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【第49回】
ベータ版と教育実習
(03/12/08)
窓の杜高校、超パソコン部の部室。
あらあら、めも理ちゃん。今日は何だかうれしそうです。
一体、何があったのでしょう?
教育実習生
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どうしたんですかめも理ちゃん。何かうれしいことでもあったのですか。
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そうよ、窓太。今日教育実習の先生が来たんだけど、とってもかっこいい先生なの。これからの授業が楽しみね。
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へー、いつもは授業なんて聞く気はまるでないのに。
でも、教育実習の先生って、“ベータ版”ですからね。何が起こるか分かりませんよ。
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へっ? ベータ版? うーん、そういえばこの前ダウンロードしたソフトにも、“ベータ版”って書いてあったわね。
そのソフトと教育実習の先生と関係があるの?
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そうですね、めも理ちゃんが舞い上がり過ぎないように、少し忠告してあげることにしましょう。
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ベータ版
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めも理と窓太の4コマまんが 「ベータ版の先生」 |
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そうそう窓太、ベータ版のベータって何? 昔のビデオテープの規格でベータっていうのがあった気がしたんだけど、それと関係があるの?
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年のわりにマニアックなことを知っていますね。ベータは、“β”と書きます。ギリシア文字ですよ。
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げっ、英語だけでもチンプンカンプンなのに、ギリシア文字なんて。ギリシア人の知り合いなんかいないわよ。
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いや、まあ、ギリシア語の勉強をしろといっているわけではないですよ。
ベータ版とは、アプリケーションの“開発途上版”のことです。最初にできるのが“アルファ版”、次にできるのがベータ版です。アルファはギリシア文字の最初の文字、ベータは2番目の文字なのです。
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へー、ということは、第1版、第2版ぐらいの意味だと思えばよいということなの?
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そうですね。そう考えてもいいのですが、このアルファ版、ベータ版、そして一般に使われている正式版には、暗黙の違いがあるのです。
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違い? 同じアプリケーションじゃないの?
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一般にベータ版は、正式公開の一歩手前のアプリケーションのことをいうのです。ベータ版は、ある程度不具合を修正して、正式版の機能がひととおり入っているのですが、まだ不具合が発生する可能性が残っているのでどんなことが起こるかよく分からないアプリケーションなのです。
基本的に不具合がないかをユーザーに試してもらったり、使い勝手を試してもらったりという、意味合いの強いバージョンです。
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へー、じゃあ正式版はそういった不具合がなくなった完成品ということね。それならアルファ版は一体どういうものなの?
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アルファ版は、開発のごく初期段階のものです。アプリケーションの性能や機能などの要望を聞いたりする目的のものです。ベータ版と違って、まだ完成には時間がかかり、不具合が起きることも多いので、あまり配布されることはありません。
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なるほど。ベータ版は、まだ完成品じゃないから、何が起こっても不思議じゃないアプリケーションというわけね。
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そうです。だから不具合など、どんなことが起こるか分からないことを覚悟して使う必要があります。
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正式版と違って、気軽に使えるわけではないということね。
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そういうことです。ほかには、“RC版”や“人柱版”というものも知っておくとよいですよ。
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RC版? 人柱版?
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RC版は、“Release Candidate”版の略です。“販売候補版”と訳せます。発売直前に試してもらって、最終調整をするためのバージョンです。何種類か出る場合には、“RC1”“RC2”“RC3”などと呼びます。
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それじゃあ、人柱版は?
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“人柱”というのは、昔、堤防などを作るときに捧げた生け贄のことです。昔は、災害を代わりに引き受ける、人柱という呼び名の生け贄を捧げたんですね。
つまり、不具合が起きる可能性が高いと思われるけれど、その不具合を覚悟して使って、不具合を探し出してくれる人向けのバージョンということです。
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へー、でも不具合が起きる可能性が高いのに進んで使う人なんているの?
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そのアプリケーションが好きな人は使ってくれますね。人柱版を使って不具合を探し出すことで、アプリケーションの完成度が上がり、その恩恵はアプリケーションのユーザー全員に及ぶわけです。ボランティアみたいなものですね。
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幻滅
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幻滅だわ!
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どうしたんですか、めも理ちゃん。相当ご立腹のようですね。
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そうよ。教育実習の先生がね、なんと今日、酔っ払って学校に来たのよ。昨日、教育実習生の歓迎会があったらしく、酔っ払ったまま朝になって学校に来たそうよ。先生なんだからしっかりしてほしいものよ!
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えー、まあ、ベータ版の先生ですから。
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ベータ版というより、あれじゃあアルファ版よ!
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今回出てきた用語の解説
【ベータ版】 一般に、正式公開の一歩手前のアプリケーションのこと。ベータ版は、ある程度の不具合は修正して、正式版の機能がひととおり入っているが、まだ不具合が起きる可能性が残っているアプリケーションである。
【アルファ版】 開発のごく初期段階のアプリケーション。一般に、アプリケーションの内容に関する性能や機能などの要望を聞いたりする目的のもの。ベータ版と違って、完成にはまだ時間がかかり、不具合が起こることも多いので、あまり配布されることはない。
【RC版】 Release Candidateの略。日本語に訳すと販売候補版。発売直前に、最終調整をするためのバージョン。何種類か出る場合には、“RC1”“RC2”“RC3”などと呼ぶ。
【人柱版】 不具合が発生する可能性が高いと思われるバージョン。主に不具合を探して修正する目的で配布される。
(クロノス・クラウン:柳井 政和)