.
【第35回】
図書室の本とオンラインソフト
(03/07/14)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日は不満げな様子で部室に入ってきました。
一体、何があったのでしょう?
読書感想文
|
あれ、めも理ちゃん、どうしたんですか? 何だか納得がいかないといった表情ですね。
|
|
そうなのよ。図書室で借りてきた本に書いてあった書評を、そのまま読書感想文として写して先生に提出したら怒られたのよ。
|
|
それは怒られますよ。図書室の本は、タダで借りられますが、きちんと作者がいるんですから。めも理ちゃんが勝手に使っていいものじゃないんですよ。
それに、読書感想文なんだから、自分の感想を書かないといけないですし。
|
|
ふーん、オンラインソフトと同じで自由に使えるものかと思っていたのに。
|
|
オンラインソフトも好き放題に使えるわけではないんですよ。ちゃんと作者がいるんですから。
|
|
えっ、そうなの?
|
|
仕方ないですね。今日は少し、図書室の本とオンラインソフトの共通点について説明するようにしましょう。
|
図書館の本
|
めも理と窓太の4コマまんが 「図書館の本」 |
|
さあ、図書館に着きました。
|
|
図書室の本は、学校の人なら誰でも自由に借りることができるのよね。オンラインソフトも、多くの場合、ネット上から自由にダウンロードして使用することができるわ。
便利よね。誰でも自由に使えるんだから。
|
|
とはいえ、自分で作ったもののように自由に使えるわけじゃないんですよ。
本には著者や、出版元の会社がありますし、オンラインソフトにも作者や製作元の会社があるのです。そして、図書室の本のように無料で読むことができる本であっても、作者や出版元がその作品に対していろいろな権利を持っているのです。
|
|
権利?
|
|
広く言えば著作権です。そして著作権の中には、複製権や頒布権といった著作物に対する様々な権利が含まれているのです。
これは簡単に言うと、作った人の許可なく、複製したり、変更を加えたり、勝手に配布したりしてはいけないですよという権利です。
|
|
えっ。じゃあ、勝手に写したり、改造して使ったり、あまつさえそれを自分が書きましたなんて言って、ほかの人に渡したりしたら駄目というわけなの?
|
|
そうですよ。
|
|
がーん、そうだったのね、知らなかったわ。
|
|
同じように、オンラインソフトにも作者や製作元の会社が存在しますから、勝手に改造して使ったり、許可なく配布したり、自分のものだと偽って配布したりしたら駄目なのです。
|
|
うーん、そうだったのか。
|
|
それから作者が許可していないような使い方をするのもいけませんよ。ソフトによっては、インストール時に、ユーザーに対してどういったことを許可して、どういったことを禁止するか、表示することがあります。
ほかにもReadMeファイルやヘルプファイルに、禁止事項が書かれていることもあります。逆に、『改造してもかまわないし、再配布してもかまわない』という形で配布されているソフトもあるのです。
|
|
へー、そういうソフトもあるんだ。
|
|
よく読んで、ソフトの作者の指示にしたがうようにして下さいね。
|
新レシピ
|
オンラインソフトに作者がいるなんて、今まで意識もしなかったわ。
|
|
図書館の本に著者がいることも、意識していなかったみたいですしね。
|
|
これからは、少し作者を意識してみることにするわ。私の開発したお菓子のレシピに、全てReadMeファイルをつけるの。
|
|
どんなレシピがあるんですか?
|
|
“ポッキーのカール合え”とか、“うまい棒の小枝詰め”とかかしら。
|
|
それは、めも理ちゃん以前に、そのお菓子の製作販売元がありますよ。
|
今回出てきた用語の解説
【オンラインソフト】 インターネット上などのオンライン上で流通、配布されているアプリケーションのこと。
【ReadMeファイル】 “私を読んで下さい”という名前のドキュメント。アプリケーションやデータの説明や、使用にあたっての条件、作者に関する情報などが書かれていることが多い。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)