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【第19回】
風邪引きめも理とコンピューターウイルス
(03/03/17)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日は部室で突っ伏しています。
一体どうしたのでしょう?
風邪なのよ
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くしゅん。はあはあ、風邪を引いてるのに、学校に来たせいで体調が最悪だわ。こんなことなら、家でお菓子でも食べながらゴロゴロしていればよかった。
そうだわ。せっかくパソコンがあることだし、インターネットで風邪の治し方を調べてみよう。
……あれ、パソコンが動かなくなったわ。窓太! 窓太はおらぬか~!
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はいはい、窓太ですよ。あれ、どうしたんですか、めも理ちゃん。顔色がよくないですね。
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風邪を引いているの。それよりも今はパソコンの方が重要よ。パソコンが急に動かなくなったの。
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どれどれ。どうやら、パソコンがコンピューターウイルスに感染したようですね。
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コンピューターウイルス? 何それ。あー、頭がくらくらしてきた。
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大丈夫ですか? 風邪とも関係のあることですし、コンピューターウイルスの話でもしましょうか。
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そうね。何か風邪を治すヒントが隠されているかもしれないし。じゃあ窓太、よろしくね。
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ウイルス
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めも理と窓太の4コマまんが 「感染」 |
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それでは、コンピューターウイルスの説明をします。
コンピューターウイルスと、風邪のウイルスはとてもよく似ています。
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風邪のウイルスとよく似ている? 風邪のウイルスって、風邪が伝染するときの原因になる、あのウイルスのこと?
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そうです。インフルエンザなどの風邪は、ウイルスという病気の原因になる生物が体内に入ることで起こります。
これらのウイルスは、ウイルスが勝手に体の中に入って来るのではありません。ほかの風邪を引いた人の咳で吐き出されたつばきなどにウイルスが付着して、ばらまかれることによってうつっていきます。
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うがいや、手洗いは、これらのウイルスの侵入を防ぐために行うのよね。
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ええ。うがいや手洗いをすることで、手や喉に貼りついたウイルスを洗い流してしまうのです。こうすることで、ウイルスが体内に入って体の調子を悪くすることを、未然に防ぐことができます。
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風邪のウイルスについては学校で習った通りね。じゃあ、コンピューターウイルスはどんな物なの?
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コンピューターウイルスも、この風邪のウイルスと仕組みが非常によく似ています。
風邪のウイルスがつばきに付着して感染していくように、コンピューターウイルスは、メールやファイルなどに付着して感染していきます。
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人間が咳でつばきを飛ばして風邪のウイルスをばらまくように、パソコンではメールやファイルを送ることでウイルスがばらまかれるということなの?
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そうです。
そしてパソコン内でウイルスファイルが実行されれば、パソコンに様々な悪さをし始めるのです。ちょうど、風邪のウイルスのせいで、めも理ちゃんの体調が悪くなったように、パソコンの調子もコンピューターウイルスのせいで悪くなってしまうのです。
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それは困りものね。で、コンピューターウイルスに感染してしまった場合はどうすればいいの?
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風邪を引いた場合にはお薬を飲んで治すように、コンピューターウイルスに感染した場合は、駆除ソフトや、ウイルス対策ソフトを使って直すことができます。
(こういったソフトの情報は、窓の杜などのサイトでも掲載されますので、参考にして下さい)
それに、風邪には予防も大切です。風邪になりにくいように体を鍛えておくのと同様に、コンピューターウイルスにかかりにくいように、パソコンを堅固にしておく必要があります。
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うーん、マラソンでもさせて体を鍛えさせるの?
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違います。パソコンでは、OSやWebブラウザー、メールソフトに、最新のパッチをインストールすることがウイルスからの防御につながります。最新のパッチをインストールすることで、パソコンの内部環境がウイルスに対して堅固な状態になります。
あと、人からのメールや、知っている人からのメールでも身に覚えのないものに添付ファイルがついている場合は開かないようにすることも大切です。添付ファイルがウイルスそのものである可能性は非常に高いですから。もし添付ファイルがウイルスである場合、添付ファイルを開くと、ウイルスを実行してしまうことになります。実行されたウイルスは、パソコンに感染して悪さをし始めます。
添付ファイルとして送られてきたウイルスを実行することは、ウイルスがたっぷりついた食べ物を食べることと同じようなものです。即、ウイルスに感染してしまいます。
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そういえば、最近、見知らぬ人からのメールについていた添付ファイルを開いてしまった覚えがあるわ。
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多分それが原因ですね。今後は気をつけて下さい。
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分かったわ。でも、パソコンの世界って不思議ね。コンピューターウイルスなんていう生き物が自然に発生するなんて。
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コンピューターウイルスは、自然発生したわけではないんです。世の中には、他人のパソコンの調子を悪くするコンピューターウイルスを作っている人達がいるのです。
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ひどい人達ね。
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そうですね。
それに、ほかのファイルにくっついてネットワーク内を移動するウイルスだけではなく、自らネットワーク間を移動する能力をもち、ネットワーク経由で自分のコピーを作って増殖するワームという存在もあります。どちらも、パソコンの調子を悪くする存在です。
ウイルスは他のファイルに張りつきネットワーク間を移動するもの、ワームは自力でネットワーク間を移動する能力をもったものと思えばいいでしょう。
中には、ウイルスとワームの能力を併せもった怖いものもいたりします。他のファイルにくっついて移動したり、自力で移動したりと、様々な手段を駆使して広がっていく強力な存在です。
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ううっ、世の中危険だらけだわ。
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感染
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一日経って風邪が治ったわ。なんて晴れやかな気分なんでしょう。
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ごほんごほん。おはようございます、めも理ちゃん。
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あれ、どうしたの? 私の風邪が感染したの?
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いえ、違います。めも理ちゃんのパソコンにいたコンピューターウイルスが、私にも感染したのです。
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大変ね。そうよ、昨日あれから風邪の治し方を調べたの。とにかく、温かくして寝るのが一番なんだって。
じゃあ、窓太の電源を切って……。
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わわっ、止めて下さ……
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……シーン
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……強制終了と。後は温かくしておけばいいのよね。
さあ、これで窓太の風邪も一発でよくなるわ。いいことした後は気分がいいわ。じゃあね~。
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今回出てきた用語の解説
【コンピューターウイルス】 パソコンの調子を悪くする存在。ほかのファイルにくっついてパソコンに侵入し、実行されることでパソコンに感染する。メールや「Excel」、「Word」ファイルなどにくっついていることが多い。
パソコンに感染した後は、さらにほかのファイルなどに自分のコピーを貼りつけて、増殖していく。
【ワーム】 パソコンの調子を悪くする存在。似た物にコンピューターウイルスがある。コンピューターウイルスが、ファイルに貼りついて感染範囲を広げていく受動的な存在なのに対して、ワームは能動的な存在。ワームは自分自身がネットワーク機能をもっており、独自に感染範囲を広げて行く。
コンピューターウイルスとワームの機能を併せもったものも存在する。
【パッチ】 差分ファイルとも呼ぶ。ウイルスやワーム対策のためのパッチは、特にセキュリティパッチとも呼ばれる。セキュリティパッチは、ソフトやOSの中で、ウイルスなどに感染しやすい場所を直してくれたり、堅固にしてくれたりする。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)