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【第21回】
セーフモードと身体測定
(03/03/31)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日は部室で固まっています。
一体どうしたのでしょう?
セーフモードって何?
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うーん、最近パソコンの調子が悪いわ。でも、さっき先輩にパソコンの状態を見てもらったから安心よ。先輩のメモの通りにすれば、パソコンの状態もよくなるはずだから。
えーと、“セーフモードで起動して、ウイルス駆除ソフトを使うように”と書いてあるわ。……セーフモードって何?
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どうしたんですかめも理ちゃん。固まっているようですけど。
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いい所に来たわ窓太。セーフモードって何?
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身体測定のときの、服装のようなものですよ。
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はっ? さっぱり意味が分からないわ。
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じゃあ、簡単に説明しますね。
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ええ、できるだけ簡単に、手っ取り早くお願いね。
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身体測定
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めも理と窓太の4コマまんが 「余分なもの」 |
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そもそもセーフモードとは何なのか。めも理ちゃん分かりますか?
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そうねえ。“セーフ”“モード”っていうぐらいだから、“安全な”“やり方”ということなの?
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だいたい正解です。セーフモードは、パソコンに問題が発生した場合に、問題を避けて、安全にパソコンを起動するためのやり方なのです。
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わっ、当たったわ。
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セーフモードで起動すれば、不要な部分を省いた、最低限動作する状態で、OSを起動することができます。
OSは起動する時に、接続しているハードウェアの設定やネットワークの設定、画面表示の設定を読み込んだり、常駐ソフトを起動させたりしています。これは、パソコンを便利に使うために行っていることです。
でも、これらの設定やアプリケーションがなくても、OS自体は問題なく動作します。ですので、こういった不要な部分を省いた、最低限動作する状態で、OSを起動するやり方があるのです。そのやり方がセーフモードというやり方になります。
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最低限動作する状態? なぜそんな状態で起動しないといけないの?
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パソコンに問題が起こった場合、パソコンのどういった部分で問題が発生したか特定しなければなりません。
車でも、バイクでも、調子が悪いなあと思ったら、整備工場に出しますよね。そして問題のある場所を探してそこを修理する。人間だったら、病院に行ってどこが悪いかを検査する。
何か問題が起こった場合、その問題を解決するためには、機械でも人間でも、その原因を探すことから始まります。
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パソコンでも、同じように、問題の原因を探す必要があるというわけね。
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そうです。そのために、セーフモードがあるのです。
パソコンは普通に起動した場合、いろんな設定を読み込んだり、常駐ソフトを起動したりします。これは車で例えるならば、ラジオをつけて、クラクションを鳴らしながら、ワイパーを動かして、ギアをガチャガチャと動かしながら、車道を全速力で走っているような状態です。
こういった複雑な状態では、何が原因で問題が起こっているのか、原因を特定することが難しくなります。
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パソコンの場合、複雑な状態ってどんな状態なの?
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例えば、Windowsの起動時にエラーが出るような状態になったとします。でも、Windowsの起動時には、ハードウェアの設定や、ネットワークの設定、画面表示の設定などを読み込んだり、常駐ソフトを起動したりしています。ハードウェアの設定に問題があるのかもしれない。ネットワークに原因があるのかもしれない。常駐ソフトに原因があるのかもしれない。可能性は非常に多く、どれがエラーの原因なのか、突き止めるのは非常に困難です。
これは体育館に大量にばら撒いたビー玉の中から宝石を捜すようなものです。原因となりそうなものが多過ぎて、原因を探すのが非常に困難な状態といえます。
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じゃあ、原因になりそうなものを減らせばいいんじゃないの?
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そうです。こういった原因になりそうな様々な条件を排除して、最低限OSが起動できる状態で起動すれば、原因を発見するのは非常に簡単になります。
車なら、エンジンを切った状態で、じっくりと各部品を調べるようなものです。
例えば先ほどのWindows起動時のエラーでも、セーフモードで起動すれば、各種設定も読み込まず、常駐ソフトも起動していない状態でOSが起動します。その後、常駐ソフトを1つずつ起動してみると、特定の常駐ソフトを起動した瞬間にエラーが出たとします。そうすれば、その常駐ソフトに原因があることが分かるわけです。
ここまで分かれば、解決まであと一歩です。その原因のあるソフトをアンインストールすれば、エラーを出さずにWindowsを無事起動できるようになります。
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なるほど、そうやって原因を探して解決するのね。
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これはほんの一例です。問題が起こった場合にセーフモードを使えば、膨大な原因の候補からではなく、限定した範囲内から原因を探せるようになります。
これならば、お茶碗の中にあるビー玉の中から宝石を探す程度の手間で、原因を発見できるわけです。体育館の中から探すより、断然楽ですよね。
セーフモードとは、このように、パソコンに起こった問題の原因を探るために、シンプルな状態でパソコンを起動するためのやり方なのです。
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へー、そういうものなの。
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身体測定などで、体の状態を調べるときには、いつもの服装ではなく、シンプルな体操服などを着て検査しますよね。それも同じ理由です。
検査の邪魔になるものを極力取り除いて検査をやりやすくするのです。ポケットにいろいろとお菓子の入ったセーラー服を着ていたら、正確な体重も分からないですよね。
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確かにそうね。体重を量るときは、余分な物は持っておきたくないわ。
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また、ウイルスやワームなどに感染したときの駆除にも、セーフモードは使われます。ウイルスやワームは、普通にWindowsを起動したときに、Windowsと一緒にこっそりとアプリケーションとして起動していることが多いです。Windowsでは、起動しているアプリケーションを削除することができません。そのため、既に起動しているウイルスやワームを駆除することができないのです。
そこで、セーフモードの出番です。セーフモードを使って、余分なアプリケーションを起動しないようにすれば、ウイルスやワームを起動せずにWindowsを起動することができます。この状態では、ウイルスやワームはアプリケーションとして起動していないので、ウイルス駆除ソフトで削除することができるわけです。
ウイルス駆除ソフトなどを使う場合に、セーフモードで起動することを求められることが多いのはそのためなのです。
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なるほど。ウイルス駆除ソフトを使うために、セーフモードで起動すればいいわけね。じゃあ窓太、どうやってセーフモードで起動すればいいの?
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そうですね。それが分からないとどうしようもないですね。それでは以下に、セーフモードでの起動の仕方をまとめておきます。マシンによっては異なる場合もありますが、概ね以下の方法によってWindowsをセーフモードで起動できます。
Windows 95 |
Starting Windows 95... 表示中に F8 キーを押す。スタートアップメニューでSafe Modeを選択。 |
Windows 98/Me |
コンピューターを起動して、BIOS 画面が消えた直後からCtrl キーを押しつづけてスタートアップメニューを表示。スタートアップメニューでSafe Modeを選択。 |
Windows 2000 |
コンピューターを起動して画面の下のほうに白黒の[Starting Windows bar]が表示されたら、F8キーを押し、スタートアップメニューを表示。スタートアップメニューでSafe Modeを選択。 |
Windows XP |
コンピューターを起動してBIOSの画面が消えたところで[F8]キーを押し、Windows Advanced Optionを表示。表示されているメニューの中からセーフモードを選択。 |
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シンプルに
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さっき身体測定に行って来たの。セーフモードみたいに、必要最小限のかっこうだったのよ。
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何かあったんですか?
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必要最小限のはずなのに体重が増えていたのよ。
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毎日、お菓子ばかり食べているからですよ。
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今回出てきた用語の解説
【セーフモード】 OSを、最小限のシンプルな状態で起動するやり方。パソコンに起こった問題を解決したり、ウイルスやワームを駆除するときに使われることが多い。
【ウイルス駆除ソフト】 パソコンに感染したウイルスやワームを、パソコンから除去するときに使うアプリケーション。
【常駐ソフト】 パソコン起動時に起動して、以降パソコン終了時までずっと実行しっぱなしのアプリケーション。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)