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【第85回】

共有フォルダと部室の雑誌置き場

(04/10/18)

めも理 窓太 めも理と窓太
登場人物紹介

 窓の杜高校、超パソコン部の部室。

 あらあら、めも理ちゃん。今日は部室で試行錯誤しているようです。

 一体、何をしようとしているのでしょう?

猫の写真

めも理  うーん、どうやって作ればいいんだろう。

窓太  どうしたんですかめも理ちゃん。ディスプレイを凝視して、何か探しものですか?

めも理  あっ、いいところに来たわ窓太。先輩がデジカメで猫の写真をたくさん撮ったらしいのよ。
 あまりにもかわいいから『その猫の写真をください』って言ったら、『めも理ちゃんのパソコンに“共有フォルダ”を作っておいてくれれば、猫の写真のファイルを投げ込んでおくよ。メールで送るには、ファイルの合計サイズがちょっと大きいからね』と言われたのよ。
 『分かりました、作っておきます』と答えたのはいいんだけど、そもそも共有フォルダって何なの? エクスプローラ上で右クリックをして[新規作成]を選んでも、[フォルダ]という項目はあっても、[共有フォルダ]っていう項目はないんだけど。

窓太  またですか。分からないことは、その場で聞くようにしてくださいよ。
 でもまあ、先輩のやり方はまっとうですね。大量のデジカメの写真をメールで送るのは、ファイルサイズが大きくて大変ですから。共有フォルダを作って、LANをとおして直接めも理ちゃんのパソコンにファイルをコピーしたほうが、時間もかからずによいですね。当然の選択だと思いますよ。

めも理  へー、共有フォルダってのがあると、LANをとおして直接ファイルをほかのパソコンにコピーしたりできるんだ。

窓太  そうです。共有フォルダというのは、部室の机の上の雑誌置き場のようなものですから。

めも理  ほへ? みんなが買ってきた雑誌を適当に置いている、この場所のこと?

窓太  そうです。それじゃあ少し、共有フォルダについて説明することにしますね。


雑誌置き場

4コマまんが
めも理と窓太の4コマまんが
「共有フォルダ」

窓太  それじゃあ、めも理ちゃんに質問です。めも理ちゃんの机の上に置いている本がありますよね。その本を勝手に読んだら怒りますか?

めも理  何よいきなり。そりゃあ怒るわよ。勝手に人の机の上に置いている本を読まれると、いい気はしないもの。

窓太  じゃあ、昨日めも理ちゃんが買ってきて、雑誌置き場に置いている、“週刊世界の奇菓子・珍菓子”を勝手に読んだらどう思いますか?

めも理  あれは、みんなが見ていいようにと、雑誌置き場に置いているのよ。私が見ていいと判断して置いているんだから、文句は言わないわよ。

窓太  それじゃあ、めも理ちゃんは、自分のもっている本について、他人が見てはいけないものと、他人が見てもいいものとを、分けているということですね。

めも理  そうね、普通分けるんじゃないの? 部室だと、見ていいかどうか、分かりやすいように、雑誌置き場に置くということで意志表示をしているけど。

窓太  実はパソコンでも、同じような区別を行っているのです。

めも理  えっ、見ていいもの、見たらいけないものを分けているの?

窓太  そうです。例えばLANにパソコンをつないでいる環境で、LANにつないでる全てのほかのユーザーから、自分のパソコン内のファイルを読み書きされたら、どう思いますか?

めも理  それは嫌だわ。部室内で、自分の机の上を、勝手にいじられるのと同じことじゃない。それは気分が悪いわ。

窓太  そうですよね。それだけでなく、勝手に他人にファイルを上書きされたり、削除されたりする危険もありますよね。

めも理  そうね、そういう問題もあるわね。私の机の上の本を勝手に捨てられたら困るのと同じね。

窓太  ですから、そういった問題を避けるために、パソコンでも、この部室の各部員の本と同じように、他人に見せたくないファイルと、他人が見てもよいファイルを分けることができるようになっているのです。

めも理  へー、そんな設定したこともなかったんだけど。
 もしかして今、私のパソコンの中身はLAN上のほかのパソコンから丸見えだったりするの?

窓太  そんなことはないですよ。特別な設定をしない限り、他人からは見えないようになっていますから。

めも理  ほっ、ちょっと安心したわ。それで、特別な設定というのは、どういったものを指すのかしら?

窓太  Windowsでは、他人が見てもよいファイルと他人に見せないファイルの区別を、フォルダ単位で設定するようになっています。
 普通は、すべてのフォルダが中身を他人に見せない設定になっています。この設定をフォルダごとに変更して、他人が見てもよいと許可することができるのです。この、他人の閲覧を許可したフォルダのことを、共有フォルダと呼ぶのです。

めも理  へー、そんな設定ができるんだ。

窓太  この共有フォルダは細かい設定ができるようになっていて、Windows 95/98/Me/NTでは、アクセスを許可するユーザーをパスワードで制限することができます。またアクセス可能な相手を制限せずに、すべてのユーザーが閲覧可能にすることもできます。
 さらに閲覧だけを可能にして、ファイルを変更したり、削除したり、作ったりはできないようにするといった設定にもできます。もちろん、ファイルを作るのも削除するのも全部可能という設定にもできます。
 Windows 2000/XPで個々のユーザーのアクセスを制御したい場合は、2つのやり方が考えられます。1つ目の方法は、ファイルシステムがNTFSという種類の場合です。この場合は、ファイルやフォルダに対して、アクセス可能なユーザーを設定できます。2つめは、ファイヤーウォールと呼ばれるアプリケーションを使うやり方です。ファイヤーウォールは、パソコンと外部の不正なアクセスをブロックするソフトです。

めも理  なるほど、じゃあ先輩が新しいファイルを作成できる設定で、私のパソコンに共有フォルダを作ればいいのね。共有フォルダを作れば、そのフォルダに猫の写真をコピーできるものね。

窓太  そういうことです。

めも理  じゃあ、窓太。その共有フォルダの作り方を教えてちょうだい。

窓太  それでは説明しますね。最初にWindows 2000/XPでの共有フォルダの作り方を、次にそれ以外のWindowsでの共有フォルダの作り方を説明します。

 Windows 2000/XPでは、まずエクスプローラでフォルダを右クリックしてメニューを表示し、[共有とセキュリティ]という項目を選択します。あとは、[このフォルダを共有する]という項目にチェックを入れて、用途に合わせた設定を選択すれば完了です。

 それ以外のWindowsでは、2つの段階を経て設定します。
 まずはデスクトップの[マイ ネットワーク]を右クリックして、[プロパティ]を選択します。[ネットワーク]ダイアログが開きますので、[ファイルとプリンタの共有]ボタンをクリックして、ファイルとプリンタの共有ダイアログを表示して下さい。そして、チェックボックスにチェックが入っていなければチェックを入れて、ファイルを共有できるようにします。以上の操作は、一度ファイルを共有できる設定にしてしまえば、以降は改めて行う必要はありません。
 次に、エクスプローラでフォルダを右クリックしてメニューを表示します。そこで[共有]という項目を選択します。あとは、[共有する]という項目にチェックを入れて、用途に合わせた設定を選択すれば完了です。

めも理  なるほど、簡単に設定できそうね。

窓太  あと、共有フォルダを使う場合は注意しておいてほしいことがあります。
 共有フォルダを誰でも読み書き可能な状態にしていると、共有フォルダを介して広がるワームに感染することがあります。フォルダを共有する場合には、そういったこともあるという点に注意して下さいね。

めも理  分かったわ、気をつけるようにするわ。


削除

めも理  うう。

窓太  どうしたんですか、めも理ちゃん。悲しそうな顔をして。

めも理  私が買っておいていた、“週刊世界の奇菓子・珍菓子”を、部室の掃除で先輩が勝手に捨てちゃったのよ。

窓太  ああ、フォルダを共有していて、自由にファイルの作成・削除が可能な設定にしておくと、本人が気づかないうちに、ファイルを削除されていることがありますからね。

めも理  共有は恐いわ、今度からは共有せずに自分だけで本を読むことにするわ。

窓太  ショックが大きかったようですね。あまり気を落とさないでくださいよ。

めも理  はあぁ。


今回出てきた用語の解説

【共有フォルダ】 ほかのマシンから閲覧可能にしたフォルダのこと。このフォルダのなかのファイルは、通信ケーブルやワイヤレスLANなどをとおして閲覧・変更することが可能になる。

クロノス・クラウン:柳井 政和


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