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【第18回】
リソース不足と学食のお盆
(03/03/10)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日は部室で悩んでいます。
一体どうしたのでしょう?
リソース不足って何?
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あれ、めも理ちゃん。いつも使っているパソコンとは違うパソコンを使っているのですか?
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そうなの。いつも使っているパソコンは先輩がメンテナンスをしてくれているの。だから今は、代わりに先輩のパソコンを使っているの。
あっ、ちょうどいいわ窓太。先輩がこのパソコンを使う前に、『リソース不足に気をつけろよ』と言っていたの。でも、リソース不足って何?
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そういえば、めも理ちゃんがいつも使っているパソコンはWindows XPですね。先輩のパソコンはWindows 98ですか。なるほど、なるほど。それはリソース不足に気をつけないといけないですね。
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むっ、1人だけ分かったような顔をして。リソース不足って何なのよ。
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ああ、すみません。リソース不足は、めも理ちゃんが学食に行ったときのお盆と同じ状態ですよ。
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デザートがたくさん載っているということ?
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まあ、そんなものです。そうですね、この時間はタイムサービスでデザートが安いですから、学食に行ってリソース不足の説明をしますか。
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わっ、そうだった。学食に行くのは大賛成よ。
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めも理のお盆
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めも理と窓太の4コマまんが 「リソース不足」 |
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わー、たくさん買って来ましたね。
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当然よ。タイムサービスで安いんだから、たくさん食べないと。お盆いっぱいにデザートを買ってきたわよ。
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めも理ちゃんにとっては、そのデザートはとても大切なものですよね。
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当たり前じゃない。学食で1番重要な物はデザートよ。
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それじゃあ、リソース不足の説明をします。めも理ちゃんは、食べながら聞いていて下さい。
まず、“リソース不足”の“リソース”から説明します。このリソースは、めも理ちゃんにとってのデザートが載っているお盆のようなものです。
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お盆?
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そうです。リソースとは、パソコンのOSが、OSにとって重要な情報を管理している領域のことです。
ちょうどめも理ちゃんが、大切なデザートをお盆の上に載せているように、パソコンのOSは、OSが使う重要な情報をリソースという領域に置いて管理しているのです。
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重要な情報って、どんな情報なの?
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そうですね。代表的な物は、アプリケーションに関する情報です。アプリケーションに関する情報は、リソースの多くの部分を占めます。
例えば、アプリケーションを起動すると、ウィンドウやメニュー、ボタンなど、様々な部品を使用します。ユーザーがこれらの部品を操作するとソフトが動作するわけですから、ソフトが部品を使用する際には、あらかじめOSにこういった部品を利用しますよと報告を行う必要があります。そうしなければ、今それぞれのアプリケーションがどういった状態なのかを、OSは把握できなくなってしまいます。
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何で把握しておかないといけないの?
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アプリケーションは、OSと無関係に動いているわけではありません。例えば複数のアプリケーションが実行されている場合を考えて下さい。画面上のどこか1点をクリックしたとします。このときに、OSがきちんとアプリケーションの動作を把握しておかないと、どちらのアプリケーションをクリックしたのか判断できなくなります。
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そういえばそうね。
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こういった情報を、OSはたくさん管理しているのです。
そのため、アプリケーションをたくさん実行すれば、リソースの使用量もどんどん増えていきます。ほかにもデスクトップ上のアイコンや壁紙など、OSが直接管理しているデータもありますから、こういったデータも、リソースの領域をどんどん埋めていきます。
こうして、パソコンを使っている内に、徐々にリソースの領域が埋まっていき、自由に使える領域が少なくなっていくのです。
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少なくなると、どうなるの?
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たくさんデザートを買うと、お盆に置き切れなくなるように、アプリケーションを開き過ぎると、リソースの領域に情報が入り切らなくなり、OSの動作が不安定になります。
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どのくらいアプリケーションを実行すると、リソースの領域が埋まって、OSが不安定になるの?
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アプリケーションによって、リソースの領域を使用する量が違うので、一概にどのくらいということは言えません。
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へー。でも、それなら、デザートを食べ終わった後にお皿を片付けるように、リソースの領域も片付ければいいんじゃないの?
私も今デザートを食べ終わったから、お皿を片付けたようと思っていた所だし。アプリケーションも使い終わったら、そのアプリケーションの情報を片付けてあげればいいんでしょう。
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めも理ちゃんの言う通りなんですが、OSによってはそれがそう簡単にはいかないのです。
Windows NTや、Windows 2000、Windows XPでは、リソースの領域を後片付けをしてやれば問題は起こりません。これらのOSは、リソースの後片付けがうまいですので。
また、これらのOSはリソースの使用状況によって、リソース自体の領域のサイズも増減できます。これはちょうど、お盆のサイズが足りなくなったら、新たなお盆を付け加えるようなものです。お盆の上がいっぱいになっても、新たなお盆を追加できるなら、さらにデザートを乗せることができます。
リソースも同じで、その領域のサイズを増減できるなら、不足することなくうまくやりくりすることができます。
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へー、うまくできているのね。
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そうです。これらのOSでは、リソースの後片付けがうまく、広さの増減もできるのでリソース不足が起こらないのです。
でも、Windows 95、Windows 98、Windows Meでは、問題が起こってしまいます。これらのOSは、リソースの後片付けがうまくなく、リソースの領域の増減もできないのです。そのため、割と簡単にリソースの領域が埋まってしまいます。
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それは困り者ね。
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それに、アプリケーションによってはきちんとこのリソース領域を後片付けできないアプリケーションもあるのです。デザートを食べたはいいけど、お皿に包み紙などが大量に残っていて、簡単に片付けられないようなものです。
こういったアプリケーションをいくつかも実行していると、お盆にお皿がたまり過ぎて溢れ返るようになり、これ以上お皿が置けないという状態が発生してしまいます。これがリソース不足の状態です。
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リソースの領域が不足してしまうのね。リソース不足が起こって、OSの大切な情報を置く場所が埋まってしまったら困るわよね。
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困ります。リソース不足になると、パソコンの動作が不安定になったり、悪い場合は応答不能になったりします。
こうなってしまったら、OS自体を再起動するしか方法がなくなってしまいます。
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再起動するってことは、お盆の上の状態を、1番最初の状態に戻してしまうというわけね。
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そうです。でも、何度も再起動をするのは大変ですよね。だから、Windows 95、Windows 98、Windows Meを使う場合は、リソース不足にならないように気をつけてあげる必要があるわけです。
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なるほど。でも、どうやってリソース不足にならないように気をつければいいの。
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そうですね。それが分からないと気をつけようがないですよね。
じゃあ、簡単にまとめてみます。
- 使わないアプリケーションは起動したままにせず終了する
- 常駐ソフト(ずっと起動したままのアプリケーション)の数を減らす。
- 定期的にWindowsを再起動する
- アクティブデスクトップを切ったり、デスクトップ上のアイコンを減らす
等
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なるほど。大雑把にまとめると、あまり欲張ってアプリケーションを使うなってことね。学食のお盆なら、欲張ってデザートをお盆に載せ過ぎるなということね。
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そういうことです。
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再起動 めも理の場合
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リソース不足って大変ね。
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めも理ちゃんも学食ではリソース不足にならないように注意して下さいね。デザートの買い過ぎは禁物ですよ。
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大丈夫よ、デザートを全部食べ終わって、お盆を空にして再起動させるから。お盆が空になった状態で、新たにもう1回注文しに行けば問題ないわ。
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それだから太るんですよ。
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今回出てきた用語の解説
【リソース】 OSにとって重要な情報を置いておくメモリ上の領域。不足してくると、OSが不安定になり、パソコンが応答不能になったりする。
【リソース不足】 リソースが不足した状態。OSが不安定になり、パソコンが応答不能になったりする。Windows 95、Windows 98、Windows Meで発生することが多い。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)