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【第71回】
太陽と月とRGBとCMYK
(04/06/14)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日はプリンターの前で唸っています。
一体、何があったのでしょうか?
色が違う
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うーん、おかしいわね。同じ色にならないわね。
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どうしたんですかめも理ちゃん。プリンターの前でうんうん唸って。
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それがね、窓太。ディスプレイ上できれいに見えていた写真をプリントアウトしたんだけど、何だか暗い印象になってしまって、思ったような色合いでプリントアウトできないのよ。
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それは仕方がないですよ。ディスプレイの色は“RGB”で、プリンターの色は“CMYK”ですから。
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はっ、何それ? 新手の略語? 意味不明よ。
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えー、確かにそうでしょうねえ。そうですねえ、RGBは太陽で、CMYKは月みたいなものですよ。
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そうやって、また私を煙に巻こうとする。
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大丈夫ですよ。きちんと説明しますよ。
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RGBとCMYK
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めも理と窓太の4コマまんが 「RGBとCMYK」 |
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さて、めも理ちゃんは太陽がなぜ明るいか知っていますか?
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馬鹿にしないでよ。それぐらい知っているわよ。太陽は自分で燃えて光っているから明るいのよ。
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じゃあ、月がなぜ明るいか知っていますか?
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太陽の光を反射しているからよね。これぐらいのことなら、私でも分かるわよ。
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じゃあ、太陽と月はどちらも明るいけれど、まったく違う光り方をしているわけですね?
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そうね。太陽はみずから発光していて、月は光を反射しているわけだから。
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実は、パソコンのグラフィックの世界でも、太陽と月と似たようなものがあるのです。
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えっ、太陽電池で動いているとか。
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“太陽”っていう言葉だけに反応しないで下さい。
パソコンでは、ディスプレイ上に表示されている絵は、太陽のようなもので、紙にプリントアウトされた絵は、月のような状態になっているのです。
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えっ? ディスプレイに映っている映像と、紙にプリントアウトしたものって、何か違いがあったの?
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実はあるのです。じゃあそのことを、色の仕組みから説明していきますね。
まずはパソコンのディスプレイの話からします。パソコンのディスプレイには、ブラウン管や液晶など、いろいろな形式がありますが、共通していることがあります。
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共通していること?
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それは、ディスプレイ自体が光を発していることです。その証拠に、部屋の電気を消しても、ディスプレイには明るく映像が表示されていますよね。
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そうね。確かにそうだわ。
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ディスプレイに絵が表示されるときには、様々な色が表示されていると思いますが、実はこの数多くの色は、たった3色の組み合わせで作られているのです。
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3色? どうやって3色で、いろんな色が表示されるの?
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この3色というのは、光の3原色と呼ばれている、赤、緑、青の3色です。この赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の頭文字を取って、この3色をRGBと呼びます。
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赤と緑と青の3色しかないの? このたった3色の光で、どうやったらいろんな色が表示されるのよ?
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実はこれらの光は、混ぜるとほかの色になるのです。めも理ちゃんも絵の具を混ぜて違う色を作ったりしたことはありますよね。
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それぐらいならあるわ。
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同じように、光の3原色を混ぜ合わせると、ほかの色になるのです。
赤と緑の光を混ぜると黄色に、緑と青の光を混ぜると水色に、青と赤の光を混ぜると紫色になります。そして、全ての色の光を混ぜると白色になります。
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本当?
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本当ですよ。それじゃあ、例を見せますね。
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RGB 光の3原色
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本当みたいね。
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パソコンのディスプレイは、赤と緑と青の色を発するたくさんのライトが寄せ集まってできているものだと思って下さい。そして、この3色の強弱をつけることによって、様々な色を表示することができるのです。
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黒は?
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何も光を出さないようにすれば黒色になりますよ。ディスプレイの電源を切ったら黒色でしょう。
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いわれてみればそうね。
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このように、色には3種類の基本的な色があって、その色の光の混ぜ方によって、様々な色を表現できるということは分かりましたか。
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分かったわ。
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ディスプレイでは、このように、直接自分で3種類の光を発することで、いろんな色のついた絵を表示しているのです。直接光を発しているので、太陽のようなものだと言ったわけです。
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なるほどね。
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さて次に、プリントアウトした紙の色の説明をしますね。紙は光を発していますか?
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紙が光を発するわけはないわね。
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じゃあなぜ紙は白く見えるのですか?
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それは人類最大の謎だと思うわ。
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それは、紙が光を反射しているからです。
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なるほど、そうだと思ったわ。
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紙は何も印刷していない状態では、赤と緑と青の光を全て反射しているのです。だから白色に見えるのです。
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へー、窓太は理科の先生みたいね。
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その紙にインクを塗るとどうなるか。
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どうなるの?
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色を反射しなくなるのです。
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反射しなくなるって、具体的にどうなるの?
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例えば、黄色のインクを紙に塗ったとします。そうすると、青の光が反射されなくなり、赤と緑の色だけが反射されるようになります。
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赤と緑?
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先ほどディスプレイのところで説明しましたが、赤と緑の光を混ぜたら、何色になりますか?
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えー、ちょっと待ってね。確か黄色ね。
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正解です。
同じように、赤だけ反射しないインク、緑だけ反射しないインクというものがあり、そのインクの色をシアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、と呼ぶのです。
シアンでは、赤の光を反射せず、緑と青の光を反射して、コバルトブルーになります。マゼンタでは、緑の光を反射せず、赤と青の光を反射するので、赤紫になります。
これらの、各色の光を反射しないインクを組み合わせることで、プリントアウトした紙では色を作っているのです。例えば、赤と緑の光を反射せずに、青色に見せるというわけです。
それじゃあ、例を出しますね。
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CMY
黄色(Yellow)のインクは、青色の光を吸収して、赤と緑の光を反射する。
そのため、赤と緑を合わせた色の黄色に見える。
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直接光を発しているディスプレイとは根本的に仕組みが違うのね。
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そうです。紙は、直接光を発しているわけではないので、反射する光によって、どんな色に見えるかが決まるのです。ディスプレイのように、光をどんどん足していくことで色を作っているわけではないのです。
ディスプレイは、どんどん光を足すことで色を作ります。そのために、明るい色もきれいに見えます。しかし、プリントアウトした紙では、どんどん光を反射しなくしていくことで色を作ります。そのために、明るい色を再現するのは難しく、どうしても暗い感じの色になってしまうのです。
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なるほど、太陽は明るいけど、月は太陽ほど明るくはないのと同じね。
ところで、CMYKって、何の略語なの? Cはシアンで、Mはマゼンタ、YはYellowで黄色っていうのは予想がつくんだけど、Kって何なの?
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Kは黒(black)です。blackの最後の一文字のKが、CMYKのKになります。CMYだけで理論上は全ての色を再現できるのですが、シアンとマゼンタと黄色のインクを混ぜて作った黒はきれいな黒ではなく、灰色がかった黒になるのです。だから、純粋な黒のインクを使って、黒色は塗るようにしているんです。
シアン、マゼンタ、黄色、黒色でCMYKとなるのです。
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へー、ディスプレイの絵とプリントアウトした絵って、同じものだと思っていたんだけど、まったく違う仕組みで見えていたんだ。知らなかったわ。
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明るく見える
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ねえ窓太。ディスプレイの絵が、プリントアウトした紙の絵よりも明るく見えることって、対人関係にも応用できないかしら。
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例えばどんなことですか。
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人が私の姿をみるときは、私の体に光が当たって、その反射した光を見ているのよね。
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そうですね。
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じゃあ、ディスプレイ越しに私の姿を見てもらうのよ。そうすれば、私の姿もきっと明るく映って、私の性格も明るく楽しそうに見えるはずよ。これなら、お友達が増えること間違いなしだわ。
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めも理ちゃん、そんなことを考えずに普通にお友達を増やしてくださいよ。
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いや、だって、直接人の前に出たら緊張するじゃない。
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はあ、めも理ちゃんがお友達を増やすのは難しそうですね。
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今回出てきた用語の解説
【RGB】 赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の光の3原色で表される色の表現方法。RGBの3種類の発光装置を使い、色を混ぜて表示する場合に使われる。パソコンのディスプレイなどがこの方式。
このように、色を加えて様々な色を表現する方法を、加法混色と呼ぶ。
【CMYK】 シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、黒(Black)によって表される色の表現方法。シアン、マゼンタ、イエローは、印刷の3原色や、色材の3原色などと呼ばれる。印刷物などのように、周りの光を反射して色を表現する場合に使われる。
インクによって、特定の色を反射しないようにして(色を引き算をして)色を表現するので、このような色の表現方法を減法混色と呼ぶ。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)
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