　それは、マンションの管理人と同じ理由です。
　マンションはきちんとメンテナンスをしないと、さまざまな箇所が壊れたり、泥棒に入られたりします。また、住人が部屋に入れなくなったり、部屋のなかで人が倒れている可能性もあります。そういった緊急事態に備えて、トラブルを対処する管理者という存在が必要になります。
　同じように、コンピューターもきちんとメンテナンスをしないと、不具合が起こったり、不正侵入を受けたりします。また、ユーザーが忘れてしまったパスワードを変更したりといった、各ユーザーのトラブルにも対処する必要があります。
　そのために、アドミニストレーターという存在を設け、コンピューターを管理できるようになっているのです。

　なるほどね。アドミニストレーターというのはそういった存在だったんだ。でも、私には関係ないわね。

　いや、そうも言っていられないですよ。
　コンピューターのアドミニストレーターは、コンピューター内のファイルや設定を自在に書き替えることができる存在です。そのため、コンピューターが不正侵入を受けてアドミニストレーターのパスワードを他人に盗まれるようなことがあれば、コンピューター内のデータや設定を自由に変更されてしまうのです。
　これは、泥棒にマンションのマスターキーを盗まれてしまうようなものです。

　うわ、それは大変ね。

　またコンピューターを1人で利用している場合でも、アドミニストレーターは存在します。
　Windows XPの場合、OSインストール時に作成したユーザーは自動的にアドミニストレーターと同等の権限をもっています。ですので、そのユーザーにはパスワードでロックをかけて、コンピューターを不正に利用されないようにしたほうが安全です。
　例えばWindows XPでは、コントロールパネルの“ユーザーアカウント”を開けば、ログオン時に必要なパスワードを設定できます。
　とくに個人情報などの大事なデータを保存しているコンピューターには、きちんとパスワードを設定しておきましょうね。

　分かったわ。

　そのほか少し難しい話になりますが、LANなどのネットワークにもアドミニストレーターは存在しています。
　ネットワークのアドミニストレーターは、複数のコンピューターやユーザーが参加するネットワークを管理するために、ネットワークにログインする各ユーザーの設定を管理・変更する権限をもっています。
　このようにアドミニストレーターは、コンピューターやネットワークを不正に利用されないように監視する重要な存在です。
　アドミニストレーターの役割を、きちんと知っておいたほうがよいですよ。