアプリケーションでしか使えません。全てのアプリケーションで使える機能というわけではないので注意して下さいね。
しかしそれを抜きにしても、タブレットはパソコンで絵を描く際には非常に便利な装置だと思いますよ。
最近では、ディスプレイに直接書き込みができる構造のノートパソコンで、“タブレットPC”と呼ばれるものも販売されています。そういったものも興味があれば試してみるとよいと思います。
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分かったわ、じゃあさっそく部室にあったタブレットを使ってみるわね。USB端子がついているということは、USBにつなげばいいのね。さあ、絵を描くわよ。
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逆さ
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……。
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どうしたんですか、めも理ちゃん。ディスプレイの前で不思議そうな顔をして。タブレットはうまく使えていますか?
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それがね、不思議なのよ。タブレットの右側をペンで示すと、左側にマウスカーソルが表示されて、下側をペンで指し示すと、上側にマウスカーソルが表示されるのよ。
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めも理ちゃん。それはタブレットの本体、つまり板状の部分を、180度ひっくり返して使っているからですよ。
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ええっ、そうだったの! うーん、タブレットというのは、けっこう難しい道具なのね。
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難しいのはめも理ちゃんの頭のなかですよ。これぐらいの間違いに自分で気づかないとは。はー、先が思いやられそうです。
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今回出てきた用語の解説
【タブレット】 ペンと板を一組として、鉛筆で描くようにマウスカーソルを移動できる装置。
【筆圧感知】 ペンの先端にかけた圧力を、アプリケーションで読み取ることができる機能。絵を描くときに、濃淡や線の入り抜きなど、微細なタッチを再現することができる。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)
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