【第125回】
スタンバイとビデオの一時停止
(05/09/12)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日は何かうなっています。
一体、何を考えているのでしょうか?
面倒臭がり
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むむむむむ。
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どうしたんですか、めも理ちゃん。
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あっ、窓太。それがね、ノートパソコンを借りたんだけど、移動するたびに電源を入れたり切ったりするのは面倒だなと思って。
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ああ、そういう場合は“スタンバイ”を使うと便利ですよ。
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スタンバイ? 何それ?
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ビデオの一時停止のようなものですよ。
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はぁ?
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えー、どうもよく分かっていないようですね。少し説明してあげるとしますか。
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ビデオの一時停止
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めも理と窓太の4コマまんが 「スタンバイ」 |
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めも理ちゃんに質問しますね。
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いいわよ。
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ビデオを見ているときに、途中で電話が掛かってきたりしたらどうしますか?
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一時停止をしてその場を離れるわね。
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それはなぜですか?
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だって、停止して、ビデオテープを取り出して、ビデオデッキの電源を切ったら、また電源を入れてビデオテープを入れなおさないといけないじゃない。それは面倒だもの。
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実はパソコンでもビデオの一時停止と同じような操作があるのです。
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同じような操作? どういうことなの?
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そのことを理解するためには、OSの起動の仕組みを理解しなければなりません。
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えー、回りくどいわね。
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いやー、でも、パソコンの一時停止とOS起動の仕組みには、密接な関係があるのですよ。
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はあ、仕方ないわね、聞いてあげるわ。どんな仕組みなの?
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OSの起動では、まず、ハードディスクに保存されていたOSがメモリ上に読み込まれます。
その後、OSが各種データをハードディスクからメモリ上に読み込み、OSの起動が完了します。
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起動までに、けっこう面倒なことをしているのね。
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そうです。ビデオデッキの電源を入れて、ビデオテープを入れ直すようなものです。
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確かに似ているわね。なかなか面倒な手順ね。
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面倒な手順ですよね。なので、パソコンにもビデオデッキの一時停止のような機能がついているのです。
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それが、スタンバイというやつなのね。
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そうです。
一時停止を使えば、ビデオの再生を止めていてもすぐに再開できるのと同じです。パソコンを終了に近い状態にしておき、あとですぐに再開できる方法の一つがスタンバイになります。
これは、パソコンの電力消費を抑えたいけど、いつでもすぐに作業を再開できる状態にしておきたいといった場合に便利な機能です。とくに、バッテリーで駆動するノートパソコンで有効な機能になります。
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ねえ窓太。『その方法の一つ』ということは、ほかの方法もあるの?
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ありますよ。ではその前に、まずはスタンバイと呼ばれる機能を説明しますね。
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分かったわ。
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スタンバイは、パソコンの作業状態をメモリに保存しておき、そのメモリの内容を利用してそのままOSや作業を再開する方法です。
パソコンに使われている通常のメモリは、電源をつけている間だけしかデータを記憶することができません。
そのため、スタンバイ状態にしている間も、メモリの内容を維持するために電力の供給が必要になります。
パソコンを起動しているときほどは電力を消費しないですが、ノートパソコンをバッテリーで動かしている場合は、注意する必要があるでしょう。
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なるほどね。ほかの方法は?
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ほかの方法としては、“休止状態”と呼ばれる機能があります。
これは、スタンバイと違って、電力を消費しない方法です。
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へー、でもそれだとメモリの内容が消えてしまうんじゃないの?
さっき、窓太は、メモリがデータを記憶し続けるには電力が必要だって言ったわよね。
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休止状態は、メモリ内にあるパソコンの作業状態を、いったんハードディスクへ全部保存して完全に電源を切ってしまう方法です。
ハードディスクに保存するので、電源を切ってもメモリ内のデータを記憶し続けることができるのです。
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ふーん。じゃあこちらのほうが、スタンバイよりもいいんじゃないの?
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実は、デメリットもあるのです。
休止状態では、メモリのデータを丸ごと保存できるような、ハードディスクの空き容量が必要になります。
また、ハードディスクに保存したメモリのデータを、再びメモリに読み戻すまでの時間が必要になるので、スタンバイよりOSの再開に少し時間が必要になるのです。
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一長一短があるのね。
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そうですね。
あと、少しだけ詳しい話をしますね。このスタンバイや休止状態といった機能をまとめて“レジューム”と呼びます。さらに狭義のレジュームは、スタンバイと同様の意味を指します。
また、Windows 98やWindows Meでは、スタンバイを“サスペンド”とも呼びます。また、本やWebの解説によっては、休止状態の機能を“ハイバネーション(hibernation:冬眠)”と呼ぶこともあります。頭の片隅に覚えておくとよいですよ。
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分かったわ。覚えておくわ。
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スタンバイ
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はあぁ、スタンバイ機能がほしいわ。
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どうしたんですか?
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授業中に寝ていて先生に指されたら、目が覚めるまでに時間がかかって、何も答えられなかったのよ。
スタンバイ機能で寝ていたらすぐに反応できたのに。
ねえ、窓太。スタンバイ機能は重要よね。
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どうやって起きるかを考える前に、そもそも寝ないで下さいよ。
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今回出てきた用語の解説
【スタンバイ】 パソコンの作業状態をメモリに保存しておき、再始動時にそのメモリのデータをそのまま利用して再開する方法。
【休止状態】 メモリ内にあるパソコンの作業状態を、いったんハードディスクに全部保存しておき、完全に電源を切ってしまう方法。
完全に電源を切るので、スタンバイと違い電力は消費しない。再開時にはハードディスクのデータをメモリに読み込むために、スタンバイよりは時間がかかる。
【レジューム】 広義にはスタンバイや休止状態をまとめた範囲。狭義にはスタンバイと同意。
【サスペンド】 スタンバイの古い呼び名。Windows 98やWindows Meではこの名を使う。
【ハイバネーション】 冬眠の意味。休止状態の別名。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)
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